BMW 320i Highline (2008/12/26)


首都圏郊外の住宅地に行けば、下手な国産車より数の多い定番輸入車となった3シリーズ。
正に中産階級の象徴だが、それだけに誹謗中傷のターゲットでもある。

BMW3シリーズがモデルライフ中間点でのフェイスリフトを実施した。今や輸入車の代名詞となったBMWのなかでも、最もポピュラーなのが御存知3シリーズで、その 中でも一番の売れ筋は4気筒2ℓエンジンを搭載した320iというのも異論は無いだろう。ところが、この320iというのはネットの各種掲示板などでは誹謗中傷の恰好のターゲットになっている。なるほどスペックだけみれば、プレミオやシルフィーと何処が違うんだともいえるし、それで値段が2倍近くするのだから、クルマに疎いユーザーがそう思うのも無理は無いかもしれない。
この点については、昨年の末に日記でこれら国産車と比較してみたので、ここでは新旧の3シリーズと欧州の御三家+VWとの比較をしてみた。
 

 表1

    BMW 320i BMW 320i Mercedes Benz C200 Komp AUDI A4
1.8TFSI
VW PASSAT
TSI
      前期型 High Line 後期型 Elegance SE Package Comfort Line
     

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.525 4.540 4.585 4.705 4.785

全幅(m)

1.815 1.800 1.770 1.825 1.820

全高(m)

  1.425 1.440 1.445 1.440 1.490

ホイールベース(m)

2.760 2.760 2.810 2.710

車両重量(kg)

  1,460 1,470 1,490 1,510 1,440

最小回転半径(m)

5.3 5.1 5.5 5.3
 

乗車定員(

  5 5 5 5

エンジン・トランスミッション

エンジン種類

  I4 DOHC I4 DOHC SC I4 DOHC TURBO I4 DOHC TURBO

総排気量(cm3)

  1,995 1,795 1,798 1,798

最高出力(ps/rpm)

150/6,200 156/6,400 184/5,500 160/6,200 160/6,200

最大トルク(kg・m/rpm)

20.4/3,600 25.5/5,000 25.5/4,500 25.5/4,200

トランスミッション

  6AT 5AT CVT 6AT

駆動方式

  RWD RWD FWD FWD

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ストラット 3リンク 5リンク ストラット

5リンク マルチリンク トラペゾイダル 4リンク

タイヤ寸法

205/55R16 205/55R16 225/50R17 215/55R16

205/55R16 205/55R16 225/50R17 215/55R16

燃費・装備

燃料消費率(10/15モード km/L)

11.4 12.0 9.0 12.2 10.8

カーナビゲーション

HDD HDD HDD

レザーシート

価格

車両価格(\)

ハイラインは未設定 4,770,000 4,820,000 4,690,000 3,440,000
 

備考(ベースグレード価格)(\)

3,990,000 4,450,000 4,400,000 4,190,000
 

参考図書

     
 

●標準装備 ○オプション

こうして比較してみれば、ライバル達が1.8ℓとはいえ過給することで最大トルクを25kg・m以上稼いでいるのに対して、320iのNAでは20kg・mチョイということで、確かに総額500万円も出してトロイ動力性能と批判されるのも無理は無い。行き成り結論じみてしまったが、BMWも何とか考えるべきだろう。それでもCクラスやA4に対して圧倒的な販売量を確保している3シリーズも大したものだ。
そして駆動方式をみれば、3シリーズとCクラスは伝統的なRWD(FR)方式だが、アウディとVWはFWD(FF)で、現代の技術ではFFでも充分な乗り味が出せるといわれて いるが、それでも乗ってみればRWDに分があるのも否定はできず、日本に於けるブランドイメージ云々を別としても、A4が販売面で3シリーズに全く歯が立たないのも納得できる。付け加えれば、アウディならばA3で決まりだろう。パサートはA4と同じエンジンを搭載しているにも関らず120万円以上も安い。A4がカーナビを標準装備している点を割り引いても100万円程度は割高だが、表現を変えればパサートが買い得とも言える。

