SUBARU IMPREZA STI (2007/11/3) 前編 ⇒後編
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ライバルのランエボ]のセダンボディに対して、こちらはハッチバック。
新型からは5ドアハッチバックとなったベースモデル同様にSTIもこのスタイルになった。
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インプレッサといえばWRX。
そして、WRXといえばSTIというくらいに、いつの間にやらインプレッサの代名詞となってしまったSTIは、1994年にインプレッサWRXをベースに子会社のSTIがチューンした特別なモデルとして、月産50台という少量が生産されていた(写真1)。ベースモデル240psに対して250psにチューンされたエンジンや、大型のリアスポイラー、専用の軽量アルミホイールが装着されていた。発売当時の価格は286万円と、ベースのWRXの248円により約40万円高だった。
2代目は2000年に発売され、最高出力は280ps、クロスレシオの6MT、ブレンボ製のキャリパーという、マニア憧れのクルマとなった(写真2)。勿論ライバルはランエボということになり、この2車種はクルマオタクの定番的存在になっている。今回、ランエボはフルモデルチェンジで]となり、STIも後を追って新型になった。インプレッサの一般的なグレードは既に今年6月に1.5Lの15S、2Lの20Sそして2LターボのS−GTが発売されていたが、ターボといってもスポーツモデルとは言いがたいマイルドなモデルで、やはりインプレッサは尖りまくったSTIが無いと始まらない。
インプレッサS−GTとの違いといえば、パワーで250/308psと23%のアップで、トルクでは34/43kg・mと26%もアップだから、どちらもターボによる過給といっても性能は大きく違う。勿論その分だけ価格も違うのは当然で、概ねS-GTよりも100万円も高い。STIのライバルといえば当然ながらランエボということになるが、今回はSTIがハッチバックとなったことで、セダンのランエボとは直接の比較が難しくなってしまったが、スペック的には事実上同等。しかも、価格も事実上同じだから、やはりガチンゴライバルということに変わりは無い。
次にSTIと同じ5ドアハッチバックの欧州車、BMW130iと比べてみると、3Lとはいえ自然吸気の130iはスペック的には全く及ばないし、むしろS-GTに近い。となると、価格的には1/2のS-GTと性能的に変わらないのなら、130iを買うのは単たる見栄という、例の話が浮上する。S-GTはATもMTも試乗しているので、先に結論をいうと、S-GT(特にMT)と130iは乗り比べてみればマルで勝負にならない程に違う。何が違うかといえば、先ずは動力性能が圧倒的に違う。スペックでは265psとなっているが、国産車の感覚での265psとは全く異なり、本当のそれっぽっちなの?わざと過少表示してるんじゃないか、と思うほどに違う。BMWのMTの「シフトフィーリングは、総じて評判が良くないし、130iもイマイチだが、S-GTの低剛性感丸出しのバネっぽいフィーリングよりは大いに良好だ。操舵感や旋回特性だって世界中でマニアの憧れでもある、BMWのFRだから、乗っていて実に楽しいし、世間の標準よりも運転が上手いが、特別という程ではないドライバーにとっては、こんなに楽しいクルマは滅多にない程で、ついつい遠出をしてしまう。これに対して、S-GTは普通のクルマ。まあ、250万だからコンナものかといわけで、ファミリーカーとしてなら同じスバルのレガシィツーリングワゴン2.0RスペックBのMTが267.2万円と殆ど同価格だから、自分で選ぶなら勿論レガシィ。
さて、話をSTIに戻して、いよいよ試乗車を見てみよう。
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写真1
初代STi(1994〜)
標準のWRXに比べて10psアップの250ps、外観上では大径ホイールや大型のリアスポイラーなどが異なる。
ハンドメイドで月産50台だった。
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写真2
2代目STi(2000〜)
前身が航空機メーカーであるスバルのアイデンティティを象徴する飛行機をイメージしたウインググリルに期待がかかったが、なんと最近はキッパリと諦めてしまった。 |
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今回の試乗車は18インチの標準仕様で、シートやサスペンションなどのオプションなどは付いていないが、ナビが付いていたので、車両価格365万円にナビをプラスすれば概ね400万円。これに取得税・重量税や諸経費を含めれば結構な総額になってしまう。外観上ではSTIとベースモデルの違いは僅かで、特にフロントはバンパーのエアインテイクくらいだ。強いて言えばラジエターグリルの横桟が黒かメッキかとか、小さな赤いSTIエンブレムなどはあるが、何れにしても違いは僅かだ。写真3の場合は右のベースモデルが自然吸気のために、ボンネット上のエアインテイクで見分けが付きそうだが、STIでなくてもターボモデルであるS-GTならば、同様なインテイクがあるから、ますます見分けが難しい。しかし、良く見るとフロントのフェンダーは膨らんでブリスタータイプとなっているし、仕様をみればSTIの幅は55mmも広い。
そして、ドア位置での幅の差をエアアウトレットのようなものでごまかしている(写真5)。この穴の中を覗いてみたが、どこにつながっているのかは判らなかった。
同様にフロントの大きなエアインテイクの行き先を調べたら、全てエンジンルーム内だった。例えばポルシェの場合はフロント左右のインテイクはラジエターを通過した後に、その一部がタイヤハウス前方の空気穴から、ブレーキに向かっていく。実際に走りこんだ後は、停車中でも電動ファンの景気の良い音と共に、強力な風がホイール内に”ぶっかかって”いるのが判る。BMWのサルーンはフロントバンパーの左右端のインテイクは、放物線を描いたダクト上の通路を通って、これまたタイヤハウス前方の開口部につながって、ブレーキを冷却している。
STIのブレーキは容量が十分なので、そんな冷却は必要ないのだろうか?
