経営不振の地方大学を県などが買い取り公立化する例が増えているが、そもそも不人気大学だったものを公立化で学費が安くなったとはいえ、それだけで人気(偏差値)が上昇するのだろうか。都会に憧れる受験生を食い止める事ができるのだろうか。更に就職において都会の大学に勝てるのだろうか。
地方私立大学の公立化(いわゆる「公立大学法人化」)は、大学経営の観点からは「劇薬」とも言えるほど強力な効果を発揮するが、地域振興や就職の面では新たな課題も生んでいる。
結論から言うと、偏差値は爆上がりするが、若者の流出抑制や就職での都会超えは簡単ではない」というのが現実だ。
1. 偏差値は「劇的」に上昇する
不人気だった大学でも、公立化すると偏差値は面白いほど上がる。これには以下の明確な理由がある。
• 学費の破壊力: 私立文系で年間約100万円かかる授業料が、公立化で国立並みの約54万円になる。この「半額セール」状態が受験生(特に家計を預かる保護者)に強烈に刺さる事になる
• 「公立」というブランド: 日本では依然として「国公立」というだけで一定の信頼感が生じる。
• 成功例: 高知工科大学や長岡造形大学などは、私立時代は定員割れ寸前だったが、公立化後に志願者が殺到し、偏差値が10以上跳ね上がったケースもある。
2. 都会への流出を食い止められるか?
ここには皮肉な「公立化の罠」が存在する。
• 地元占有率の低下: 公立化して偏差値が上がると、地元(県内)の受験生が入れなくなる。代わりに、都会や他県から「安くて偏差値が手頃な国公立」を狙う層が流入する。
• 流出抑制の限界: 結局、都会にあこがれる地元の上位層は依然として都会の難関大を目指し、公立化したことで「都会から学生を呼び込む」ことには成功しても、「地元の学生を留める」効果は限定的、あるいは逆効果になることすらある。
3. 就職において都会の大学に勝てるのか
就職に関しては、「地方での公務員・地元企業就職」には無双するが、「都会の大手企業」には苦戦するのが一般的だ。

• 「公立」という看板の効力: 企業の採用担当者は「公立大学なら一定の基礎学力はあるだろう」と判断するため、私立時代より書類選考の通過率は上がる。
• 実績のジレンマ: 近年の調査では、公立化した大学の約8割で「地元就職率」が低下しているというデータがある。他県から来た優秀な学生は、卒業するとまた都会や地元へ帰ってしまうためだ。
まとめ:公立化は「大学」を救うが「地域」を救うかは別
公立化は、潰れそうな大学を存続させ、職員の雇用を守り、学生の質を上げるには最高の手段ではある。しかし、それが「地域の若者を増やす」ことに直結しているかは疑問視されている。
【捕捉】
就職においては、「地方公務員や地元インフラ企業を目指すなら最強の選択肢」となるが、「都会のキラキラした外資やIT大手」を目指すなら、依然として都会の大学に圧倒的なアドバンテージがある。