フィリピン海軍が日本の中古護衛艦導入に続いて、F-2戦闘機も導入したいという意向も持っているが、実は他の東南アジア各国もF-2戦闘機を導入したいと思っているようだ。確かに東南アジア各国は地形的に日本の防衛と似ていることから実に適した性能で、導入する事により中国はに大いなる脅威となり、好き勝手が出来なくなるなど、対中国戦略には極めて有用だと思われる。

しかし、事はそう簡単ではない。F-2戦闘機を購入するにしても、そこには大きな障害がある。それらを列挙すると
1. 製造終了
F-2はすでに2011年に生産終了。
現在存在する機体はすべて航空自衛隊向けで、余剰機の売却余地はほぼない。
2. 維持整備の難しさ
部品の製造ラインもほぼ閉じられており、供給は日本の自衛隊向けに限定。
東南アジア諸国が導入しても、補給・修理部品が確保困難で運用が持続できない。
3. 日米共同開発機であること
F-2は三菱重工と米ロッキード・マーチンが共同開発。
レーダー、電子装備、素材などに米国技術が深く組み込まれているため、第三国への輸出には米国の承認が必須。
米国は基本的に「自分のF-16やF-35を売る」方を優先するため、承認は現実的に困難。
4. 日本の武器輸出規制
日本は2014年に「防衛装備移転三原則」により輸出制限を緩和したが、依然として実績は少なく、慎重姿勢。
特に完成品の戦闘機を第三国へ輸出した例はまだない。
5. コストの高さ
F-2は「国産F-16」とも呼ばれるが、実際は改良要素が多く、調達価格はF-16の2〜3倍と言われる。
東南アジア諸国にとってはコスト負担が大きすぎる。
6. 後継機開発の影響
日本はすでにF-2の後継機として「次期戦闘機(F-X、現在はF-3:グローバル戦闘機開発計画)」にシフトしている。
将来的なリソースは後継機に集中しており、旧型F-2の輸出を進めるインセンティブが日本側にない。
7. 政治・安全保障上の配慮
日本が東南アジアに先端兵器を輸出すると、中国を強く刺激する可能性。
ASEAN諸国も微妙なバランスの中にあるため、政治的に実現しにくい。
という事で、残念ながら実現は極めて困難だろう。
でもねぇ、F-2は旧世代機とはえ、実はポンコツの中国戦闘機に比べれば遥かに戦闘量があり、東南アジア各国がF-2を導入したら、中国のパワーバランスは明らかに低下するだろう。
う~ん、残念だなぁ