29日のロイターによると、28日に公表された英BBCとのインタビューでファーストリテイリングの柳井正CEO(写真下)が、強制労働疑惑が近年持ち上がっている中国・新疆ウイグル自治区産の綿花を使っていないと説明したことから、主力ブランド「ユニクロ」が中国で不買リスクに直面している、という。
柳井氏の発言は中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で拡散され、複数のユーザーが同社を非難し商品のボイコットを訴えた。
中国国内でのユニクロの売り上げは年間約303億元(約5,000憶円)で、これはユニクロの海外事業の約43%を占ているというから、同社にとっては極めて重要な市場という事になる。
柳井氏は今迄、中国での影響を考えて政治的発言は控えていたが、それを敢えてこの時期に翻したのはなぜだろうか?
この騒ぎに対して中国政府は外務省の毛寧副報道局長が29日の記者会見で「政治的な圧力」を排除すべきだとけん制し、柳井氏に対しては「自らの利益に基づき経営判断を行うべきだ」と呼び掛けた。
中国としてもファーストリテイリングが中国生産から完全に撤退したら、これに続く西側諸国の工場撤退の連鎖を生み出し、中国経済は増々悪化する事を恐れているだろう。
ユニクロのような繊維産業のみならず、日本企業と中国はあらゆる産業で切っても切れない関係になっている。日本企業が中国から完全撤退するには経済的な痛手が多過ぎるし、中国も日本企業の多くが撤退すれば中国経済も増々窮地に陥るという、お互いにジレンマを抱えている。
米国ではトランプ氏が大統領に返り咲き、強硬な反中国政策を推し進めるであろうから、これに日本も相乗りされたら中国は一溜りも無く、何とか日本と上手くやる事を考えているだろう。
よっしゃー、ここはチャンスとばかりに日本は中国に対して強硬路線を突っ走れば、相手は弱腰になるのは目に見えているのだが、日本の政治家や官僚ではねぇ~。