クルマ試乗記の裏話19 【なんちゃってボルボ】

 

前回までは主に初期の試乗記、すなわちオリジナル写真が無く(X-5除く)、内容も短い時代のものを順次振り返ってみたが、このタイプは他にも以下の2車種がある。

ここで、何故にマツダアクセラなのかと疑問が出るだろう。実はボルボ S40は、何を隠そう、マツダ アクセラ のボディと内装をボルボ風にした「何ちゃってボルボ」だったのだ。
ボルボ S40 (2004/05/16)
マツダ アクセラ 2.0 (2004/06/12)

因みにマツダは1990年代の経営不振により、小型車の「カペラ」は10年以上FMCが無く、というかその体力が無かった。そんな状況で、1996年にはフォードの傘下となり、プラットフォームや生産設備のグループ内での共有化が進められ、これによりカペラの後継車としてアクセラ(欧州名 Mazda 3)が開発されたのだった。

一方、ボルボも同じく経営不振からフォード傘下となり、同社のボトムモデルとしての小型車をアクセラと共通化として発売した。

当時、フォードは傘下に収めたアストンマーチン、ジャガー、ボルボ、ランドローバー、それに米国車のリンカーン、マーキュリーを加えて、「プレミア・オートモーティブ・グループ」という高級車ブランドを統括する事業部を設立した。

しかし、大衆車根性のフォード首脳陣にとって、高級車なんて見かけとブランドで勝負すれば、中身何てどうでも良いという発想から、ボトムモデルとはいえボルボ車を事実上のマツダ車のOEMとしてしまったのだった。

同様にジャガーXも見かけだけのなんちゃってジャガーで、内容は酷いものだった。

結局フォード自体も経営不振による資金不足から、マツダや欧州プレミアムブランドを次々に売却したが、マツダにとってはフォード時代の実績はその後の躍進の元となり、今では欧州で充分に評価されているし、日本国内でもそれなりに売れていて、その昔のように一度買ったらマツダ以外では下取り出来ない「マツダ地獄」からは解消された。

そして内容的には最も欧州車に近い国産車なのだが、とは言え、内容の割には一般の評価は低いし、判っていてもいざ購入となると躊躇してしまう、という辛さはある。

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