主要国の大学進学率は日本以上という事だが、日本では下位の文系私立大学の存在意義が問われている現状をみると、日本より進学率が高いという事は日本以上に底辺大学が多い気がする。これは問題はないのだろうか。
結論から言うと、「大学」の定義や仕組みが日本とは異なるため、日本的な意味での「底辺私大(ボーダーフリー校)」がそのまま大量に存在するわけで無い。 しかし、学力格差や教育の質の維持という点では、諸外国もそれぞれに深刻な問題を抱えている。主要国の状況を比較すると、以下の3つのパターンに分かれる。
1. 欧州型:進学はしやすいが、卒業が「地獄」
ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国は、国立大学がメインで学費も格安(または無料)。
入り口の広さ: 試験さえ通れば誰でも入学できるため、進学率は非常に高い。
「底辺」が存在しにくい理由: 日本の「底辺私大」のように「学費を払えば卒業できる」仕組みでは無く、進級・卒業のハードルが極めて高く、学力が足りない学生は容赦なく退学になる。
問題点: この結果、「大学中退者」の多さが社会問題になっている。学力不足のまま大学に留まることができないため、「底辺大学」が残る代わりに「大量の大学ドロップアウト層」が生まれる構造となっている。
2. アメリカ型:学費高騰と「学歴の二極化」
アメリカは日本以上に私立大学が多く、教育格差が激しい国だ。
コミュニティ・カレッジ(2年制)の存在: 進学率を押し上げている要因の一つ。門戸が広く学費も安いため、ここが「受け皿」になっている。
「底辺」の形: 利益を追求しすぎる私立校(営利型大学)が、卒業しても仕事に繋がらない学位を高い授業料で売るケースがあり、「学生ローン破産」が深刻な社会問題になっている。
存在意義: 実務教育に特化している大学も多く、学力が低くても「特定のスキル」を身につける場として機能している点は、日本の文系私大とは少し毛色が異なる。
3. 韓国型:日本以上の高学歴社会と深刻なミスマッチ
韓国は進学率が70%を超える超高学歴社会だが、日本に近い「私立偏重」の構造となっている。
底辺大学の現状: 日本以上に深刻で、ソウル周辺以外の地方私立大(俗に「紙屑大学」などと呼ばれることも)は定員割れが続出しており、「卒業しても就職先がない」学生が溢れている。
問題点: 全員が大学に行くせいで、大卒でなければ人として扱われないような空気があり、結果として「高学歴の無業者」と「人手不足の現場」という極端なミスマッチが起きている。
日本の「下位文系私大」との決定的な違い
諸外国と比べて、日本の「下位私大」が特に批判されやすい理由は、以下の構造がある。

存在意義はあるのか?
批判は多いが、日本においてこれらの大学が維持されている「消極的な理由」も存在する。
「大卒」というライセンス発行機: 日本の採用市場では依然として「大卒」という条件が壁になるため、そのチケットを買う場所になっている。
若年層の失業対策: すぐに労働市場に出しても仕事がない若者を、4年間「学生」という身分で留めておくバッファー(緩衝材)の役割。
[!NOTE]
諸外国でも「大学に行き過ぎではないか」という議論は盛んに行われている。特にイギリスやオランダでは、近年「実務教育(職業学校)」への回帰を促す政策を強めており、大学進学率を抑えようとする動きも見られる。
各種の状況を考えると、実は日本の専門職大学というのは、AI時代こそ進化が発揮されるような気もする。政府もこれを何とか復活させる事は考えないのだろうか。