コピーやプリンター、スキャナー、FAXなどの複数の事務機器の機能が1つにまとめられている事務機器である「複合機」の市場は現在、数多くのメーカーが参入している。

その中でも複合機市場でシェアの高い富士フイルムやCannonは、市場規模が小さいにも関わらず中国市場に進出していた。ところが最近、これらが相次いで撤退しているのだった。
富士フイルムは2012年には中国市場向けの商品開発機能を強化するために、2013年までに現地開発者を現在の約30名から70名に増強するなど発表していた。ところが2022年7月20日に突如、中国市場から撤退し現地でオフィス機器などを手掛けていた億和精密工業控股に複合機工場を売却すると発表。
しかし同年10月24日には、売却相手が売却後に生産継続するのは困難との判断から、工場閉鎖の方針を固めたと発表し、2023年5月末で工場での生産活動は終了し、2024年半ばに工場を閉鎖する予定となった。結局、中国企業が設備ごと買収しようとしたが、生産が出来なかったという事だ。
Canonも中国に進出していたが、2022年1月にロイターが「Cannonがデジタルカメラなどを製造する中国・珠海工場(広東省)の閉鎖を検討していることを明らかにした」と報じている。
さて、このように日本の複合機メーカーが中国市場から撤退する理由は何だろうか。最大の理由は、中国が機器の設計や製造の全工程を中国内で行うよう定める新たな規制を導入する動きをみせていることだという。
中国は増々露骨に日本企業の生産設備をノウハウ毎盗もうと企んでいるようだ。とりわけトヨタなどは規模も膨大だから撤退も大変だし、中国もノウハウを盗むまで簡単には撤退させないだろう。
流石のトヨタといえども、中国からの撤退に失敗すると痛手は大きい。
まあ、この辺は豊田会長の腕の見せ所ということか。