Mercedes-Benz (W213) E200 (2016/8) 前編 その1 |
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メルセデスベンツは日本では長年 ”ベンツ" と呼ばれていた、というか今でもそうだが、まあこれが日本語だと思えばそれでも良いし、実はメルセデスというよりもベンツと言ったほうが言いやすい、というのもある。しかし、このサイトはハイレベルのクルマ好きを読者に想定している訳だから原則としてベンツなんていう表現はしない事にしている。 その日本でメルセデスが高級車の代名詞と一般に認識されだしたのは少なくとも1970年代だったように思う。それ以前の日本での高級車の代名詞は米国車であり、その中でもキャデラックこそが最高級車だったが、勿論当時の米国では日本以上に成功者の証はキャデラックに乗ることだったようだ。そして当時の危ない輩、すなわちマル暴関係者も当然ながらバカでかい米国車がステイタスであり、アメ車=マル暴というのも一般人の認識だった。 そのマル暴の憧れもいつの間にかメルセデスに変わって行き、デッカいベンツ=組幹部、という構図になっていった。このようにマル暴の好むのは勿論Sクラスだが、大きさも価格もSクラスほどではないミディアムクラスがEクラスであり、とはいえ40年前にクラウンが100万円代だった頃に600万円以上もの価格と、そのクラウンの全幅が1,690o だった当時に1,800o の全幅は充分に高価で大きかった。なお正式にEクラスという名称が使われた始めたのはW124からだが、現在のEクラスに至るミディアムクラスは W123 から始まったと解釈するの普通だろう。なお、当時はミディアムではなくコンパクトと呼ばれていて、その後190 (後のCクラス) が出たことでミディアムに ”昇格” した。 なお W123 から W124 、そしてその後 W210、W211 へと進化する過程については以下の試乗記 (W212) の冒頭で解説しているので、詳細はこれらを参照されたい。 ⇒ Mercedes Benz E300 AVANTGARDE 試乗記 (2009/9) このW212 は後期型でフェイスリフトが行われて W210 から続いた4灯ヘッドライトに別れを告げて変形の2灯となった (写真1右) 。それと共にメルセデスベンツのサルーンの代名詞であった数本の横桟を持つグリルとボンネット先端中央に立つスリーポインテッドスターのオーナメントを持たないで、グリル中央に大きなスリーポインテッドスターを付けた通称クーペグリル (写真4) が後期型からは主流となっている。なお前者の伝統的なグリルはクラシックグリルと呼ばれている。 | |
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次に新型 W213 の諸元を先代 W212 と比較すると、サイズ的にはほぼ同じだがホイールベースは65o も延長されている。エンジンは先代 E250 と型式も同じで基本的に同じ 4気筒 2.0L ターボだが、最高出力・最大トルク共に小さく、だから ”250” ではなく ”200” ということか。と、思って調べてみたらば今後発売されるラインナップに E250 アバンギャルド スポーツ (756万円) というモデルがあった。今回発売の E200 で同じくアバンギャルド スポーツの場合は727万円だから、その差は約30万円となる。ただし E200 にあるベースモデル (675万円) が E250 には設定が無い。 Eクラスのライバルは当然ながら BMW5シリーズであり、E200 とスペック的に近い 523i と比較すると、サイズ・エンジン性能共に殆ど同じで価格も近いが、5シリーズは既にモデル末期ということもあり 685万円の 523i のベースモデルが M Sport という事実上の値下げともいえる価格となっている。 レクサス GS に関しては発売が 2012年だから比較的新しい設計だが、その割には V6 2.5L 自然吸気という時代遅れのエンジンを使用している。これはトヨタ (日本) が小排気量ターボの波に乗り遅れているのと、レクサスの主な顧客である米国では小排気量エンジンが好まれないなどの理由と推定する。 米国ではレクサスのライバルとして日産の高級車ブランドであるインフィニティ Q70として販売されているフーガも同クラスであるが、これまたレクサス GS と同様で今や時代遅れとなりつつある自然吸気 V6 エンジンを搭載している。しかしインフィニティ Q50 として販売されているスカイライン (V37) の場合はメルセデスから供給される2.0L ターボエンジンを搭載している。このエンジンは今回の E200 よりも多少チューニングされた高出力タイプで、恐らく 250 として近日中に追加設定されるであろうモデル用に限りなく近いものだから、フーガも次回の FMC では W213 と同じエンジンになる可能性は大きい。因みに本来はフーガ 250GT と同等の GS250 の国内価格を比べてみれば、ベースグレードではそれぞれ 478万円および 552万円となりその差は74万円だが、元々レクサスのおもてなし料は60万円くらいだから、まあ装備の違いもあるだろうからこんなところか。 ![]() それでは今回の試乗車である新型Eクラス (W213) の内外装に目を移す事にするが、いつもの様に既に2016/8/14 からの日記 新型の第一印象は誰が見てもメルセデスであり、このアイデンティティの強力さはやはり世界ナンバーワンに間違いない (写真2) 。斜め後ろから見ても高級オーナーカーの見本みたいに落ち着いていてスポーティーとベタ褒めしてもバチは当たるまい (写真3) 。 ここで新旧Eクラスを比較してみると先ずは正面から見たところでは、よーく見比べないと違いがわからないくらいのキープコンセプトとなっている (写真4) 。リアはコンビネーションランプ (テールランプ) がトランクリッドに掛からない以前のデザインに戻ったようで、これこそW124でアット驚いた (という程でもなかったが) デザインの復活だ (写真5) 。 サイドビューは先代に比べて特にフロントオーバーハングが短いのは全長がほぼ同じなのにホイールベースが65o 延長されたことから、その殆どをフロントオーバーハングを短くすることで実現したからだ (写真6) 。しかし、これって BMW 路線であり、メルセデス、それもCクラスならともかくEクラス的では無いという気もするが‥‥。ウエストラインのキックアップは殆ど無く水平に近いから、これは高級サルーンらしい落ち着いた雰囲気となっている。 | |
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フロントはマルチビーム LED ヘッドライトを装備している為に一目で‥‥いやそれ程特徴的な外観ではない。バンパー内のアンダーグリルには安全運転支援システムのセンセー (らしきもの) が見える。えっ、そんなの 230万円のエクストレイルだって標準で付いている、って? いや、ごもっとも。リアの排気管はクロームメッキされた横長のマフラーカッターが付いている。 トランクリッドを開けて出現したリアラゲージスペースは、DセグメントのCクラスとは一線を画す充分な広さを持っている。特に写真9 の角度から見ると奥行きの深さを感じられるだろう。このトランクリッドには当然ながら電動式のクローザーを持っているが、そのボタンが目立つ赤 (朱) 色となっている (写真11) 。そういえば最近試乗した GLE の場合もこのスイッチは赤だった。このボタンを押してみたら電動式でウィーンと閉まっていき、最後にバタンっといって完全に閉じたが、その昔のスーッと閉まるような金の掛け方は今や出来ないのだろう。 |
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この続きは前編その2に続く。 |