警察官によるライフル銃でのクマ駆除開始へ


警察庁は11月13日から、機動隊の警察官がライフル銃でクマを駆除する運用を秋田県、岩手県で始めるという。

クマが生活圏に出没しハンターが間に合わない時などに、機動隊の警察官がライフル銃を使って駆除する運用を始めるというのだが‥‥。

当面はライフル銃を持った2人の機動隊員に指揮官と市町村との調整役を加えた4人で1チームとし、1県あたり2チームを設置し、この体制作りのため、6日から2県以外の警察の銃器対策部隊を現地に派遣し、出没地域でハンターに同行したりクマの特性を学んだりして準備を進める。

実は警察でライフル銃を使うのは特殊なテロ対策専門の部署のみであり、立てこもり犯の狙撃などを行うのだが、果たしてどの程度の練度があるのか。民間のハンターの場合、狩猟用ライフルの所持には散弾銃で10年の狩猟経験が必要だ。そして日本の大物猟ハンターの多くは鹿か猪猟であり、ツキノワグマ猟をやるハンターは極一部だ。ましてやヒクマ猟なんて例え狩猟用のライフルを所持していても全く縁がない場合が多いだろう。

そんな熊のライフル銃による駆除を、狩猟の素人である警察官が多少の訓練を受けたくらいで安全に熊を駆除できるのだろうか。

この件に対して、大日本猟友会の会長は「クマは人を見ると向かってきて、非常に危険。知識も経験も少ない警察官が、一定の研修や訓練を受けただけで緊迫した現場で『緊急銃猟』ができるとは非常に疑問だ」と指摘している。

前述のようにライフル銃を持った二人の警察官と指揮官のチームが対応するというが、市街地では比較的近距離での射撃となるから、二人が同時に撃ったとしても熊を即死させられるとは言えないし、半矢の熊が射手に向かって突撃してきたらどうするのだろうか?

警察が使用するライフルは銃器対策部隊(SAT・SIT)や警護課が装備している、豊和工業製 H&K G3A3改(7.62mmライフル)があり、これは20発の断層を持つオートマチック方式なので、20発を短時間の撃つ事ができる。とは言え、これを熊の駆除に使う事はないだろう。

もう一つ警察が装備しているのは、ボルトアクション式ライフルで、ハンターが使っている狩猟用ライフルとほぼ同じものだが、これは次の弾を装填している間に熊が突進してくる危険性は十分にある。このため、ハンターはライフル射手と共に2連式の散弾銃持った射手が緊急用に控えており、遠距離の射撃精度はライフルに劣るが、近距離での威力は抜群の熊専用のスラグ弾を確実に2発発射できる体制
を整えている例が多いようだ。

念のために調べてみたらば、北海道では警察や猟友会が参加する「熊対応訓練」 というのがあり、ここでは近距離での確実な“止め撃ち”確保 のスラグ弾による訓練も行われているようだ。

また、警察にはスラグ弾用の散弾銃も配備されているらしいから、北海道のように経験者の多い自治体は意外に問題なくいけるかもしれない。ただし、警察が装備している散弾銃はレミントンM870 と言われているから、これは主導でスライドして弾を装填する通称「ポンプアクション」で、オートマチックよりも回転不良が起こりずらいが、速射性では2連銃に敵わない。

ヤバいのは県警上層部が全く分かっていないような自治体であり、まあ、この辺は『事故』が起こってから対策するのかな。