BMW X4 xDrive 28i (2016/10) 前編 その1

  

少し前までの BMW のラインナップといえば 3,5,7シリーズのサルーンと3,5シリーズではツーリング (ステーションワゴン) とクーペおよびカブリオレくらいなもので覚えるのも簡単だったが、いつの間にやら1,2シリーズや4,6シリーズ、それらにグラン何とかとかアクティブ某とか更には SUV のXシリーズも加わってもう何が何だか判らない状態になってしまっている。

その中で今回選んだのは3シリーズベースの SUV である X3 を更にまたベースとしてクーペラインのボディを乗せた X4 で、成る程3のクーペバージョンだから4であり、 SUV だから Xと言われれば納得はできる。そのベースとなっている X3 について少し触れておくと、初代 X3 (E83) が発売されたのは2004年で、これは BMW 初の SUV である初代 X5 (E53) が発売された2000年から4年遅れとなっている。その初代 X3 は正直言って決してカッコの良いクルマとは言えなかった (写真1) 。特にバンパーに素材色を使ったことで本来の SUV らしいヘビーデューティーな雰囲気を狙ったのかもしれないが、それよりも安っぽさが強調されてしまったようで、どうもイマイチだった。その後 X3 は2011年に2代目の F25 へと発展したが、相変わらず何となく安っぽさを感じるデザインで、この辺は上位の X5 との差別化か? なんて思わせるものがある。

それではそのイマイチカッコの良くない X3 をベースとしている X4 はといえば、トップ写真を見ての通りで X3 独特の安っぽさは影を潜めている。ということはフロントフェイス等は X3 と差別化しているのだろうか、と思って念のために現在販売されている X3 を調べてみたらば、何と X3 は2014年にフェイスリフトを実施して X4 と同じ顔になっていた。この辺の事は後ほど詳しく触れることにする。

BMW のラインナップでは偶数のクーペタイプ SUV としては X6 (E71/72) があるが、このクルマの発売は2008年であり、 X4 よりも 6年も早かったことになる。ということは現行 X5 は2013年に FMC されて3代目となった F15 に対して X6 (E71) は未だ E70 ベースの旧タイプということになる。なお、歴代 X5 については以下の試乗記で解説しているのでこちらも参考にされたい。
 ⇒ BMW X5 xDrive50i 試乗記 (2016/9)


写真1
2004年に発売された3シリーズベースの初代 X3 。素材色バンパーが安っぽさを醸し出していた。


写真2
2011年発売の2代目 X3。その後2014年にフェイスリフトでフロントデザインは変更されている。


写真3
2代目X5 (E70, 2007-2013)。


写真4
X5 (E70) のクーペ版である X6 (E71) はいわば X4 の兄貴分にあたり、発売は X4 より6年も早かった。

Xシリーズ (X3 / X4 / X5 / X6) については上記のような状況だが、ここで今回の主役である X4 と兄弟にあたる3シリーズベースの 4(5)ドアクーペモデルについて整理してみる。先ずは3シリーズ グランツリスモ (GT) で、これは3シリーズベースの5ドアハッチバックモデル (写真5) で、実はこれを背を高くして SUV とすると今回の主役である X4 になると考えたほうが自然な気がする。そして4シリーズ グランクーペ (写真6) は4ドアクーペで、 3シリーズGT を低くサッシレスドアにしたような外観だが、こちらはクーペだからハッチバックではなくトランクを備えているかと思ったら、やはりバックゲードが付いていた。とはいえヒンジ位置自体が低いから大した高さはなく、セダンのトランクと大して変わらないが‥‥。

なお3シリーズGT については試乗記を発表済なので、詳細は下記を参照願いたい。
 ⇒ BMW 320i Gran Turismo 試乗記


写真5
3シリーズベースの5ドアハッチバックセダンである3シリーズグランツリスモ。


写真6
3シリーズベースの4ドアクーペの4シリーズグランクーペ。4ドアといってもリアはテールゲートに近く、GTのクーペ版という感じだ。

ここで X4 のエンジンバリエーションについて纏めてみる。一番ベーシックなモデルは4気筒 2.0L ターボの xDrive 28i であり、同じ排気量でも X3 に設定のある xDrive 20i の設定は無い。 20i は同じ4気筒 2.0L で型式も 28i と同じだが、パワー/トルクともに控え目 (要するにデチューン版) だ。X4 に 20i の設定がないのはプレミアム感が高く割高の SUV クーペである X4に、低コストの買い得モデルをラインナップするのは相応しくないということだろう。X4 は他に6気筒 3.0L ターボの 35i 、そして同じく 3.0L だが更にパワーアップしたハイチューンの M40i の3グレード構成となっている。このトップグレードの高性能モデルである M40i はその名のとおりで、本物の M モデルではないが M Sport よりも M に近い。もう少し詳しく言うと、本物のMモデルが M Auto-mobiles 社製であるのに対して、こちらは M Performance Automobiles 社製で、この辺の詳細については M135i 試乗記を参照願いたい。

なお X3 には X4 と同様に 28i と 35i も設定されているし、更にディーゼルエンジンの 20d もあるが、20d も X4 には設定がないのは勿論燃費重視のディーゼルエンジンは 20i 以上に X4 に似合わないということだ (多分) 。

イントロも終わったところでいよいよ本題に入るが、この先は ”前編その2” に続く。

⇒前編その2へ