現在激しい議論が続いている私立高校の授業料無償化だが、これについては当然懸念事項も多い。
その最大のものは、私立高は高い授業料と引き換えに質の高い教育を得られるのだから、それを親が負担するのは当然で、もしも私立でも公立でも親の負担は同じとなれば、当然私立が主流となるのは当たり前だ、という意見だ。
事実、既に事実上私立高の無償化が進みつつある大都市では、公立高校の凋落が始まっているという。東京都の場合、都立高校の定員割れが問題になっていて、昨年度は約25%の都立高が定員割れとなっていた。その昔の東京では、都立普通科高校は私立よりも圧倒的に人気もあったし優秀だった。それが崩れたのは例の学校群制度だった。
それでは、最近の東京での優秀校の状況はどうだろうか? 先ずは偏差値70以上の、いわゆる超進学校を見ると
・偏差値75以上は国立と私立の超難関校が並んでいる。
・70~73には、意外にも半世紀前の名門都立高で、旧制府立中学である日比谷、西、立川が復活していた。
・70以上の国:公:私立の割合は、4:8:13と、やはり私立が強い状況となっている。
・60~69では2:21:92、このクラスでは圧倒的に私立が多い。そしてこの偏差値帯こそ、半世紀前には都立高校が担っていたポジションだった。
・57~59では0:24:40、これまた私立優性だ。偏差値57以上がMARCHに合格できる可能性のある範囲と言われている。
・50~56では0:35:110、やはり私立が圧倒的に多い。この範囲は大学受験のボリュームゾーンであり、一般入試なら日東駒専~大東亜帝国クラスを狙うか、指定校推薦なら運良くMARCH合格もあるかもしれない。
・45~49では0:42:48、上記の範囲と共に45~56というボリュームゾーンは全体の約38%を占めている。更に45以上というのは全体の70%であり、東京都の大学進学率が73%であるから、ここまでが大学進学者としても大きな間違いはないだろう。
・40~44では0:44:31、偏差値40は上位から84%であり、この範囲は上から84~70%となる。専門学校の進学者は14%であり、何とピッタリと一致する。勿論例外もあるから全てではないが‥‥。
・36~39では0:18:7、この範囲では公立高の場合、圧倒的に工業高校が占めている。これは高卒で就職する割合と、これまた一致している。
さて、この結果をみれば、公立も私立も意外に広い範囲に渡って分布しているが、偏差値50以上では私立が公立より大きく躍進している。すなわち、名の知れた大学に入学するには、私立が有利という事で、その意味では公立高の凋落は否定できない。