BMW 135i Coupe (2008/4/26) 前編


全長4.37m×全幅1.75mの外寸は見るからにコンパクトで、ワインティングでは大きなメリットになりそうだ。
ハッチバックの1シリーズのスタイルに馴染めないユーザーでも、これなOKではないか。

最近の国内ではミニバンブームとは裏腹に、スポーツカーやクーペという部類のクルマは全く人気が無い。 中でも若いマニア(走り屋)が大好きな、ハイパワーの小型FR車で、勿論MTというジャンルのクルマは、殆ど見なくなってしまった。まあ、強いて言えばマツダロードスターがあるが、あれは本気で走るというよりも、軽量なオープンという別のコンセプトだし、パワー自体も決して十分ではない。少し前まではニッサンシルビアがこの分野の定番だったが、排気ガス規制の強化と共に消え去ってしまった。

そんな折、BMWから135iクーペが発売された。それ以前からBMW1シリーズには130iという、ハイパワーな小型FR車はあったし、実際にこれに乗っているマニアは結構多い。しかし、ハッチバックの1シリーズというのは、ハッキリ言ってカッコ悪い。デザインなんて人それぞれだし、1シリーズがカッコ悪いなんていうのは、「B_Otaku の奴が良さを理解できていないだけだ」なんて言われそうだが、多くの人に聞いても、1シリーズがカッコ良いという人は先ずいないのだが・・・・・・。

135iクーペは前から見れば1シリーズそのものだから、特にBMWのファンでもなければ、絶賛する程には良いとは思えないが、少なくとも後ろから見れば1シリーズとは全く別のクルマだから、今までスタイルが引っかって130iを買うことを躊躇していたユーザーには、正に朗報だ。しかも、130iが3Lの自然吸気エンジンで最高出力 265ps/6,600rpm と最大トルク 315N・m/2,750rpm を発生するのに対して、 135iクーペは同じ3Lながらツインターボにより 306ps/5,800rpm と最大トルク 400N・m/5,000rpm を発生する。パワーウェイトレシオでみると車両重量は130iが1,450kgで5.5kg/ps、135iクーペは1,530kgだから5.0kg/psとなる。この数値はポルシェケイマンの5.6kg/psを上回っている。ランエボ]が5.4kg/ps、インプレッサSTiが4.8kg/psとなり、 何れにしても135iクーペの動力性能は数値で見る限りは、走り屋御用達の国産定番スポーツと同等以上であるから、大いなる期待が出来る。


写真1
クーペというが、2ドアセダンに近い感覚だ。写真では見えないが排気管は左からの2本出し。

 


写真2
クーペだから多くは期待できないが実用上は充分のトランクスペース。

 

写真3
シートは標準でレザーのスポーツシートが装着される。リアスペースは当然狭いが、シート自体は+2のオマケではなく、一応実用になりそうなものが付いている。  

この135iクーペは基本的に1グレードでMスポーツパッケージも標準装備となり価格は538万円。今現在では6MTのみが輸入されているが、近いうちにATも販売されるようだ。内容的には殆どフル装備で、1シリーズのMスポーツ相当 であるシルバークロームのトリム、レザーのスポーツシート、Mスポーツお馴染みの太いステアリングホイールなどが付いてくる。さらにはBMW得意のナビやオーディオをダイヤルで操作するiDRIVE(当然ナビが組み込み) も標準だから、もうこれ以上の追加は何もいらないと言いたくなる。120iの場合にこれらをオプション装備したらば、Mスポーツが29.5万円、iDRIVEが28万円で合計57.5万円だから、135iクーペの素の価格は 約480万円となる。実際には120iはMスポーツでも17インチホイール装着に対して135iクーペは18インチだし、スポーツシートもフルレザーのフル電動などだから、135iクーペはBMWとしては相当なバーゲン価格だろう。

と、書くと必ず出るであろうクレームは、米国での135iクーペは$34,900だから、1ドル105で計算すれば約366万円で、なんとBMWは日本人に対して170万円もボッているのはけしからん!という例のヤツ。 しかし米国仕様はシートは人工皮革(レザレット)でiDRIVEは未装着だから、日本でその仕様ならば490万円程度と仮定して、しかも5%の消費税を引くと467万円。円−ドルレートも今でこそ105円だが、ついこの間までは120円どこ ろか125円の時期もあったから、とりあえず120円とすれば、米国価格は約420万円で、その差は46万円まで縮まる。日本の場合は米国ほどには数がでないし、納車時の新車の外観には傷どころか、手垢さえも許さないようなオーナーが多いから、PDIの経費もバカにならない事を考慮すれば、135iクーペの価格設定は決して高くない。 ところで、335iはといえば$38,900で335iクーペとの差は4,000ドルだから120円レードでも48万円。ところが日本での335i (セダン)は135iクーペより135万円高い673万円也。う〜ん、135iがバーゲンなのか335iがボッタクリなのか?

ついでに言えば、日本で706万円の335iクーペは米国では$40,800で 、これに国内版には標準装着のオプオション(ナビやアクティブステア他)を追加しても約$45,000。ところが米国価格が335iクーペとほぼ同等の$45,800であるポルシェボクスターの国内価格は582万円だ。なんと、米国価格が同等なのに国内価格は約120万円も違う。ただし、335iクーペを定価で買うとは限らないから、せめて購入予定のユーザーは値引き交渉で頑張ると良いだろう。

話があらぬ方向に進んでしまったので、元に戻して、135iクーペの内装は1シリーズとしては豪華過ぎる程で、このクルマの性能に惚れたクルマ好きのユーザーには贅沢すぎる 、なんて思ってしまうが、これもまたユーザーにとっては所有する喜びとなるのは事実で、このBMW独特のドラーバーズシートからの眺めや雰囲気を一度味わうと、ちょっと国産車には戻りたくなくなってしまう。


>写真4
BMW独特の厚いレザーの表皮とフルパワーのシートが標準装着される。こんなシートはいらないから、もっと価格を下げてもらいたい というのが走り屋の本音だろう。

 


写真5
クロームシルバーの取っ手やレザー貼りのドア内張りなど、1シリーズとしては分不相応に高級だったりする。

 


写真6
これも典型的なBMWの眺め。写真はエンジンが停止中だが、始動するとダッシュボード上面中央の
ディスプレイが瞬時に起き上がってiDRIVEが起動する。

オールレザーのスポーツシートはVWやポルシェなどのレカロ系とは違い、幾分柔らかいのはBMWの常で、これがドイツ車っぽく無いというユーザーもいるが、これは 例によって好みの問題と片付てしまおう。レザー自体は滑ることもなく、スポーティな運転の支障にはならない (写真4)。左右のサポートも適度の余裕を残しがらもコーナーの遠心力で体がズッコケる事もないから、実用性と性能の適度な妥協点にセッティングされている。ただし、左右のサポートはキッチキチのスポーツシートが最高と思っている国産の走り屋向けブランドのユーザーからみると、スポーティでは無いと感じるかもしれない。 また、ポルシェユーザーから見たら、やはり実用サルーンベースのBMWはコンナ物かとも思うかもしれない。すなわち、カレラのフルレザーシートはもっとカチッとしていて、左右のサポートもバッチリにも関らず、拘束感が無いのだが、 というと、最近BMWに辛くあたるという批判と、価格差を考えろとの御叱りを受けそうなので止めておこう。

さて、いよいよ走り出すところで、続きは後編にて。

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