中古の「あぶくま型」護衛艦全6隻をフィリピンに輸出

日本とフィリピン両政府が、海上自衛隊の中古護衛艦を輸出する方向で一致していた。中谷防衛相とギルベルト・テオドロ比国防相が6月上旬にシンガポールで会談した際に中古護衛艦の輸出について確認したという。

輸出する護衛艦は「あぶくま型」6隻で、就役から30年以上経過した事と、自衛隊員不足に対応する省人化の為に新型艦(もがみ型)と交代する事で退役予定である事から、現有の6隻全てをフィリピン側に輸出するという事だろう。

あぶくま型は中国のフリゲート艦054型(3,450トン)に比べて小型(2,000トン)だが、吃水も054型の5.0mよりも浅い3.8mであり、島しょ部が多いフィリピンでの就役では、逆に大きなメリットともなるし、同じく島国である日本の護衛艦の特性はフィリピンで使用するには極めて相性も良く、まさにドンピシャだ。

あぶくま型の動力は9,300hpのディーゼルエンジン2基と27,000hpガスタービンエンジン2機(合計72,600hp)という強力なものだ。054型は28,200hpディーゼルエンジン×4基(合計112,600hp)と、スペックだけ見ればより大きな船体に対して充分のようにも見えるが、中国のディーゼルエンジン技術で、果たしてマトモな船舶用エンジンなんて出来るのだろうか。

調べてみたらば、中国の船舶用大型ディーゼルエンジンは、ドイツMAN社の旧型エンジンのコピーだった。なんとか運用は出来るのだろうが、出力密度・耐久性・燃費などでは、日本製に対して大きく劣っているようだから、中古とは言え日本製のディーゼルとガスタービン併用のあぶくまは、中国艦に比べて圧倒的に勝っていると言えるだろう。

フィリピン海軍は現在、軽フリゲートやコルベットのみで駆逐艦を持たないため、能力的には大幅に強化されると現地でも評価されている。これに対応して中国は、「この件に対して反撃措置を躊躇しない 」と脅かし、「パンドラの箱を開く」可能性と猛烈に批判している。

フィリピンは既に日本から中古巡視船を供与されていて、最近の日本はフィリピンの対中国戦略に対して大いに協力しているのだった。