その最大の目的は核施設の破壊であったが、地下深くの強固な施設を破壊する事はできなかった。これを破壊するためには米軍のバンカーバスターが必要であり、果たして米国がこれを支援するのか、という疑問が世間で取りざたされている。
ところが、一方では国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は16日、イスラエルの軍事攻撃に伴う停電によって、イラン中部ナタンズの主要ウラン濃縮施設で稼働していた約1万5000台の遠心分離機が大きな損傷を受けた、もしくは破壊された公算が大きいという認識を示した。(ロイター)
という報道も出てきた。

またイスラエルによる攻撃で、エスファハンの核施設にある建物4棟が損傷し、中央化学研究所、ウラン転換工場、テヘラン原子炉燃料製造工場、そして建設中だった、四フッ化ウラン(UF4)から濃縮ウラン金属を加工する施設が被害を受けてといわれている。
なお、イスラエルの攻撃を受けたのはイランの2か所の核開発施設で、それらは
① TR(Natanz)核施設
- 場所:イラン中部・イスファハーン州、首都テヘランの南約250km
- 特徴:
- イラン最大級のウラン濃縮施設で、地下にある「燃料濃縮実験プラント(PFEP)」と「深層遠心分離施設(Fordowとは別)」が存在。
- 国際原子力機関(IAEA)の監視下にもあり、度々西側諸国と対立の焦点に。
- これまでもイスラエルによるサイバー攻撃(例:Stuxnet)や爆破・暗殺の標的にされてきました。
- 今回の被害:6月13日、施設の地下セクションが空爆されたとの報道あり。IAEAは破損を認めたが、放射線漏れなどは検出されず。
② イスファハーン(Isfahan)核技術センター
- 場所:ナタンツから南へ約100kmにあるイスファハーン市内
- 特徴:
- ウラン転換施設(UCF)を中心とした核開発拠点。
- 原料ウラン(イエローケーキ)を六フッ化ウラン(UF6)に加工する施設が存在し、遠心分離による濃縮の前段階にあたる。
- 軍事研究や実験的な原子炉との関係も取り沙汰される。
- 今回の被害:軍需関連施設を兼ねていたとされ、空爆により複数の建物が損傷。軍用ドローン倉庫が爆発したとの情報も。

今回の情報が真実ならば、米軍の力を借りてまでこれ以上地下の施設を攻撃せずとも、イランの核開発は大幅に後れを取った筈だが‥‥。