前/後期320i同士の比較では全幅が15mm狭くなったが、これはドアの取っ手の形状を変えただけで、マンションの立体駐車場などの全幅1800mm以下という条件を満足させるためとか。逆にいえば、立体駐車場付きのマンションに住むオーナーが主力であるという、3シリーズのユーザー層を良く表している。同じ価格ならば、街の業者が ミニ開発した庭の無い(ほどに土地が狭い)一戸建てよりも、大手デベロッパーのお洒落なデザインのマンションを選ぶ感覚が、450万円出してV6-3ℓのクラウンでなく、直4-2ℓの320iを選ぶのと同一感覚なのだろう。ところで、片側で7.5mm減らしたドアハンドルだが、特に手が入れ辛かったりすることはなかった(写真5)のでご安心を。

3シリーズの外観上での前/後期の違いは写真3〜4を参照願おう。見てのとおりで、特に理由のありそうな変更ではなく、単に少し変化をつけてみた程度の内容だ。まあ、充分に完成されていた3シリーズだから、今更変更が必要な部分なんていうのは無いのだが。


写真1
お馴染みのリアスタイル。高いトランク位置と短いオーバーハングという世界的な流行を作った本家本元。

 


写真2
5シリーズに比べるとBピラー以降(リアドア〜トランク)が寸詰まりに見えるが、これが3シリーズの特徴でもある。

 


写真3
前/後期の違いはボンネットの2本のラインが追加されたこと、キドニーグリルとボンネットの切れ目の変更、バンパー
のエアインテイク形状など、詳細に見ると結構異なっているが、一見すると判らないだろう。

 


写真4
リアから見た大きな違いはテールランプの形状が変更されたこと。バンパーもデザインが変更されている。


写真5
前期型より15mm狭い全幅はドアハンドルの違いだが、こうして比べると殆ど判らない。

 


写真6
外観の割りには奥が深いトランクは縦方向に充分なスペースがある。

 


写真7
トランク内右端には救急セットが標準装備されている。

 


写真8
トランク床面下には結構なスペースが隠れている。

 

今回の試乗車は320iハイラインパッケージで価格は477万円だから、取得税やその他の諸費用を追加すれば総支払額は500万円。実際には値引きや下取り金額の上乗せなどがあるから、そのまま500万円とは限らないが、それにしても普通の給与所得者からすれば相当な決断を迫られる金額でもある。何しろ500万円といえば一千万円の半分だから!
試乗車の内装色はオイスターというアイボリーに近い明るい色で、ハイラインパッケージに標準のレザーインテリアとピカピカのウォールナットのトリムが実にお洒落な雰囲気を醸し出していて、ドアを開けた瞬間にオッ!と声を出しそうだ。まあ、これを見たらば多少の無理をしてでも契約書に判子を押したくなるのも頷ける。
ただし、この手の内装色は当然ながら汚れが目立つから、少し古くなって薄汚れた状況を考えれば、ブラックの内装が無難ではある。それに標準色はブラックだから、それ以外の内装色は注文となり納期が長くなることと、値引きが少ない理由ともなるが、ディーラーが見込みで注文した売れ残りがあれば、汚れやすい事を突いて値引きの上乗せを狙う作戦もある (写真11)。
320iには他にアルカンターラとクロスのコンピ表皮(写真12)のスポーツシートやスポーティな外観と大径&ワイドホイールのMスポーツパッケージ(488万円)、ファブリックシート(写真13)でトリムはサテン・シルバー・マットとなるベースグレード(445万円)がある。現在の3シリーズはベースグレートのファブリックシートでも調整はフルパワー +メモリー付きで、ベースグレード=手動調整という法則は既に昔のことのようだ(写真14)。
 


写真9
5シリーズには負けるが、リアのスペースは決して狭くないから長時間の移動も可能だが、常時後席に乗せるのはチョット辛いかもしれない。
 

 


写真10
BMWらしくドイツ車としては柔らかめのシートは左右のサポートも悪くないし、長時間のドライブでも疲れが少ない。シートに関しては未だ国産車は敵わない。

 


