Porsche Cayenne S (2018/11) 前編 その1 |
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1996年にボクスターが発売された時にはコアなポルシェファンからはこんなのはポルシェじゃない、ポルシェ何て名前を付けるな、何て言う扱いを受けたが、まあ確かにポルシェといえば 911 であり、それ以外のモデル、例えば 914 や 924 等のいわゆる廉価版モデルは何れも成功しなかった。ところがボクスターは違った。何しろ前半分は 911 と共通であり、前期型なんて前から見たらどっちだか判らないくらいだった。それで価格は 911 よりも4割程安いのだから売れない訳は無い。このボクスターによって、当時深刻な経営難に陥っていたポルシェが一気に息を吹き返す事になった。 それから 6年後の 2002年には何と SUV であるカイエン (955 写真2) が発売された。ボクスターは百歩譲ってコテコテのスポーツカーだから何とか許したマニアも多かったが、幾らなんでも背の高いオフロード志向である SUV は無いだろう!という気持ちだった。しかもボクスターはドライバーの後ろにエンジンがあるが、カイエンは普通にボンネットがあってフロントエンジンという、根本的なレイアウトが違っていた。 ただし、ポルシェもその昔にはフロントエンジンのスポーツカーを作っていた訳なのでそれ自体は驚く事では無いが、やはり SUV という形式は幾らなんでも許容できない、というファンも多かっただろう。この 2002年という年は BMW が初代 X5 (写真1) を発売した 2000年から 2年を隔てた時期でもあり、この X5 も発売当時はポルシェ程では無いにしてもスポーティーが売りの BMW が SUV 何て‥‥という面ではオーナーからすれば釈然としない気持ちもあっただろうが、この X5 はオフロードのロールスロイスと言われたレンジローバー (ランドローバー社) を傘下にしていた当時に次期モデルとして開発したものを同社を売却後に自ら販売したモノであり、まあレンジローバーの BMW 版と思えば意外に納得出来た事もある。 そう、X5 がレンジローバーの兄弟なのに比べると、カイエンはフォルクスワーゲン (VW) トゥアレグと兄弟という面ではステイタスに大きな問題があった。何しろ VW を日本語にすれば "大衆車" というくらいで、それでも年々高級路線を狙っていったから、同じドイツの一般向けブランドであるフォードやオペルなどの米国系にくらべれば1ランク上ではあったのだが‥‥。。 この初代カイエンの価格はベースモデルの V6 3.2L が MT:599万円 AT:659万円だった。因みに同年のボクスターは MT:550万円 AT:610万円だったから、その差は90万円であり、カイエンのポジションは今とは大分違っていた。まあその後のカイエンの高級化により、現在はマカンがこのポジションとなっている訳だが。 なおこの当時の X5 はといえば、ベースモデル (直6 3.0L) が 615万円だったから、カイエンはこれを大きく意識していたのであろう。という訳でカイエンと X5 は 2002年頃には同一価格帯だった。いや今でもほぼ同価格帯だから、2002年頃から‥‥と言うべきか。 |
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初代カイエンの発売から 4年後の 2006年には大規模なマイナーチェンジを行ったが、これは外観のフェイスリフト共にエンジンが全面的に一新され、その開発コードも 955 から 957 になったくらいだ (写真3) 。その新型エンジンはカイエンS の場合、同じ V8 とはいえ排気量は 4.5 → 4.8L と拡大されて、それに伴いトルクは 420 → 500N-m と大幅にアップしている。2006年といえば今から 13年程前だが、この当時は未だ NA エンジンであり、パワーアップの手っ取り早い方法は排気量を増大するという時代だった。 そして更に4年後の 2010年には FMC により2代目 (958 写真4) へと進化した。この 958 はポルシェらしくスタイルはキープコンセプトだが全長とホイールベースが延長された。しかしエンジンは初代のパワーアップ版だった。そして 4年後の2014年には後期型となり、ここでエンジンを一新してカイエンSでは V8 4.8 NA → V6 3.6 ターボとなり、所謂ダウンサイジング化されている。 |
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それで今回の新型は、ホイールベースは変わらないがボディは当然一新されているから全長も伸びているし、全幅に至っては 44o 広い 1,983o という殆ど2m に近いサイズとなっている。またエンジンは更に排気量が小さくなりパワーは逆にアップしているし、極めつけは車両重量で何と130kg も軽量化されている。以下に歴代ケイマンS のスペックの変遷を表に纏めてある。 しかしこうして見るとこの十数年間でサイズもパワーもアップしたが、価格何て860 → 1,288万円だから約50%の値上がりで「何処がデフレ経済だ!?」と言いたくなる。その割には庶民の年収は上がるどころか実質下がっているのだが? そうかぁ、カイエンを買うような階層ではこの十数年で年収が 1.5倍になったとか有るのだろうか? 例えば2006年に年収 3,000万円だったので年収の30%、すなわち 900万円のクルマが適正な価格だったが、今では 4,500万円になったので、1,300万円くらいでOK!という事かな。 それでは 2006年に年収 500万円だった大手メーカーの製造部員はどうだろうか?当時は年収 500万円で、クルマ好きということで年収の 50%の250万円でオデアブ (オデッセイアブソリュート) を買ったが、今ではリストラされて非正規社員となり年収は半分以下の 150万円だから、50%まで張り込んでも買えるクルマの価格は‥‥あれっ、75万円じゃあ軽の新車も買えないじゃあないか。それでオデアブがぶっ壊れた後には中古のワゴンRしか買えず、苛々して走っていたら幸せそうなミニバンの家族を発見し、頭に来て煽りまくったらばドラレコに記録されていてあえなく逮捕となった、とか? うーん、これもいわゆる小ネズミ&ケケ中政策の成果(!)という事か。そのケケ中は今ではTY大学の教授先生だそうで、それを学内で批判ビラを撒いた気骨ある学生は、何と卒業を前にして退学とか‥‥。その話がネットで拡散されて、同大学に対するバッシングが始まったものだから大学は急遽「はぁ?退学に何てしていませんけどぉ?」とか言って無かった事にしたようだ。 おっと、話が妙な方法に逸れてしまったが、それでは本題に入ろう。この続きはその2にて‥‥。 |