ランエボと大きく違うのは、馬鹿でかいウィングが無いことだが、これはSTIがハッチバックなのでウィングが付かないだけのことで、代わりに”ヒサシ”がある。リアのクリアテールレンズはベースモデルと同様だが、これには賛否両論があるだろう。個人的には似合うとは思えないし、センスも良くない。 |
写真3
正面から見るとSTI(左)とベースモデルの違いは、フロントバンパーのインテイク形状くらいで、素人目には大きな
違いは見つからない。ボンネット上のエアインテークは見た限りではS-GTと同じだから、ますます区別が付かない。
実際にはブリスターフェンダーなどで、サイドパネルの多くが別物ではあるが。
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写真4
リアはベースモデルと同様にクリアテールレンズを使用しているが、好みの問題とはいえ似合っているようには見えないが。
ハッチバックなのでウィングは無いが、”ひさし”がある。 |
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写真5
ブリスターフェンダーによる張り出し分だけ、エアアウトレット(?)がある。
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写真6
後席スペースはベース車両と同じだから、ファミリーカーとしての使用に問題はない。
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写真7
シート表皮やドア内張りのアルカンターラが室内全体の雰囲気を高級に見せてくれている。 |
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写真8
座面がアルカンターラでサイドが人工レザーのシート表皮は、見た目の質感では良好。
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室内に目を向ければ、基本的には他のインプレッサと同じ。すなわち、400万円のSTIと150万円の15Sとは、基本的に同じ内装となる。まあ、生産台数の少ない上級モデルのためにダッシュボードの金型を別途用意するのは不可能だから、文句をいう筋合いではないが、400万円出したオーナーの気持ちになれば、チト寂しい。
こんなとき、天下のトヨタならどうするかといえば、160万円のオーリスの一部に高価なアルカンターラを貼って250万円のブレイドを創ったわけで、世間ではボロクソ言われているが、ある面では頑張ったといっても良いような気がする。
他にも良く見れば安物丸出しな部分は一杯目に付く。シフトレバーの根元を覆うブーツは質感の悪い人工皮革丸出しレザーだし、パーキングブレーキのレバーだって安っぽい。こういう、毎日頻繁に使う部分に金を掛けてこそ、オーナーとして飽きのこない、使うたびに「良いクルマを買った」という、満足感を提供出来るのだが・・・・。
と、まあ、悪口はこのくらいにして、早速シートに座ってみる。内装がチャチだといったが、実は室内全体については、他のファミリーグレードに比べたら高級感を醸し出している。その最大の理由は、座面にアルカンターラ、サイドに人工皮革を使用したシートの質感が高いために、内装全体が高級に見えてい
るからのようだ。そのシートに座ってみると、今まで出来の悪いことで有名だったスバルのシートとしては、その進歩に驚くくらいの座り心地だが、残念なことにサイドのサポートがユルユルで、これでは大きな横Gが掛かったら、体をサポートすることが出来ないだろう。そんなユーザーにはオプションのレカロシートを付けろという事かもしれないが、折角出来の良い標準シートなのだから、もう一頑張りして欲しいものだ。
エンジンの始動はインテリジェントキーを所持した状態で、スタートボタン(写真11)を押すという、最近の新型車に共通の方法だった。アイドリング自体は、2Lで300ps超を発生するエンジンとは思えない程に静かで振動も少ない。STIのメーターはいわゆる自光式で、エンジンを始動するとアンバーに輝くが、この色使いやセンスも決して良くないし、高級感もない。いや、その前に針がフルスケールまで動くという儀式がある。これはレクサスなどが行っている方式だが、性能命のSTIユーザーが、こんな仕掛けを喜ぶとも思えない。
と、いっていると限がないので、そろそろ走り出すことにしよう。
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写真9
ファミリーモデルと共通のダッシュボード。したがって、ブラスチック丸出しの叩くとコンコンという、
内装材はSTIでも同じ。
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写真11
エンジンの始動は最近流行のインテリジェント
キーとスターターボタンによる。
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この続きは後編にて
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