動力性能については フルサイズ SUV としては十分に合格というところで、それゃまあカイエン ターボには歯が立たないが、そもそもあれだけの動力性能を SUV に求めるのが邪道だと思うが、勿論性能は良いに越した事は無いから予算が十分にあるならそれはそれでいい選択だろう。勿論個人的には絶対に選ばないタイプのクルマだが、その前にそんな予算が無いからどうでもいいというのが本当のところだ。
それでは操舵性や旋回特性はどうだろうか。先ずはステアリングだが、操舵力は結構軽いが中心付近の不感帯も適度でSUVとしては妥当な特性だ。ここで走行モードを SPORT S にすると多少は重くなるがそれでも軽い事には変わりはない。今回も本気でコーナーリングを試す場面は無かったが、アンダーステアも少なく背の高いSUVとしては充分に合格範囲。重いバッテリーをリアアクスル付近の低い位置に置くことで前後の重量バランスが良く、しかも重心が低いために条件が良いのは ハリアー ハイブリッド時代から引き継ぐ良い所で、2006年に初代ハリアーハイブリッドに試乗した時もトヨタ車にしては、そして背の高い SUV にしては異例の安定したコーナリングをするのに驚いたもので、その時のクルマが今はなき池袋にあったトヨタ直営のアムラックスの試乗車だったことから、もしかして一般の市販車と違う細工してねぇかぁ? なんて疑ったりしくらいだった。
最後に止まるについてだが、前述のように RX450h はトヨタのハイブリッド車の定番であるフルエレキのブレーキシステムを使用している。とはいえ最終的に車輪を止める力を発生するのはブレーキキャリパーであり、それではとホイールの隙間からブレーキキャリパーを覗いてみると、前後とも鋳物の片押しだがフロントには2ポット (2ピストン) タイプを使用している。トヨタの大型4WD、すなわちランドクルーザー (通称ランクル) では以前からフロントに SD 社製のゴッツい鋳物の対向4ピストンを使用しているが、ハリアーを開発するにあたっては車両重量が2.5トンに迫るランクルと同じモノでは大きすぎるし重すぎるということで、当時ニッサン テラノなどに使用されていた A 社製の片押しだがピストンを2つ持つタイプを採用したことに始まるが、今でもこのタイプを使用しているようだ (写真32) 。
それで実際の効きはといえば適度なペダル踏力で良く効くから全く問題はない。というか、踏力や踏み始めのフィーリングは電子制御だからメカの特性は全く関係なく、その意味ではブレーキパッドの隙間を狭く出来ることでフィーリング向上が期待できる対向ピストンのメリットは発揮できないから、RX の片押キャリパーで十分ということもある。
なおタイヤサイズについては試乗した FSPORT も写真撮影した version L (写真31) も同じく 235/55R20 であるが、ホイールデザインは異なっている。それで乗り心地だが、試乗車は FSPORT ということで多少はスポーツ志向のサスペンションチューニングとは思うが、それでもボディはシッカリしているし重量級ということも硬い設定の割には乗り心地はは結構良い。
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