写真11
ハイラインパッケージに標準のレザーシート。BMWお馴染みの厚いレザーが使われている。
 

 


写真12
Mスポーツパッケージに標準のアルカンターラとファブリックのコンビによるスポーツシート。

 


写真13
ベースグレードのシート表皮はファブリックで、欧州車の標準的な織り目の粗い素材を使う。最近は国産車も毛足の短い安物モケットから、この手のファブリックに変わりつつある。
 

 


写真14
ベースグレードでもパワーシートが標準装備されている。
メモリは2つあるから、夫婦で共用する場合には便利。

 

シートに座った瞬間に感じるのは、欧州車としては随分と柔らかいことで、元々BMWのシートはVW等と比べると柔らかい傾向にあったのだが、今回のMCで一際柔らかくなった。そういえば5シリーズも座った瞬間に体が沈むほどに柔らかかったが、少し沈んだ時点で、その下の固い層がガッチリと体を支えたので、体が不安定になることは無かった 。3シリーズの場合は下の固い層が5シリーズほどガチッとしていないので、座った時の安定感では一歩を譲るが、だからといって出来の悪い国産車のシートのように、直ぐに腰が痛くなったりすることはなく、今回の試乗での1.5時間程度の連続ドライブでは、全く問題はなかった。
柔らかさと共に3シリーズの場合は着座位置が5シリーズより明らかに低いことに気が付く。まあ、今更なのだが、言い換えれば5シリーズの着座位置がスポーツサルーンとして見たらば意外に高いということだ。これは、両車のコンセプトの違いを表している。3シリーズは若向き(実年齢ではなく気持ちの上でも)のスポーティーな小型セダンで、5シリーズは熟年向きの高級車という訳だ。 あっ、若くして5シリーズを所有している方は別にオジンくさいと言っている訳でないので・・・・・・。

ダッシュボードを眺めると、ハイラインパッケージに標準装備の磨きあげられたウォールナットのトリムが実に高級感の演出に役立っていて、32万円の投資をする価値は十二分にある。後期型からはiDRIVEが標準装備となったことから、ダッシュボード上部にはお馴染み横長のディスプレイが全車種に装着されている。まあ、確かに憧れの3シリーズなのに、ダッシュボードの上に社外品のディスプレイをおっ立てている姿をみると、結構シラケルから、値上げを伴っても標準装着として強引に売りつけたほうが、結局は良心的なのかもしれない?
そのiDRIVEというは、運転中に視線を逸らさずに操作するために、コントローラーは丸型のダイヤル式で、その周りには唯一MENUボタンのみというのがコンセプトだった筈なのだが、何故か後期型ではダイヤルの周辺にはズラリとスイッチの集合となっている(写真16)。それ以外の運転席周りの変更については写真16〜18を、更に室内の詳細は写真20〜23を参照願いたい。
 

  
写真15
ウォールナットのウッドトリムが高級感をより高めている室内。このセンスは国産車には無いものだから、
4気筒 2ℓの小型車に総額500万円出すユーザーが結構いるのも頷ける。 ベースグレードはトリムが
シルバーとなるが、これも決死悪くは無い。
 


写真16
ダイヤルを囲む多数のスイッチは、iDRIVEのポリシーから外れていないか?

 


写真17
全車にiDRIVEが標準装備されたことから、オディオとエアコンのコントローラーの位置も変わったが、320iでもiDRIVE付きは従来からこの配置だった。

 


写真18
メーターは基本的に同一だが、目盛りが細かくなった。

 

写真19
5シリーズと異なり、ATのセレクターは従来と変わらない。


写真20
シート同様にシッカリとステッチが入ったシボの深いレザーと磨き上げたウォールナットのトリム、半艶消しクロームのドアハンドルなど、この高級感とハイセンスが堪らない。

 


写真21
左の写真は助手席側で、こちらは運転席側。サイドミラーの調整スイッチと全席分のパワーウィンドウスイッチ以外は左右対称となっている。

 


