BMW M4 Coupe (2016/1) 前編 その2 |
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引き続きM4の内外装を紹介するが、内容的には前述の日記 (⇒2015/12/14(Mon) からの日記 それではフロントヘッドライトから。バリアブル・ライト・コントロール機能を備えるアダプティブLED ヘッドライトやコーナリング・ライトを組み込んだヘッドライトは外観上では 420i クーペと区別がつかない (写真16) 。そしてヘッドライトから下に視線を移すとバンパーに開いたエアインレットには 420i クーペのような補助ランプが付いていないが、これは本気でエアの取り込みを必要とする M4 ではランプが吸気口の面積を狭めるために容量不足となるためで、決してケチっている訳ではない。言い換えれば 420i のエンジンではそれ程の吸気量は必要ないということだ、って、当たり前だが。 歴代のMモデルの大きなアイデンティティの一つにフロントフェンダーに開いたエアアウトレットがある。今回の M4 にも勿論これは装備されていて更にはここから水平に伸びたエンブレムには誇らしげに ”M4” のエンブレムが付いている (写真17右) 。これが420i となると写真17左のように当然ながらこのようなエアアウトレットは‥‥あれっ、付いている。勿論 M4 とは少し違うが、それにしてもMとの大きな違いの一つを捨て去ってしまったわけで、Mモデルのオーナーからすれば「どうなってるんだ。責任者出てこい」の心境だろう。しかしこれでナンチャッテM4はより作りやすくなった、ということで庶民 (420i クーペだって500万円以上するんだから庶民に買える訳ねえだろう!という声は無視するとして)には嬉しい処置だ。 M4 のエンブレムは上記のフェンダー以外にはフロントグリルとリアトランクリッドにそれぞれM ロゴと ”4” のエンブレムがある (写真18〜19) 。リアについてはBMWの場合同じ位置に車名を表すロゴ、例えば ”420i” とか "330i” などを表示するのは言うまでもないが、それでは例えば 420i (勿論M SPORT) をM4 らしく見せる場合には ”420i” を外すのは勿論だが、その後に ”M4” を貼るというような例は見た経験が無い。それではどのようにするかといえば ”M” のみを貼るのであり、これなら M SPORT ではフェンダーサイドなどにも貼られているから罪悪感は無い、ということだろうか。 今度はトランクリッドを開けてリアのラゲージスペースを見ると、この手の高性能車としては珍しく実用になるスペースが有るのはセダンベースのクーペのメリットだが、それでもセダンよりは狭い (写真20) 。まあ M4 の場合は比較対象がリアにトランクを持たないポルシェ 911だったりするから、それに比べれば充分に広いということだ。これなら灯油を運搬することだって出来る、何ていうとポルシェオーナーから「911だってフロントにあるトランクに 18L ポリタンク2個が積めるぞ〜っ」なんて言われそうだ。 リアに回ったついでにリアバンパー下から覗く排気管に視線を移すと、そこには立派なダブルマフラーが左右対称に、合計4本が突き出ている。勿論単なるハッタリのマフラーカッターではなくちゃあんとしたエクゾーストパイプであるのは流石に本物! この排気管というのは後付でナンチャッテ高性能車にする場合にはどうしても後付け感が丸出しでしっくり来ないのだが、M4 のように車両デザイン自体が最初からそれを考慮していれば極自然に装着されているのが判る。 |
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ドアを開けると最初に見えるドライバーズシートは当然ながらサポートを考慮したスポーツシートだが、何となく先代 M3 クーペ (E92) よりもサポートが緩やかで大人しいようにも感じる。そこで両車の写真を比べてみると、まあそれ程劇的に違うという訳でも無さそうで、これはデザイン上でそう感じるのかもしれない (写真23)。リアスペースは大人二人が何とか乗ることが出来るから2+2 ではなく 4シーターと言ってもバチは当たらないだろうが出入りには苦労する。とはいえ2ドア 4シータークーペのリアシートへのアクセスとしては標準的なものでもある。 シート表皮はエクステンデッド・レザー・メリノという名称のレザーで、BMW でお馴染みのダコタレザーとは少し違う質感だし、スポーティーというよりもラグジュアリーという感じだ。ポジションの調整はメモリー付きの電動式だが、このスイッチ類はシート側面に付いている3シリーズなどでもお馴染みのものだ。その手前に見えるドアシルプレートにはMロゴとM4 の文字がある。この部分は通常モデルでも M SPORT の場合はM ロゴは付いているが当然ながらM4 の文字はない (写真25) 。なお先代と違い新型のフロントシートはヘッドレスト一体型でMロゴも付いている (写真26) 。 リアシートも表皮などはフロントと同じもので、しっかりとステッチも入っているが、やはり座面のクッションなどは薄そうだ (写真27) 。なおリアーシートに座った時の足元のスペースは、決して広くはないもののフロントに 170p 級のドライバーが座ってもリアは充分に実用になる程度のスペースはある。 |
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ドア自体はベースとなる4シリーズクーペと共通な事からインナートリムも基本的に同じで、更には長さは長いが基本的な形状はセダンの3シリーズとも共通点が多い。とはいえ実際にドライバーが触れるアームレストとその周辺にはレザー貼りでステッチも綺麗なパッドを使うなど、一千万円のクルマとしては当然だが十分なコストを掛けている。 リアには当然ドアはないが、側壁にはリアパッセンジャー用のアームレストなも装備されている (写真23) 。 |
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ダッシュボードなども4シリーズクーペと共通で、違いといえばインテリアトリムの材質などで、この思想はドアトリムとも共通している (写真24) 。センタークラスターのオーディオやエアコンなどのパネル類も4シリーズ、いや3シリーズとも共通だからトリムの材質等に金を掛けてはいるが、基本は全くの3シリーズという事になる (写真25) 。 コンソール上にはAT セレクター、走行モード切替スイッチ、そして iDrive のコマンドダイヤルが並ぶという点では4シリーズクーペと同様だが、DCT のセレクターはトルコン方式とは全く異なるパターンとなっているのは M5や 旧M3 などと共通している (写真26)。そしてダッシュボード右端はドイツ車ではお馴染みの回転式のライトスイッチがあり、この点では4シリーズクーペ、というよりも他の BMW 各モデルと同様となっている (写真27) 。 フロントのセンターコンソールの後端にエアコンのアウトレットを設けるのも4シリーズクーペは元より BMW 各車、いや今や多くのクルマで常識となっている方法だ (写真28) 。フロントシートの背面にはリアパッセンジャーが操作するバックレストのロック解除レバーとパワーシートを前後させる電動スイッチが設置されていて、リアパッセンジャーは降車の際に自ら簡単に出ることが出来る (写真29) 。 |
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さて一番の興味である走行については後編にて。 |