八潮市の下水管破損事故は未だ運転者が取り残されているキャビンが発見されない状態だが、その経緯は一体どうなっているのだろうか、という事で、今回は事故に巻き込まれたトラックについてまとめてみる。
下水道管の破損によって道路の下の土砂に空間ができ、アスファルトで支えていた道路が耐えきれなくなったところに、運悪く事故に巻き込まれたトラックが通過し、そのまま前のめりに穴に落ちてしまった。
その後、トラックの前方から崩れた土砂が被さる事で、運転席側から埋まっていったが、トラックのボディ後方は確認できる状態だった。
そこで、救助隊はトラックの荷台にワイヤーロープを掛けて、大型のラフタークレーンでつり上げたが、最初はワイヤーロープが切れてしまう。
ワイヤーロープが切れるという事は、トラックの重量よりも相当に大きな荷重を掛けても持ち上がらないという事で、トラックのキャビン部分には多くの土砂が堆積して、これを強引に引く抜く事は無理と判断すべきだった。
ところが、恐らくより太いワイヤーロープを掛けて強引に引き抜いたのだろう。引き抜いた後の空間に周囲の土砂が流れ込み、その結果写真下の手前にある電柱などが崩落し、別の穴が開いてしまった。
しかも最悪な事に、引き上げられたトラックには肝心のキャビンが付いていなかった。
ところで、事故にあったトラックについて、さるTV局では「2トン車」と伝えていたが、業界の常識ではこれは「クレーン付き4トン車」だ。この2トンとか4トンというのは、実際の積載量ではなく、あくまで車両クラスとしての呼び方なのは業界では常識だ。
事故車はキャビンと荷台の間にクレーンが装着されている。このクレーンの重量があるために、車両重量が重くなり、総重量8トンに納めるために最大積載量を2トンに減らしているのだった。では、何故に総重量8トンかといえば、旧普通免許、現行では中型8トン限定免許で運転できるからだ。
では、4トン車と2トン車の違いを比べてみる。
写真の「中型4tクレーン付」は、今回の事故車と同型のタイプだろう。
そして、もうひとつ。キャブオーバー式トラックのキャビンは整備の容易さのために、キャブ全体が前方に倒れる、通称「チルトキャブ」という構造になっている。すなわち、キャビンは前方のヒンジと後方のストッパーで固定されているのみで、今回のように大きな力を掛ければ、容易にボディーから外れてしまうのは常識なのだ。
要するに、この辺の事を全く分かっていな素人が救助の指揮を執っていたという事になる。
まあ、今更言っても始まらないが、これは別に消防を攻めているのではなくて、この事故は重大災害であり、県知事は即座に自衛隊に災害出動を求めるべきだった、という事だ。
ところで、その埼玉県知事はと言えば‥‥民主党系だった。特にド左翼という訳ではないようだが、イマイチだよねぇ。