BMW X4 特別編 [X4 vs Macan 後編 その2] 特別編へようこそ。 前編でも御注意申し上げたように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 走行モードの切り替えは両車ともコンソール上の AT セレクター横にあるが、実は X4 ではドライバー側、すなわち右側にあるがマカンでは左側にあるためにドライバーから遠くて使い辛い。それで念の為に欧米向けの左ハンドル (LHD) 仕様を調べてみたらば X4 ではセレクターの左に配置されていて、要するに LHD と RHD ではセレクターの位置を変えることでドライバーからの視認性を向上させていた。対するマカンの日本仕様は RHD でもコンソールはそのままだから、それぁ見辛いよなぁ。 まあこの理由の一つに BMW はポルシェに比べて生産台数が多く、当然ながら日本での販売台数も多い筈で、日本 (と英国など) 向けに対応するだけの予算もあるのだろう。勿論ポルシェ社の怠慢もあると思うが。なおポルシェの場合、最新のモデルからはモード切り替えスイッチをステアリングホイールに移動して視認性と操作性を向上させていて、勿論これなら運転席の右左で操作性の違いも無くなる。 それでは本題に入って、走行モードを SPORT に切り替えるとどうなるかだが、X4 では1,500rpmで巡航中に SPORT モ―ドに切り替えると回転計は500rpm 程上昇するから、ここから踏み込んでみると 3,000rpm くらいまではシフトアップが起こらない。これがマカンの場合も 1,500rpm での巡航から SPORT に切り替えると 2,000rpm 位で推移しているのは X4 と同じだが、ポルシェというブランドを考えて 911 やボクスターの SPORT モードを想定していると何だか大人し過ぎねぇかぁ、何て事になる。 そしてその後に加減速を含めた走りでは X4 のきめ細かなシフト動作に比べるとマカンは大雑把な感じがするが、これはトランスミッションが X4 では8速であるのに対してマカンは7速という事も原因になっている事は間違いない。まあそれでもマカンの場合はポルシェらしさを求めるなら、いやそれ程でなくてもある程度走りの好きなドライバーならば問答無用で SPORT モードを常用しても良いのではないか。えっ、それじゃあ燃費が悪化するし、限りある資源の無駄使いだし、地球環境にも悪影響がある、って? あんたねぇ、本気でそんな事信じてんのかぁ? 実は石油何て幾らでもあるし、Co2 で温暖化するんじゃなくて、温度の上昇で海水からCo2 が発生するとか、まあその辺の話は調べる必要はあると思うよ。何しろ数千人もろとも高層ビルを爆破解体してテロだぁ、ビンラディンの仕業だぁ、何てやるような連中だから、石油利権のために嘘八百を言うなんて朝飯前、と疑ってみるのが痴的、もとい知的な人間のすることだ。 あっ、どこまで行ったっけ。そうそう、それでは SPORT モードにしたところでフル加速を試みてみる。なおパワーウェイト (P/W) レシオは X4 とマカンではそれぞれ 7.6 および 7.7 Kg/ps だから事実上同じだ。最初に X4 では P/Wレシオ通りという感じの適度に速いが大したことは無い加速をする。言い換えれば車重 1.9トンの SUV としては立派なものだ。それではマカンはといえば、まあポルシェのくせにという気持が脳裏にある事もあるが、どうも X4 に比べてイマイチに感じる。マカンの場合は高速道路の起点料金所も通ったので 合法的 0-100km/h 加速をしてみたが、ウ〜ん、やっぱイマイチだよなぁ、という気持ちだ。 それではフル加速時の音はというと、X4 では BMW らしい結構スポーティーな音が聞こえるのに対して、マカンはポルシェブランドとしては信じられないくらいに静かだ。実は今回試乗したマカンにはオプションのスポーツマフラーが装着されていて、コンソール上のスイッチ群にはマフラーのアイコンが付いたスイッチまであったのでそれも入れてみたが、多少は ”スポーツ” しているような音が聞こえるが、それもごく僅かだった。 メータークラスターについては両車共にそれぞれ前回の比較アイテムであった M2 と ボクスターと基本的には同じもので、X4 は左右対称の大径メーターの左が速度計で右が回転計、マカンはセンターに大径回転計と左に小さ目の速度計、右は液晶化されたマルチメーターが配置されている。回転計のフルスケールは X4 が7,500rpm でマカンは8,000rpmだが、マカンではターボやSと共有している関係であり、エントリーグレード (アウディと共用) のエンジンでは BMW と同様で7,500rpmでも十分だが、まあこれは流石にポルシェ‥‥と思わせてくれる。 |
