軽EV 日産サクラが販売不振?




軽規格のEVとして人気の日産「サクラ」だが、このところ販売台数が激減しているという。

本当かよ。

そこで念のために発売以来の販売台数を調べてみた (出展 全国軽自動車協会連合会)

成程、24年7月のピークを除けば、24年4月の年度代わりを気に低迷している。

サクラの価格は22年5月の発売時には233~294万円だったが、24年6月には254~308万円とベースグレードで言えば約20万円程値上げされている。

とは言え、サクラは購入時に補助金として国から55万円に加え
更に自治体からの補助金もあり、東京都の場合は55万円で、結局車両価格よりも実質110万円安く購入できる。すなわち、ベースグレードなら約150万円で買えるのだから、これは軽ガソリン車の上級モデルと変わらない事になる。

ところが、実際にサクラを買ったユーザーの評判は結構厳しく、そのデメリットとして挙げているのが
① 航続距離が短い。メーカー発表で 普通車のEVは300~400キロに比べて180キロと短い。
② 充電に時間がかかるし、電気代も思いのほか高額。
③ヒンジドアが使いづらい。軽の人気モデルである、ハイトワゴンの多くはスライドドアだ。

などで、①については、元々軽自動車という街乗りを想定している車種だからバッテリーも小さいし、これは当たり前なのだが‥‥。

また、②については、EVのデメリットであり、EV自体環境に優しくない事がばれているが、実際に購入したユーザーはそれを身をもって体験したという事だ。

そして③のドアについては、確かに日産の軽で一番売れているルークスはスライドドアだ。

それに対してサクラはヒンジドアだが、実はサクラのボディはそのまんまデイズであり、またルークスのように家族揃ってのファミリーカーではなく、あくまでチョイ乗りのセカンド、サードカーだ。また、サクラのボディはデイズと共用する関係上、スライドドアは採用できなかったのだった。


そのサクラが売り上げ減少とともに、購入したユーザーが上記の理由から早期に手放す例が多いのだという。サクラの発売は22年5月だから、最も古い車種でさえ2年6カ月だ。実はEVの補助金は4年以内に車を手放すと補助金の返還義務が発生するのだが、それでも手放したいというのだから、余程ひどい目にあったのだろ。

これも念のために中古車の状況を調べてみると、グーネット中古車の場合、1034件がヒットした。一例では、22年、走行1.6万キロで150万円とかで販売されていたが、補助金を考えれば新車が実質150万円で買えるのに、同価格で中古車を買うバ〇がいたらお目にかかりたいものだ。

EVを買うのは、セカンドカー用途であり、ある程度裕福で更に「意識高い系」だから、そのパイは限られている。要するにそういう階層に生き渡った後は、売り上げは急減速する事は容易に想像できるし、正に今その状況に突入したのではないだろうか。

ところでEVといえば、トランプ政権に入閣するイーロン・マスク氏は代表的なEVメーカーであるテスラの経営者だが、この辺はどうなっているのだろうか?

実は、富裕層に取っては静粛性や滑らかで強力な加速など、経済性に関係なくEVに魅力を感じて、サードカーに使おうか、なんていう階層がいる訳で、そのテスラの最上位であるモデルSは1,266~1,566万円という高価格であり、性能も圧倒的だ。
Tesla Model S 試乗記 2016/7 

要するにテスラは欧米の上位10%の富裕層のそのまた一部をベンツやビーエムの上級セグメントモデルと分け合えば、十分に会社は成り立つのだった。

対する日産は、庶民相手にEVを売ろうというコンセプト自体が間違いだったという事だ。

残念っ!