写真22
フロント同様にリアもレザーとウォールナットで高級感は満点だが、5シリーズに比べて狭いのは当然か。

 


写真23
ライトスイッチも前期型と変わらないが、スイッチノブの色がシルバーになっていた。

 

走り出したら意外とトルク感があり、街中での使用なら決して文句は出ない程度の動力性能は持っていた。
320iが遅いという先入観を持ったのは1年半程前に試乗した320iツーリングが余りにも動力性能が低かったことによるが、では何故そうなったかといえば、ツーリング(1,540kg)はセダン(1,470kg)よりも車重が70kg重いことと、今回は一人で乗ったが、ツーリングでは女房(45kg??)を助手席に乗せていたこと、更にはツーリングは燃料満タンに対して今回は殆ど空ッケツ状態だったので60kgの差があった。ということは、なんと合計で175kgもの差があった事になるから、なるほど遅く感じた訳だ。

エンジンは4気筒としては驚異的にスムースだが流石にストレート6には敵わない。それでも、毎日乗って慣れれば文句も出ないだろう。しかし、Dレンジでゆっくり流れている時に、ちょっとした事で全車に遅れをとった時などにアクセルを深く踏んで車間 距離を元に戻そうと思っでも、中々キックダウンしないので苛つくことになる。BMWのように電制スロットルを使用していると、その特性は学習機能によって変わるから、もしやと思って何度も踏み込んでみたし、1時間以上に渡って決して大人しくはない運転をしたが、結果は少し良くなった 程度で基本的には変わらなかった。そこで、 今度はSレンジにしてみたらキックダウンも大分活発になったが、その場合は常に高回転となるので燃費が心配だ。
そこでATセレクターを左に倒したSモードから前(”−”側)に押してシフトダウンとともにMモードにしてみる。この時はDドライブでのキックダウンの遅さが嘘のように、一瞬でシフトダウンを行う。そこで80km/h、5速からレバーを素早く2回押してみると、回転計の指針は一瞬で跳ね上がり ほどんどショックも無く完了した。このシフトダウンは極めて速いし正確だが、大げさなブリッピングの演出も無く一瞬で回転が上がってピタリと 合うのが、ある面味気ない。 考えてみればシフトダウン時に派手な空ぶかしを喜ぶようなユーザーは320iのを買うことは無さそうだから、このセッティングは正解でもある。
一般道では主要国道のバイパスでも制限速度は60km/hだから、速めの流れでも精々80km/h。そこで当然ながら高速道路に持ち込んでみる。ところが試乗当日は年末でもあり、なんと渋滞寸前の混みよう(写真2 6)で、制限速度の100km/hの維持すら怪しいくらいだったので、ヤバイ速度での状況は判らなかったが、320iの高速走行は少なくとも一般的な大人しいドライバーの走行パターンである120km/h以下の巡航では全く問題ない。この程度の速度でも欧州プレミアムブランドは伊達じゃあない。最近は国産車も高速安定性は向上したが、こうして比べて見るとやっぱりBMWの良さを感じてしまう。
そこで今度は80km/h程度に落ちた速度を120まで回復するためにフルスロットル踏んで見ると、スポーティな音は良いのだが回転計の指針は中々上がっていかない。と、いっても総額500万円のBMW=速いという認識からした場合で、国産の2ℓセダンと比べれば同等以上だから、高性能を必要としない”大人の”ユーザーならば文句も出ないだろう。こういう場面では同じ320iというグレードでも、6気筒2.2ℓエンジンを搭載していた先代E46なら、多くのユーザーを納得 させるだけの性能とスムーズさを兼ね備えていたのだが・・・・・。

