中国は先端AIチップ確保に「愛国的運び屋」募集

 

高性能AIモデルの開発に必需のNVIDIA製AIアクセラレーターは、2年前から米政府が対中輸出を厳しく禁止している製品で、その代表といえるH100は米国内でも数か月待ちの状況だ。

AIアクセラレータとは、ニューラルネットワーク(人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化したものの組み合わせで、データを学習させる技術)におけるモデル推論処理の高速化(アクセラレーション)を目指すハードウェアのことで、従来のコンピュータが主要処理を担うCPUやMPUといったプロセッサと、それらを制御するソフトウェアで構成されているのに対して、AIアクセラレータをコンピュータに組み合わせることで、AIによる処理速度や効率を高めることが出来る。

NVIDIAといえば、グラフィックアクセラレータ(GPU)が有名で、通称グラボ(グラフィックボード)などとも呼ばれ、パソコンにグラボを装着する事でグラフィック性能が飛躍的に向上する。ゲーム用の高性能パソコンや3D-CAD(設計)システム用のワークステーションなどでは当然のように装備されている。

実は最近のインテルのCPUは内臓のグラフィックでも十分な性能があるとの事で、メインのPCを買い替える際にグラボを付けなかったが、実際に使ってみればグラフィック性能の物足りなさがハッキリと感じられた。

このPCは他にも気に入らない点も多かったために早めに買い替える事を決断し、現用機はNVIDIAのGeForceを装着した。シリーズの中では下位の製品だが、その効果は劇的で、やっとストレスの無い使用が出来るようになった。

話を元に戻して、このGPUを更に進化させてAIにまで適用させたのがAIアクセラレータで、中共政府も喉から手が出るほど欲しいものだ。そこで中国では、学生に数㎏単位で密輸させる事が行われ、これを「愛国的運び屋」として、「密輸は違法だが、祖国に貢献すると考えよう」「麻薬運搬ではなく、直接製品を確認可能だ」という募集をしているという。報酬は数kgで110万~220万円というから、随分割のいい「学生アルバイト」だ。

このように中国内に密輸されたH100は本来2万ドルのものが3~4万ドルになるというが、それでも入手したいのは最先端AI機器の製造は軍事上極めて重要だからであり、来年トランプ氏が大統領に返り咲けば、徹底した規制により、今以上に米国製の先端機器の入手が難しくなるだろう。

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