中国の国営レアアース企業、業績ガタ落ち


中国はレアアースの世界シェアが大きい事を利用して輸出規制による資源の武器化を行ってきたが、この結果は中国のレアアース業界を代表する大手国有企業の業績の不信となっている。例として今年第1四半期(1~3月)には相次いで赤字を計上している。

中国のレアアース企業が一斉に損失を出した原因は、中国のレアアース武器化に対して日・米・豪は東南アジア地域でレアアースを増産し、独自のレアアース供給網の構築を本格化した結果供給が増え、国際価格が30~40%下落した事による。

レアアースという名称を聞くと、極めて希少な物質のようなニュアンスがあるが、実は世界中に大量に存在しているだった。しかし、抽出が面倒で有毒化学物質を使用するため、土壌と地下水が汚染され放射性物質が排出される問題もあり、「それなら中国にやらせて於けば良いか」という事で中国のシェアが極めて大きかっただけで、それを武器化するなら俺たちでやるか、という事だったのだ。

それにしてもやる事なす事、全てが「頭悪すぎ」という習近平政権だが、昔から中国には超優秀な人材がいる事は有名であり、これらの人材は何故に有効に活用されないのだろうか。

その理由は改革開放以降の中国(鄧小平〜胡錦濤期)は、実はかなりテクノクラート支配で
・理工系エリート
・経済官僚
・海外留学経験者
・データ・実績重視が
政策形成に深く関与していた。

ところが、習近平政権では、「有能かどうか」より「習近平に忠誠を誓うか」が人事の最優先基準になってしまい
・異論を述べる優秀な官僚 → 排除
・リスクを指摘する専門家 → 左遷・沈黙
・イエスマン → 昇進
という逆選択(adverse selection)が起きてしまった。

その結果、優秀な人ほど「口を出すと危険」だと理解していて
・正論を言っても採用されない
・データで反論すると「政治的に不忠」と見なされる
・最悪の場合、失脚・拘束・行方不明
であることを考えて、合理的に考えると「沈黙する」のが最適戦略と理解し、行動しているからというのだ。

そして、優秀な人材はこの危機を察して既に、「国外・民間・地下」に退避しているのだった。この行動は概ね4種類に分類される。
① 国外脱出
・欧米、シンガポール、日本へ移住
・表では沈黙、裏で完全に距離を取る
② 民間に籠もる
・表舞台に出ない
・政策には一切口出ししない
③ 体制内で「無害化」
・能力を発揮しない
・無難な報告だけを上げる
④ 排除・粛清済み

・既に失脚・拘束・消息不明

結局、国家の意思決定に残っているのは、最も能力の低い層になってしまったのだった。