米国で「ブルーカラービリオネア(Blue-Collar Billionaire)」という言葉が話題になっている。ただし、言葉の響きから受ける「現場作業員全員が億万長者」というイメージよりは、もう少し構造的な変化を指してる。
具体的には
1. 米国で何が起きているのか?
「ブルーカラービリオネア」という言葉には、主に2つの側面がある。 ・「新・中産階級」としての台頭:AIがホワイトカラーの仕事(事務、分析、コーディングなど)を代替し始め、それらの給与が停滞する一方で、配管工、電気技師、空調整備士、建設現場の責任者など、AIが物理的に代替できないスキルの価値が急騰している。
・経営者としての成功:「ビリオネア」と称されるのは、単に従業員として働いている人だけでなく、こうした現場スキルを基盤に、デジタル集客や効率的なマネジメントを取り入れて事業を拡大したオーナーたちを指すことが多い。
現実的な報酬の例
ニューヨークなどの大都市では、熟練の配管工が数時間の緊急修理で数十万円(800ドル〜)を請求することも珍しく無い。また、年収が2,000万円(約15万ドル)を超える熟練技術者はザラにいて、これは平均的な中堅ホワイトカラーの年収を優に上回っている。
2. ホワイトカラーより報酬が高くなるのか?
「平均」で見れば、依然として医師、弁護士、エンジニアなどの高度ホワイトカラーの方が高い傾向にある。しかし、以下の逆転現象は顕著となっている。
・大卒ホワイトカラーの「コモディティ化」:誰でもできるデスクワークの価値が下がり、新卒のホワイトカラーよりも、見習いから始めた20代の電気技師の方が稼いでいるケースが激増している。
・学費負債の差:アメリカでは大学の学費が高騰しており、ホワイトカラーは大卒時の借金からスタートしているが、ブルーカラーは働きながら(給料をもらいながら)技術を習得するため、生涯賃金や手残り資金で逆転するケースが注目されている。
3. 日本もそれに追従するのか?
日本でも、米国と同じような「現場スキルの高付加価値化」は確実に進むと予測されている。
・人手不足:建設、物流、設備メンテナンスでの人手不足は米国以上に深刻で、価格交渉力が強まっている。
・AIの普及:日本企業もホワイトカラーの効率化を急いでおり、デスクワークの希少価値は相対的に下がる。
・インフラ老朽化:日本中の古い建物や設備の維持管理には「人間の手」が必要不可欠。
すでに始まっている兆し
最近の日本では、工業高校の求人倍率が30倍を超えるケースもあり、「ホワイトカラーからブルーカラーへ」の転職で年収が上がるというデータも出始めている。特に、以下の条件を満たす人は日本版「ブルーカラー富裕層」に近い存在になるだろう。
・高度な専門ライセンスを持つ:電気主任技術者、施工管理技士など。
・デジタルに強い現場職: 現場のIT化やDXを主導できる技術者。
・独立・起業する:現場仕事を「労働」ではなく「ビジネス(経営)」として捉えられる人。
結論
「汗を流して働く人」が、冷房の効いた部屋でエクセルを叩く人よりも高く評価される時代が、ようやく日本にも来ようとしている。
「ブルーカラービリオネア」は少し大げさな表現だが、「手に職を持つ人が経済的に最強」という価値観への揺り戻しは、日本でも不可避なトレンドと言える。
実際に今現在でも
新卒学生求人倍率(リクルート調べ)
・高校卒 3.52倍
・大学卒 1.71倍
ところが
・工業高校 20.6倍
・(工業)高専 40~50倍
・工業大学 10~20倍
文系大学はMARCHクラスでも0.6倍。メガバンクの新卒求人はこの7年で7割減、総合商社は直近で3割減という現実。
日頃このブログではMARCH文系をボロクソ言っているが、別に個人的に恨みがあるわけではなく、これらの現実を踏まえて日頃から読者に警告しているのだ。