技術者に一番必要なのは国語だった


前回のブログで、金沢工大が国語のみで入学できる話題を取り上げたが、実はこれ、見方によっては決して間違っていないかもしれない。

すなわち
現代の技術者に本当に求められているものは
① FFT・FEMは「魔法の箱」ではある
現場では実際に
FFT → 周波数成分を見る道具
FEM → 応力・熱・流体を解かせる道具
として使われてはいる。

しかし、重要なのは
数式を導けるかではなく、条件設定が妥当か/結果が変でも気づけるか。

これは数学力 < 工学的センス+読解力

② 仕事の7割は「言語処理」
開発技術者の一日を分解すると
・仕様書を読む(国語)
・要求仕様を曖昧なまま放置しない(国語)
・他部署と擦り合わせる(国語)
・客先の“言ってない本音”を読む(超・国語)
・結果を報告書に落とす(国語)

純粋に数式をいじっている時間は殆ど無い、というのが現実だ。

③ 数学ができても「日本語ができない技術者」は詰む
現場で本当に評価が低いのは
・理論は分かる
・シミュレーションは回せる
しかし
・報告書が書けない
・要点が分からない
・説明が長い or 伝わらない

こういう人材は、上司からの評価はだいたい
あいつ、頭はいいんだけど…
で終わり。

④ だから「国語1科目入試」は実は合理的
金工大の戦略を好意的に解釈すると
・数学・物理 → 大学で叩き直せる
・論理的日本語・文章読解 → 後から直すのが一番難しい
という割り切りだ。

実際に
・技術文書が読める
・仕様書の矛盾に気づける
・客先と揉めずに話をまとめられる
このタイプは年収も出世も早い。

⑤ ただし一点だけ注意
「理論は一切わからなくていい」は危険!
最低限必要なのは
・ FEMの境界条件が物理的に破綻していないか
・メッシュ依存性・数値発散の感覚
・FFTで見ているピークがノイズか実体か

これは
理論“理解”ではなく、理論“常識”のレベル。

結論は、現代の開発技術者は数式を解く人ではなく、数式の結果を「日本語に翻訳する人」

そしてその翻訳能力の正体が「国語力」なのだった。