ZEN大学とは2025年4月に開学するオンラインだけで大学卒業資格を取得することができる大学で、昨年10月に入学定員3500人で認可された。ZEN大学は株式会社ドワンゴと公益財団法人日本財団が共同で設立する一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会が準備を進めていた。
現在のプレスリリースを見ると、『学校法人日本財団ドワンゴ学園』と表記されていりう。
ドワンゴはKADOKAWAの完全子会社で、ニコニコ動画などで有名だ。一方の日本財団は競艇(ボートレース)の収益金をもとに、海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業を主に行っている公益財団法人。
ZEN大学が設置する学部は「知能情報社会学部」で、『「数理」「情報」「文化・思想」「社会・ネットワーク」「経済・マーケット」「デジタル産業」の6分野を横断し、文系の学びも理系の学びも特定の学問領域に偏らない学びを修めることで、激変するAI時代に対応して活躍するために必要なリテラシーを身につけることができると』という、まあ、最近お馴染みの文理融合ゆるふわ系というところか。
入試などの現況は2月5日のプレスリリースによると‥‥
出願者の2割が授業料全額免除型の奨学金制度に応募し、応募者の64%が世帯年収は399万円以下。
また、出願者の61%が高校生で、47%がN・S高校からの出願
ここで、N・S高校っていうのは何かと思って調べてみたらば
N高校は学校法人角川ドワンゴ学園が設置し、2016年(平成28年)4月1日に開校した通信制高校で、本部は沖縄県うるま市。
S高校は同じく角川ドワンゴ学園が開校した通信制高校で、開学の理由はN高校が収容人数の限界に達したためだった。
この2校を併せてN・S高校というらしい。
要するにZEN大学の約半分は事実上の内部進学だった。
また、出願者の先願率は87%で、多くは他の大学を受けずにZEN大学一本で決めていたようだ。
実際には未だ締め切りはしておらず、3月25日まで受け付けていて、合格発表は3月31日。なお、昨年12月時点では定員3500人に対して約2,000人が出願していた。
Youtubeの受験関連コンテンツでは、このZEN大学の大きなメリットとして、一般大学に比べて授業料が安い事を挙げているが、いやいや、通信制を一般大学を比べてどうするんだよ。
因みに通信制大学として比べると、卒業までの4年間の学費は
ZEN大学 1,520,000円(38万円×4年間)
中央大学(通)528,000円
法政大学(通)600,000円
放送大学 706,000円(入学金+124単位)
日本大学(通)797,000円
慶應義塾大学(通)860,000円
ええっ、通信制としては寧ろ高すぎるくらいだ。しかも、相手は大学としては一流どころじゅあないか。
さて、この大学、上手くいくのだろか?
新しい発想の大学といえば専門職大学があるが、こちらは既に多くが失敗に終わっている。
現在の大学進学というのはほぼ高校のランクで決まっている。偏差値70超の優秀進学校は、トップクラスならば東京一工、次に早慶。偏差値65クラスならMACH、60クラスなら日東駒専、という具合で、これに大東亜帝国と言われる学校群や、これらに近いクラスを加えると、高校偏差値50以上のボリュームゾーンは、都市部の大手私大ががっちり抑えている事になる。
問題はそれ未満の大学であり、特に全入となるボーダーフリー、いわゆるFラン大学は、専門学校とも競合し、高校生の半分である偏差値50未満高校からの学生確保に熾烈な戦いを挑む事になるが、何れも厳しい経営状態となっているようだ。