ステアリングはBWMそのもので、ズッシリと重い操舵力とともにワインディングでは実にニュートラルにコーナーをクリアする(写真27)。以前乗った320iツーリングはリアの重さを感じて、コーナリング速度を速めるとリアのグリップが失われ始めたが、このセダンは実に安定している。BMWでさえセダンに比 べるとワゴンの旋回性能は一歩を譲るようだ。 今回の試乗車には標準の16”(写真28)に代えてオプションの17”(写真27)ホイールが装着されていた。これがMスポーツパッケージとなると、同じ17”ホイールでもリアが幅広(255)となる。255幅タイヤといえば普通は300ps級のハイパワー車に付けるもので、幾らなんでも156psの320iにはオーバースペックだろう。ということで、今回の17”は意外とベストセレクションかもしれない。 それにしても、これだけのハンドリング性能を運転ド下手の小金持ち婦人に乗せておくのは正に猫に小判、、、、なんていっている君。そう、君の意見は正しい!でも、世の中 ってそんなものでしょう。 それに、アクティブセーフティという面では、この運動性能の高さは、ドヘタのオバちゃんにもメリットはあるわけだし。

乗り心地についても最近のBMWとしては典型的な、硬めではあるが決して不快ではないというものだから、この手の欧州車に慣れたオーナーなら全く不満はでないだろう。ただし、RFT(ランフラットタイヤ)による典型的な細かい振動は常に付きまとうから、最初は多少気になるかもしれないが、これも慣れれば全く気にならなくなる程度だ。それにしてもBMWのRFTに対する拘りには頭が下がる。こんなものは早いところ見切ってしまえば、乗り心地もハンドリングもより向上する筈なのだが。

ブレーキは相変わらず軽い踏力で喰い付くように効く。BMWオーナーがポルシェに乗ったらば、最初はブレーキに軽く足と乗せたのに殆ど効かないのでビックリするだろうし、ポルシェオーナーがBMWに乗ったら、最初 の減速で急ブレーキを踏んで、後続車を慌てさせるかもしれない。
 


写真25
E46後期から引き継がれてきた直6、2ℓバルブトロニックN46エンジンには大きな変更はないが、
最高出力は多少上がっている。ボンネットを開けた眺めも前期型とほとんど変わらない。


写真26
年末の高速道路は混んでいて、場所によっては100km/hの維持もおぼつかない。

 


写真27
ワインディンに持ち込んだ時こそ、3シリーズの最大の良さが発揮される。

 


写真27
試乗車にはオプオションの8J×17ホイールと225/45R17タイヤが装着されていた。

 


写真28
標準で320iに装着されているのは、7J×16ホイールと205/55R16タイヤの組み合わせとなる。

 

今回は久々に320iのオーディオを試してみることにする。先代E46の標準オーオディオは世間ではボロクソ言われていたが、その理由は確かにコストダウンしてはいるのだが、その矛先を周波数レンジを狭めることで対処していたようで、実は音自体は品の良いもので、それこそバロック音楽などの弦を聴いたらそれなりに満足できるのだが、最近 のロックなどでは相当に悲惨な状況になるから、BMW=ハイセンスと教養を持ち合わせたオーナー像という公式から、チョット外れたオーナーからみれば最低の音ということになったわけだ。実は以前E46に乗っていたころに、3日間モニターで530i(E60)を借用したときに、標準オーディオの音域の違いに愕然としたものだった。

ということで、今回は530iで試した中から2曲を選んで聴いてみた。まずはモダンジャズの定番である”Art Pepper meets The Riythm Section”では、E46では殆ど聞こえなかったドラムのブラシワークやハイハイットの音がちゃんと聞こえたし、ウッドベースも適度に聞こえた。
そしてもう1曲はリムスキーコルサコフの交響詩シェーラザード。最初にヴァイオリンのソロがあるのだが、悲しいかなE46では殆ど聞こえなかったのに530iではハッキリと聞き取れた。 そして今回はとえば、ヴァイオリンはチャアンと聞こえたから、標準オーディオに関しては充分に改良されていた事になる。ところでE60に比べてみると、そこはシッカリと差別化されていて、レンジも音質も5シリーズのほうが上を行っているのが現実だった。 ただし、530iはレンジを伸ばしたことから、場合によっては高音がキンキンと多少耳に付く場合があったのを覚えている。
折角オーディオの話が出たので、今回は320iで聞くお勧めのCDでも紹介しておこう。まあBMWに乗って”美空ひばり全集”聞いたからって大きなお世話だが、ここはひとつ、BMWなりのセンスということで。