さて走る、曲がる、止まるのうちの “走る” ではどうもイマイチ X4 に水をあけられたマカンだったが、さて “曲がる“ はどうだろうか。最初にステアリングの感覚だが X4 では中心付近では多少の不感帯を持たせて、それでいて決してレスポンスが悪い訳ではなく、安定性と応答性を両立させた正に BMW の定番的フィーリングだった。そしてマカンは勿論 SUV としては充分にレスポンスが良く操舵力も適度で特に文句はないだろうし、走行モードをスポーツにすれば当然ながらより "シャキッ" とする、という具合にこの点では X4 とは甲乙付け難いというところだ。 そして旋回性能については、今回の2車はどちらも何時もハンドリング確認に使っている場所を走っているので同じ条件での比較ができるが、このコースでの X4 は4WD ということもあり RWD のBMWのような ”わざとらしいくらいのニュートラル感 ” ではないが、アンダーステアも弱く安定したコーナーリングを見せてくれる。それに気を良くして更に少し速度を上げてみると素直な特性は変わらないが、途中で思ったよりも外側のコースを通り始めたので少し切り増しが必要だったが、チョッとステアリングで修正すれば直ぐに本来のコースに戻ったし、いやこれは SUV としてはなかなかのものだぞ、という気持ちも湧いてくる。 ではマカンはといえば X4 よりもアンダーステアは強めで決してニュートラルではないが、それでもカイエンよりは充分に楽しくコーナーを通過出来る。その後も徐々に進入速度を上げていくが、特に危ない兆候を感じることもない。しかし高い車高もあって、ある程度以上まで速度を上げると気分的にも落ち着かない状況にもなる。この面では何故か X4 はこれ程の腰高感は感じなかったが、これは何故だろうか? スペック的には両車は全高は同じだがマカンの方が全幅もトレッドも広いから安定面では有利な筈だが? 次にステアリング操作に対する車両のレスポンスはといえば X4 は腐っても鯛、いやこれは喩が悪かった。まあ兎に角 SUV としては十分な反応の良さで、これは SUV である X4 でも BMW サルーンと同様にフロントのエンジンを目一杯後方に搭載 (前篇の写真参照) して前後重量バランスを停車時にイーブンとしている事が大きく効いている事は間違いない。対するマカンは X4 に比べてエンジン搭載位置は前寄りで、フロントオーバーハングにぶら下がっているとまでは言わないが、X4 と比べればどう見てもバランスは悪そうだし、それによって旋回方向の慣性モーメントも大きいだろう。ただし、それでも同じマカンの中では唯一の4気筒であり、それから来る軽快さ (だけ) はマカン ターボと比べても明らかに上なのだが‥‥。ここはひとつ BMW を見習って主力車種と同じようなエンジン搭載位置にすべき‥‥というのは無理な相談で、そりゃそうだ、リアエンジンの SUV なんて成立しないだろうし、ましてやミッドシップエンジン何て無理だよねぇ。えっ? パリダカパジェロはミッドエンジンだったろう、って‥‥確かにそうだったし、あれを見てトラックベースの市販パジェロを買った奴も結構居たっけ。 クルマという乗り物は実はタイヤがあってこそ成立する訳で、ハンドリングがどうのこうのと言ってもその多くはタイヤに依存するところも多い。そこで両車のタイヤを比較すると X4 ではフロント:245/45R19、リア:275/40R19で、マカンはフロント:235/60R18、リア:255/55R18 が標準となる。X4 の場合は M SPORT という事もあって SUV らしからぬ扁平なタイヤを履いているが、これがスタンダードモデルでもサイズは同じで、ホイールが違うだけだ。まあ SUV らしくないとは言っても網タイツの防衛大臣程の違和感は無い、って、ありゃどう見ても異常だが一応弁護士だよ。昔から特別優秀で尊敬される職業の代表として医者と弁護士という言葉があったが、どうも弁護士ってそうでも無いような気がしてきた。おっと、そう言えば医者だって最近の報道で医学生と先輩の現役医師が強姦罪で捕まったという事件があったっけ。それも金を積んで入るので有名な私立馬鹿医大ではなく、歴とした上位の国立大学だってぇから驚いたの何のって! 日本は一体どうなっちまったんだ? おっと、また余計な事を言ってしまったが、タイヤから見ても X4 が操舵性で勝るのは当然であり、ということはマカンの場合はそれよりも SUV としての走破性、ユーティリティを重視しているという事になる。