世界一安全だった筈の日本が、このところ凶悪犯罪目白押しであり、ごく普通の市民がちょっと油断すると、いや油断していなくとも運が悪ければ犯罪被害者となる事もありえるいう事態になりつつある今日この頃。
中でも闇バイト強盗の問題は日本の社会を根底から変えてしまいそうな事態だ。
この事件の最大の問題は、実行犯は簡単に割り出して逮捕できるが、肝心の指示役に捜査が行きつかない事だ。犯人は秘匿性の高い通信アプリを使って、実行犯も支持役の顔は勿論、どのような人物かも全く判らないところに捜査の難しさがあるのだろう。
その通信アプリは、秘匿性の高い「シグナル(Signal)」というアプリで、Signal Foundationが開発しているオープンソースのメッセンジャーソフトウェアで、オープンソースという事はソースコードは公開され、自由な利用および頒布を万人に許可しているという事だ。
シグナルのアカウント識別情報は電話番号とひも付いているようで、指示役は他人名義のスマホやSIMカードを大量に用意して、約30個のアカウントを使っているという。とはいえ、シグナルはオープンソースだから、犯人が使ったアプリの解析は可能とみられ、上手くすれば押収したスマホの解析から犯人を特定できる可能性もあるのではないか。
その為には警察側も相当高度な能力を持つ捜査官が必要となる。その為の対応では最近、警察庁が大手警備会社「セコム」に勤める40代の男性を10月1日からサイバー警察局の幹部として採用すると発表している。階級は「警視正」というから、所轄の警察署なら署長であり、これは結構なポジションだ。
サイバー犯罪は広域に渡るから、従来の都道府県単位の県警組織では対応が難しく、そうなると警察庁が直接捜査をする必要がある。しかし従来、警察庁は警察活動の基盤である教養・通信・鑑識等に関する事務、警察行政に関する調整等を行う行政機関であった。それが最近、サイバー犯罪については直接捜査するようになったと思われる。
そのため、警察庁自身でも捜査官を募集しているようで、国家公務員試験合格していて、更に応用情報技術者の資格を要求されると言われている。応用情報技術者は知人で二人いるが、一人は超一流大学(学部)で情報処理を専攻していて、もう一人は私立の工業大学の大学院で情報系を専攻していた。
さて、話を闇バイトに戻して、警察庁では威信にかけても指示役の逮捕に漕ぎつけるべく全力を挙げているだろう。