東京大学が授業料値上げを検討

 

報道によれば、東京大学が最大で年10万円増の64万2960円とすることも視野に入れた授業料値上げの検討を始めた、という。

このブログでは何度も述べているが、今から半世紀前の国立大学の授業料は年額12,000円

これなら、どんなに貧乏でも払えるだろうし、奨学金をもらって、更に家庭教師のアルバイトをすれば、比較的入りやすい地方の国立大学に下宿しても、何とかなるのだった。

実際に高校の同期生の何人かは、かなり貧しい家庭だったが、このパターンで大学に進学していた。当時の国立大学は1期校と2期校があり、1期校は一般に旧帝大や東工大、一ツ橋大などの上位校で、2期校は地方の大学が多かった。そして1期校が不合格でも2期校に受かればいい訳で、その発表は3月中頃だったような覚えがある。

この安い学費の為に、地方の下位国立大学でも、今でいうMARCHよりも上だった。というか、貧乏な家庭なら私立大学は受験していない場合が多かった。なぜなら、合格しても入学金を払えないからだ。

すなわち、当時は頑張れば貧乏でも大学に進学できるという、ある面当然の制度だったのだ。

しかも、都立高校の授業料は月に600円、年額でも7,200円。そして、各学区域には旧制中学であった名門校があり、日比谷高校を筆頭に、小石川、新宿、西、両国、立川など、何れも多くの東大合格者を出していたから、公立中学でダントツの超優秀なら、たとえどんなに貧乏でも、超エリートコースを進めたのだった。

ところが今はどうだろうか? 東大とは言わずとも、難関大学に合格するには、小さいころから進学塾に通わせて、一流の私立中高一貫校に入学して、更に有名な塾にも通って、何て考えれば、授業料値上げの以前の問題で、昔のように貧困家庭から大学進学する事は、かなり難しいのではないか。

こんな事をやっているから、日本の大学は世界のランニングでは上位に入れず、東大ですら29位、京大は55位とボロ負け状態だ。

因みに、私立の工学部で大学院修士課程(前期博士課程)を修了するには、授業料だけで150×6=900万円が必要になる。これじゃや教育費の為に働いているようだものだが、多くの場合、世帯年収は一千万円以上と言われているから、このコースは中流以上でないと無理だろう。

という事は、大企業の研究開発従事者は、親ガチャ成功組、という事だった。

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