航空自衛隊機が中国軍の「怪しいプロペラ機」を撮影

防衛省・統合幕僚監部は7月16日、中国軍のY-9情報収集機が沖縄本島と宮古島の間を通過したと発表し、航空自衛隊が撮影した機体の画像を公開した。

この時の機体は15日午後、東シナ海方面から飛来。沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に至り、太平洋上を与那国島沖まで飛行した後、旋回して反転。再び沖縄本島と宮古島の間を通過して東シナ海で飛び去った、という。

Y-9が初めて日本の領空を侵犯したのが確認されたのは、24年8月26日だった。

Y-9情報収集機(Y-9JB)は、シギント(SIGINT、英語: signals intelligence通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報・諜報活動)型で機首、前部胴体側面、後部胴体側面にアンテナを装備している。上の写真では胴体側面の前後にアンテナが見える。

ベースとなるY-9は中型輸送機で、その派生型を含めて2019年までに83機以上が製造されたという。Y-9 ベースの特殊用途機としては、Y-9JB以外に

心理戦型 Y-9XZ:国家、組織、個人などの意見、態度、感情、印象、行動に影響を及ぼすことを目的として、身の周りや情報に計画的な活用・応用・操作・宣伝・防止・観察・分析などを施す

早期警戒機 Y-9W:レーダーを装備し、敵・味方の航空機等の空中目標を探知・警戒する

ECM(ジャミング)型 Y-9G:敵が利用する電磁スペクトルを妨害するための活動

通信中継機 Y-9T:潜水艦との通信を行う

対潜哨戒機 Y-9Q:対潜戦を重視して設計・装備された航空機

早期警戒機 KJ-700:レーダーを装備し、敵・味方の航空機等の空中目標を探知・警戒する

電子戦機 Y-9LG:敵による電磁周波数帯域の利用状況を検知、分析した上で妨害や逆用する活動と自軍の電磁波の円滑な利用を確保するための活動をする


このY-9JBと同じ用途の自衛隊機はRC-2情報収集機で、自衛隊の最新鋭輸送機C-2をベースとしている。ターボフロップ(プロペラ)機が主流の軍用輸送機としては珍しいターボファンエンジンを採用している。


そして米国の情報収集機はRC-135で、C-135輸送機に改造を施したもの。C-135のベースはボーイング707-320旅客機で、軍用輸送機としてはターボファンジェットエンジンを採用した最初の機種となる。C-135の初飛行は1956年であり、日本のC-2との年代差が良く判る。


ここで中国、日本、米国の情報収集機を比較してみる。

RC-135は機体の基本設計は古いものの、電子機器は最新鋭となっている。RC-2は流石の最新鋭機。そして、Y-9 JBはといえば、日米に比べれば明らかに劣っているが、まあポンコツ空母と同じで威嚇用としては使えるかも(笑