羽田の日航機と海保機の衝突事故から既に1週間が経過し、少しずつその事故状況が報道されてきた。その中で、海保機は日航機と衝突するまで40秒間もC滑走路上に停止していた事が判明している。
40秒も停止していたという事は、管制官が素早く気づいて日航機にゴーアラウンドを指示すれば、十分に回避できただろう。ここで不思議なのは、今の世の中、民間の自家用小型機でも今現在の位置を確認できる筈で、これは我々一般人が専用サイトにアクセスすることで、誰でも世界中の航空機の位置情報を知る事が出来る筈であり、それならプロである管制官や航空機の機長など乗組員が海保機を確認できない筈は無い‥‥と思ったら‥‥
各機の位置を秒毎に発信するための最新トランスポンダーシステムを海保機は装備していなかった、というのだ。
ええっ、プライベートのセスナ機だって装備しているようなシステムを、何故に海保の飛行機が装備していないんだぁ?
次に、海保機はランウェイC-5から滑走路に入ったが、通常は滑走路の後端であるC-1から滑走路に入る。何故なら折角の長い滑走路をフルに使わないと意味がないからだが、今回の海保機のように中型ターボフロップ機など離陸時の滑走距離が短い機種では、C-5からの侵入により滑走路をフルに使わずに離陸する。これを「インターセクションディパーチャー」という。日本語にすれば「中間位置からの離陸」とでも言うのだろうか。
事故の起こった時、実はC-1には既に大型旅客機が停止線で待機していたようで、海保機もC-1からの進入なら旅客機の後で待つことになるが、機体が小さく被災地の支援物資運搬という緊急性を考慮してC-5からのインターセクションディパーチャーにより、先に離陸をさせようという事で、これが通信記録で、「ナンバーワン」と伝えていた部分だろう。
すなわち、C-5ではなく、C-1から順番を待って離陸したのなら、この事故は全く起こらなかったという事だ。
ここで、海保機は管制塔からC-1の停止線(図のA位置)まで進むように指示されたが、何故か同機は滑走路内に侵入し、図のB地点で40秒間停止中に日航機が着陸し、B地点の直前で接地した時には回避できる状態ではなく、恐らく一瞬で何だか判らずに衝突したという感じだろう。
更には、C-5の進入時に間違った侵入を阻止するために進入警告灯があるのだが、これが長い間故障していて、事故時も作動していなかったという。
これらの不運に加えて、なにより不可解なのは何故に海保機が滑走路内に進入し、しかも40秒も停止していたのか‥‥だ。もしも滑走路上に入った後に、即座に離陸を始めていたならば、日航機が着陸するより先に海保機は離陸体制に入っていて、恐らく「ヒェー 危ねぇ」程度で済んだのだろう。
更に更に、管制官の指示が、紛らわしい表現をせずに、はっきりとして判りやすい英語で伝えていたらば‥‥と、まあ、言い出したら限がないが、そのどれかが実現されていたならば、この事故は起こらなかっただろう。
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