より大きく立派になった現行3シリーズはモデルライフの折り返し点でより高級感を増 したこともあり、輸入車No1の座は当分安泰だろう。先代(E46)に比べてスポーティという面では後退してしまったのは残念だが、これは何も3シリーズだけのことではなく、世間一般のクルマ全体にいえる傾向だから、時代の流れと納得するしかない。 このところ横並びで価格がアップしている国産車の現状からしても、ある程度の満足感を求めれば、いまや総額500万円も必要という時代になってしまった。 しかし、二十数年前にメルセデスが190Eを発売したときには、4気筒2ℓで530万円くらいしたから、320iの車両価格が500万円に迫っても、それが本来の価格なのかもしれない。 それでも、これから世界を襲うであろう前代未聞の恐慌がくれば、もしかすると輸入車の価格はドンドン下がるかもしれないし、極端な円高は輸入車にとっては安い仕入れ価格につながり、大幅な実売価格の低下を招くかもしれない。 そう考えれば、職業(景気に影響されない親方日の丸など)によっては逆にBMW購入のチャンスともなる訳で、これこそ幸い転じて福となるの典型かもしれない。とは、いっても、多くの国民にとってはクルマどころじゃないのも事実だし。どうなる事やら。

さあて、ここから先は例によってオマケだから、言いたい放題が 気き入らない人達は、読まないことをお勧めいたします。

でも、まあそれじゃあ、あんまりだから、特別付録として450万円のクルマ選びという企画も立てたので、よろしければそちらの方へ・・・・・・・  

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一生懸命勉強してブランド大学にも入ったし、就職も目出度く東証一部上場企業に入社。順調に出世もしたし、女子大出の奥さんと賢い二人の子供にも恵まれて、マンションのローンを払っても多少の余裕があるからと、憧れのBMWでも検討中の”あたな”。でも、マンションの機械式3段駐車場の条件は全幅1800以下なのでは、という問題も取っ手を削って解決したから、後は500万円を用意するだけ。いや、何もキャッシュでなくても、ローンがあるし、しかも残価据え置きのバリューローンなら、家計への負担も少なくて済む。お洒落なマンションのエントランスに 着けたあたなの運転するBMWのドアを開けた 美人妻と秀才・才女の坊ちゃん・嬢ちゃんは、分厚いアイボリーの本革シートと、ピカピカに磨かれたウォールナットがさん然と輝く室内に乗り込みながら、一家の幸せに目一杯浸れるという夢の暮らしが、今こここで判子を押せば実現できるのです。もう、買うッきゃないでしょう!

と、まあこれは、架空の話だけれど、ある面では的を得ているんじゃないかな。そして、そういう環境で幸せを振り撒いている家族を見れば、 傍から見れば腹が立つのも当然でもある。それなら、自分達も努力すれば良かったッて?
冗談じゃあない。ちゃあんと学校時代から努力はしたし、誰に言っても恥ずかしくないレベルの大学に入学して、勿論4年でシッカリ卒業したのに、時代が変わって まともな求人は全く無く、しかたなくアルバイトや派遣社員をやっていたら、もう直ぐ30歳。そう、ロストジェネレーションと呼ばれる世代は、ただ生まれた年が不運だっただけで、これ程の差が付いてしまったのだ。これはもう、本人の責任なんていっている場合ではない。B_Otaku の友人・知人の子供達も、本人の努力は元より、親達も金銭的に大変な思いをして大学を出したのに、それも充分にブランド校といわれる大学を出したのに、正社員の職が無い、という現状を実に多く見ている。これは、一体誰の責任だ?と、ここで議論するのは、クルマバカである B_Otaku 的ではないので、このくらいにしておくが、少なくとも数年後にはBMWの新規ユーザーである筈の30代中盤の高学歴サラリーマンは殆どが非正社員で、BMWどころか軽の中古がやっとこさ、となっている可能性は実に大きい。こりぁ、どげんかせんといかん!