米国はベトナムに対して相互関税を46%課すと決定した。これにより、人件費が安いという理由でベトナムを最大の生産基地としていた、韓国サムスン電子はスマートフォン事業で大きな打撃を受ける事が予想される。
3日の米国資料では、全世界の主要なスマートフォン生産地であるベトナム、中国、そしてインドに対してそれぞれ46%、34%、27%を課税するとしている。これに先立って課税されている20%も考慮すると、ベトナムと中国には合計では54%もの関税が課せられると言われているから、これらの国に生産が集中している企業は大きな打撃を受ける事になる。
サムスン電子と共に米国のスマートフォン市場を二分しているアップルも、iPhoneのサプライチェーンを中国を中心に組んでいる事から打撃は極めて大きいだろう。特にアップルは年間売り上げのうちの43%を米国で販売している事から、値上げによる販売不振は深刻になるだろう。
ただし、これらの税率は最終的なモノではなく、今後は交渉により税率が下がる事も考えらえる。逆に中国については、ベネズエラ産原油の輸入を理由に更に25%の関税を追加するともいわれ、この場合は中国に対する輸入関税はなんと79%にも達する可能性がある。
トランプ政権は本気で中国経済を完全に崩壊させるつもりのようだ。
米国のスマホ市場ではiPhoneが圧倒的に強く、サムスンを代表とするアンドロイド系のシェアは少ないというから、アップルに対する高関税はそのまま米国内のスマホ価格の高騰に繋がってしまう。まあ、この辺は今後の政治的駆け引きだろうが、とにかく強引な数値を出して交渉を有利にするという、トランプ氏の商法に対して、どの辺で折り合いをつけるのだろうか?
グローバリストと中国を攻めるためには、米国にとっても多少の痛手は覚悟の上だろう。世界中の多くのマスコミが騒いでいるように、トランプ氏は気が狂った訳ではなく、まさに「肉を切らせて骨を切る」という、凄まじい戦いを繰り広げているのだった。
なお、スマホとともにサムスン電子の屋台骨を支えている家電については、製造拠点がメキシコであり、同国が追加関税を免れた事にひとまず安堵しているだろう。