ちなみに同じマカンでもターボの場合はフロント:235/55R19、リア:255/50R19 とホイールはワンサイズ大きくなるが、それでも X4 よりもタイヤのハイトは高いから、やっぱり考え方が違うようだ。と、ここで良く考えてみたらば BMW では SUV とは言わず SAV (スポーツ・アクティビティ・ビークル) と呼んでいたっけ。そりゃアクティビティなら 40 タイヤも当然だよねぇ。 それでは最後に残る “止まる” についてはどうだろう。先ずは両車のブレーキユニットをホイールからチラッと覗いてみると、X4 は流石に BMW だけあってポリシーどおりにショボいブレーキキャリパーが見える。まあこれは何度も言っているように前後の荷重配分が世間のクルマではフロントベビーが当たり前の世の中で、BMW はどれもフロント配分が相対的に小さい事から、こんなショボいブレーキでも全く問題ないのだ。これに対してポルシェはいえば、これもポリシーとしてアルミ対向ピストンという見るからに立派なキャリパーが定番であり、このマカンもフロントには確かにそれらしきモノが付いているのが見える。ところがリアには何と BMW も顔負けの片押しシングルピストンキャリパーが付いている。これはフロントベビーなマカンではリアの負荷が少ないので、こんなショボいブレーキで充分だというのは納得出来る。しか〜し! 同じくリア負荷の少ない SUV のカイエンはリアも4ポットのオポーズドが付いていますが? 何て嫌味な質問をしないように。要するにカイエンは本当はあんな立派なリアブレーキは要らないけれど、そこは一千万円以上もふんだくる手前上ショボい片押しという訳にはいかない‥‥というのは単なる下衆の勘繰りなので気にしないように。 さてそれで肝心の効きはと言えば、どちらも軽い踏力で良く効くから実用上問題は無いが、どちらもペダルを踏み始めた時には多少シャキッとしないのを感じる。特にマカンはポルシェの他車種が宇宙一と言われる事を考えるとチョイと情けない。まあこれは普通の家庭で息子が MARCH に入れば大喜びの赤飯モノだが、両親・兄弟どころか親戚一同も東大が当たり前の家系では落ちこぼれの烙印を押されるのと同じといえば解るだろうか。 なにっ、MARCH でゴチャゴチャ言ってるなんて甘〜い! 俺なんて両親東大だけど俺自身は加計学園大学だぞっ、って、いやまあ実に今のトレンドに沿った実情で、ご立派でありまする。 今回の2車の価格をもう一度確認すると X4 xDrive 28i M SPORT が 758万円で、只の X4 xDrive 28i なら 726万円。対するマカンは 699万円だから素の X4 と比べてもその価格差27万円で、まあオプションの違いはあるとはいえ、天下のポルシェの方が安い価格設定になっているのは、やはりこの分野では BMW の実績には敵わないとの気持ちの表れだろうか。実際に今回の比較結果でもマカンは分が悪い。しかし2年前に試乗したマカン ターボはポルシェらしく強力な動力性能の魅力はあったのは V6 とはいえ歴としたポルシェのエンジンだったからだが、今回のエントリーグレードはポルシェと言えども実はアウディと同じフォルクスワーゲンのエンジンであり、まあ世間の標準からすれば特に悪くは無いが、BMW には勝ち目が無かった。 要するにマカン4兄弟としては、上の3人はポルシェ一族の血を引いているが末弟の父親は背乗り朝○人だった、みたいなものかな。あっ、これは特別編ということでこの手の話題の大好きな一部の常連さんへのサービスであり、間違っても B_Otaku の真意ではないので念のため。なおディーラーによるとマカンの一番人気はマカンS (841万円) であり、今回取り上げた素のマカンは売れていないようだ。 それにしても最近の世界的な SUV ブームには目を見張るものがある。日本でも一時期はミニバン一辺倒だった売れ行き上位車も、最近は月によっては SUV の C-HR がトップの座を奪う状況で、これは今後他社の SUV もマダマダ伸びていくという事だろう、とミニバンの嫌いな B_Otaku 様が申しております。まあ SUV はミニバンのようにウォークスルーは出来ないが、お陰で頭に血が上った後席のキチガイ女 (でも櫻蔭→東大→ハーバドだそうだが) が「違うだろう、禿げ!」とか喚きながらハイヒールの踵で蹴っ飛ばす、何て事は出来ないのがメリットかもしれない。そうだ、今年の流行語大賞は「違うだろう、禿げ!」で決まりだねっ。
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