中国の通販サイト 幻の名真空管を使ったオーディオアンプが6.4万円!




ウエスタンエレクトリックWestern Electric)は、かつて存在したアメリカ合衆国の電機機器開発・製造企業で、その製品の一つとして映画館用の音響システムがあった。中でも「300B」という大型三極管を使用したシステムが、映画のトーキー化とともに長年主流の座を占めていた。

このウエスタンエレクトリック300B、通称WE300Bはマニアの間では伝説的となっていて、今から半世紀程前には、この真空管を使ったアンプを自作するマニアが、一部存在していた。

当時でも幻と言われていた300Bだが、補修用としてITT4300Bという新品を製造した事から、これが市中に出回り、価格も現実的なために一種のブーム(と言ってもマイナーな世界での話だが)となった。

WEのオリジナル300Bについては、結構偽物も存在していたが、明らかに本物で新品というモノは、当時でさえ1本5万円が相場だった。

その300Bが、最近マニアの間でリバイバルしているという。そこで、調べてみたらば楽天に出展されていた。

写真どおりなら、これは本物のようだが、価格は11万円也。まあ、半世紀前に5万円だったのだから、ある面妥当な価格でもある。出展しているのは神田神保町にある日本の企業だから、これは本物である可能性は高い。

まあ、誰が買うのかは知らないが、趣味の世界となれば常人には理解できない金の掛け方をするのもアリだろうか。

そんな300Bだが、最近は中国製のパチモンが出回っていて、それを使用したパワーアンプさえ販売されている、との噂を聞き、早速調べてみた。

価格は10万円以下から百万円単位まで、正に玉石混合、いや玉は無いかもしれないが、ECサイトでの出展数は結構あった。

その中では低価格なものとして、以下の例を取り上げてみる。サイトは例のAliExpressで、何かと問題の多い中共丸出しのサイトだ。

その価格は63,442円と本当に300B相当のものなら買い得にも見える。

しかーし

画面を右にスクロールして隠れている部分を表示させると

なっ、なんと、本体63,442円に対して、送料が23,517円

いくら中国から航空便で配送するといっても、これはボリ過ぎだ。

しかも、90日以内返品無料とあるが、返品したら63,442円が帰ってきても、恐らく送料23,517円は帰らないだろうし、返品の為の送料も差し引かれたら、帰ってくるのは3万円程で、だとすればこれは‥‥。

とろこで、このアンプの写真にはシャーシー上のトランスカバーを外した写真があった。

そこには、高級アンプには似つかわしくない安物丸出しのトランスがあった。中央が電源トランス、左右が出力トランスのようだ。

真空管については、アンプに付属しているとは思うが、特に300Bについては当然中国製のパチモノだろう。この中国製300Bは結構出回っているらしく、その代表的なものは価格が7000円位が多い。

まあ、何でもコピーしまう中国だから、300Bだってパチモノを作るのは朝飯前だが、果たして使い物になるのだろうか。

300Bは殆どがシングル、すなわち出力管が各チャンネルに1本の為に、出力はせいぜい5Wと少ない。これで充分な音量を得るには、オールドタイプのアルテックやJBL(の旧タイプ)、そしてタンノイなどの効率の良いスピーカーを必要とするが、これは手に入るのだろうか?

もしかして、これらも中国製パチモノがあるとか?

これについては次回までに状況を把握しておく予定だ。

乞う、ご期待