少子化による受験生の減少とともに、日大生産工や東海大工のような「中堅私大理工系」の一部学科では、全入寸前の偏差値37.5という状況になっている。これらの大学・学部は大手企業の研究開発職としても一定の就職実績を持っているが、偏差値の大幅な低下でも良質な就職を維持できるのだろうか、と思って調べてみたら‥‥
現在、「中堅私大工学部 → 自大学大学院 → 大企業研究開発部門」というルートは確率されている。そして偏差値が低下しても、内部のトップ層(成績上位1〜2割)は依然として大学院で力を伸ばす。
大学院進学後に教授の推薦・研究室コネで大企業R&Dへ進むことも可能。ただし、ハイレベルの学生を以前ほど確保できないので、絶対数は減っているとも言われている。
では上位1~2割の学生はどうやって確保しているのかというと
① これらの大学は全国に多くの付属高校を展開している。この中のトップ層で理科系に向いている生徒を徹底教育して大学に内部進学させている。
➁ 一般入試で入学した学生の中には、理科系に特化して極めて才能があるが、受験勉強が嫌いという層がいて、これらが目覚めて勉学に励むことで、優秀な大学院生を確保できる。
しかし、優秀な付属高校生が他大学に流れる事はないのだろうか。これについては、当然内部進学が極めて有利な体制になっているし、トップ層には医学部推薦という奥の手を持っているもの、これら大学の強みでもある。
結局、37.5の学生は進級できずに退学していったりするので、大学としてはそれほどの危機感を持っていない事や、付属高からの「自己調達」という伝家の宝刀もあるので、そもそも受験産業の道具である偏差値なんていうものを重視していない。また、企業にしても特定の研究室から即戦力の学生を採用できるのだから、学歴フィルターなどは全く関係ないという事のようだ。
とはいえ、理系大学院修了者の割合は文系に比べて明らかに少数派だ。世の中の多くの学生はMARCHを神と尊敬し、それがダメなら日東駒専とか言って、結局大手企業に入れてたとしても営業マンであり、現実には中堅以下の企業ならまだ良いくらいで、下手をすると派遣社員という事になる。
実際に憧れの青学を卒業したが、中小の貴金属店チェーンに就職した、なんている例も知っている。