日本ではタクシー用車両として長年トヨタ コンフォートとクラウン コンフォートが使われてきた。コンフォートはベースとなるモデルで、そのホイールベースを伸ばしたのがクラウン コンフォートで、その違いは一見しただけでは判別しにくい。強いて言えばグリルに王冠マークが付いていればクラウン コンフォート、トヨタマークならコンフォートという事になる。
しかし、コンフォートシリーズは1995年に発売された設計の古いモデルであり、流石にトヨタもこれを継続生産する事が難しくなり、一時期はプリウスをタクシー用として推奨していたが、本来タクシー用ではないプリウスでは耐久性などの問題もあり、コンフォートからの置き換えはスムーズにはいかなかった。
そして、タクシー用としてトヨタが満を持して発売したのがJPN TAXIだった。JPN TAXIは国土交通省が定める「ユニバーサルデザインタクシー」の設定要件を満たした車種で、デザインは英国のロンドンタクシーを彷彿差させるものだ。
JPN TAXIのパワートレインは4気筒 1.5Lエンジン+電気モーターのハイブリッド車で、特徴としては燃料がLPGであるという事だ。
このJPN TAXIがどうやら売れ行きが芳しくないという。そして、その代わりに売れ行きが伸びているのは、何とシエンタだっだ。確かに、駅前ロータリーのタクシー乗り場には、一見するとJPN TAXIに似ているが、いや違う。これは何だと思う事があったが、これこそシエンタのタクシーだった。
では、タクシー専用車のJPN TAXIを差しおいて、何故にシエンタが売れているのか、といえば‥‥
1.価格が安い
JPN TAXIの337万円に対してシエンタは239万円と約100万円も安い。JPN TAXIはタクシー用としての耐久性を考えた作りと、生産数も少ない事から割高となっている。
2.シエンタにはガソリン仕様がある
JPN TAXIは燃料がLPGのみであり、都会の大手タクシー会社なら自社でLPGの補充ができるが、中小業者や地方ではLPGステーションの数が少なく、燃料の供給に難があることだ。
では、何故にJPN TAXIにガソリン仕様な無いのかといえば、タクシーの主力がガソリンになったら、ただでさえ減少してるLPGステーションが無くなり、古いコンフォートを使用しているタクシー会社に影響が出てしまう。まあ、言ってみれば、国の政策の間違いなのだが、役人がそんな事を認める筈も無く、この問題は根本的に解決するのが難しい。
とは言え、シエンタはJPN TAXI程には耐久性を重視していないとか、JPN TAXI程の足元の広さは無いなどの問題もあるが、一部では寧ろトランクスペースが大きいシエンタの方が使い易いなんていう意見もある。
ここで、JPN TAXIとシエンタの主要諸元を比較しておく。