Porsche 991 Phase2 (2016/5) 中編

  

今回はいよいよ内外装話を進めるが、 991 Ph2 は既に2016/5/18 からの日記 で本試乗記よりも少し大きめの写真で紹介しているために、ここでは主として Ph1 との比較を行うことにする。

先ずはスペックで Ph1 と Ph2 を比較してみると、アウターサイズではPh2 の全幅が25o 拡大されているのが目に付く。ただし Ph2 の欧州向けスペックを調べてみたらば全幅は 1,808o となっていた。ということは日本仕様の場合、法規の関係で少し幅を広くしているのかもしれない。例えば欧州の計測方法ならば問題ないところを、日本では違法と判断されてしまうので何らなの方法で幅を増やしたとか、そんなことがありそうな気もする。このような事例としてはBMW3シリーズでやはり日本の法規だとタイヤがはみ出したと因縁をつけらそうなために、厚さが2oくらいの小さなパッドを貼って全幅を数ミリ増やしたことにして認証を取ったなんていう例があった。この手の問題については近いうちにどこかの特別編で扱おうと思っている。

その車幅問題を除けば Ph1 との違いはエンジンのみという事になる。そしてそのエンジンスペックは当然ながら Ph1 の自然吸気よりも数値的には向上している。取り分けトルクについてはターボの恩恵によりそれぞれ10%程向上している。また Ph1 ではカレラとカレラSでそれぞれ排気量の違うエンジンを用意したが今回は同一排気量、すなわち基本的には同一エンジンを過給特性の違いで性能差を付けるという、BMW などでは当たり前の方法となった。

上の表で新旧の違いとしては、ま〜だあった。それは価格。数十万円程値上している。簡単に数十万円というけれど、スズキ アルトの新車の半分!やっぱり格差社会だと実感する。えっ?アルトを新車で買えるなんて恵まれているほうだって? そういえばフリーター風の兄ちゃんは結構中古の原チャリに乗っているのを見ることが多いと気が付いた。

それでは本題に入って、早速 Ph1 および Ph2 のエクスエリアを比較するが、今回の Ph2 の写真では赤いクルマがカレラS (試乗車) 、白いクルマがカレラ (展示車) で、Ph1 では黒が試乗したカレラSで赤いクルマはカレラであり、これらをその場面によって使い分けている。それではエクステリア上の違いはといえば写真11〜12 のように一見したところでは明らかな違いは見つからない。それにしてもこうして911 (991) のエクステリアを眺めると実に良いスタイルをしている。ポルシェ911 というのは以前は何となく背が高くてどうもスポーティーともいえないように感じていたが、水冷化された996 以来日増しに広く低くなってきて、今では実車を見ると結構な迫力になっている。

まあ、価格を考えれば格好良くて当たり前で、因みに今回の試乗車はカレラSのベース価格が1,584万円で、これに400万円 (!) 程のオプションが満載されているそうで、乗り出し価格は2千万円を超えているという。それでサイドビューを比べてみても Ph1 と Ph2 との違いは全く判らない (写真13) 。


写真11
前・後期では殆ど変わらないフロントエクステリア。


写真12
そしてリアも変わらず。それにしても最近の 911 は低くて格好が良い。

写真13
サイドから見ても Ph1 と Ph2 との違いは全く判らない。

ここまで前・後期では大きな違いは無いと言ってきたが、では大きくない違いは何処だろうか? まずフロントでは写真14のようにバンパーに埋め込まれたエアインテイク、すなわちボトムグリルの形状が変わっていて、写真ではカレラだがカレラSも同様だ。なぜここだけカレラを使用したかといえば、Ph1 のカレラSはボディがブラックのためにエアインテイクの形状が解り辛いだろうということで写真の手持ちがあった赤いカレラを使用している。う〜ん、この手の比較も結構頭を使ったり大変なんスよっ。

そしてリアだが、一番目立つ違いはリアエンジンカバー上のエアアウトレット上のルーバーが、横 (Ph1) から縦 (Ph2) なった事と、カレラS の場合排気管が左右格2本出し (合計では4本出し) から中央2本出しとなった事だ。排気管の数と形というのはスポーツカーの場合は雰囲気を盛り上げる意味ではかなり重要であり、Ph1 カレラSのような 2×2本の4本出しというのは高性能車の証という感じであり、BMW ではM3 や M5 なども同様だし、国産ではレクサス IS F もチョッと変形だが4本出しを採用していた。なお、”していた” と過去形なのは既に2014年に国内向け販売を終了していたからだ。ところが、その後釜はクーペボディのRC F に受け継がれていて、まあ言ってみれば M3 相当から M4 相当となったような訳だが、この件はいわゆるスレ違いだからこの辺で止めておく。

それではカレラはどうかといえば、これはどちらも楕円の変形が左右から出る2本出しで変わりはない。そこで写真16に Ph2 でのカレラとカレラSの排気管部分を比較しておく。おやっ、この写真、何故かサイズが大きめじゃあないか、って? そうです、スポーツカーのステイタスとして、それ程排気管は重要なんっすよ。

そんなもの後から市販品のマフラーカッターを付ければいいじゃあないか、という考えもあるだろうが、あの手は一目見てすぐに不自然さが漂ってしまうし、中にはマフラーごと社外品に取り替えている走り屋風のクルマも以前は結構見かけたが、本来はそんなにデッカイマフラーを付けるような設計になっていないボディに強引に取り付けるから地上高を確保できずにマフラーをガリガリやってるなど、かなり格好は良くない。


写真14
フロントビューはビッグMCの定番であるバンパー内のエアインレット (ボトムグリル) の形状が Ph1 とは多少変更されている。


写真15
リアについてはエンジンフートのエアアウトレットのルーバーの形状が変わっている事に加えて排気管も変更されている。

写真16
Ph2 の排気管はカレラSの場合、従来と異なり中央に太い2本出しとなっている。カレラについては変形の横長が左右から出ているというPh1 と同じタイプを使用している。

ドアを開けて視界に入るインテリアは Ph1 と比べて大きな違いは無いようだ。更にカレラとカレラSでも大きな違いは見当たらないが、ポルシェの場合はカレラでも高級な内装を付けたものもあるし、その逆も当然あるから何とも言えない。ただし一般に展示車や試乗車は高価なオプションを満載している場合が多く、スッピンに違い使用は滅多にお目にかかれない。

という訳で実は写真17の Ph1 はオプションのスポーツシート・プラスが装着されているために Ph2 の写真とはシート形状が異なっているが、勿論 Ph2 でも同じオプションシートを付ければ同様となる。なお、オプションを含めた 911 のシート体系については、Porsche 991 (Ph1) Carrera S 試乗記 (2012/5) で説明しているので詳細はそちらを参照願いたい。それで今回の試乗車も展示車も標準シート (スポーツシート) のために本皮/人工皮革のパーシャルレザーシートとなっているが、これがスポーツ・プラスだと全て本皮となるが、何故によりスポーティーなシートだと本皮となるのかは判らない。因みにボクスター/ケイマンの場合は911では本皮を使用しているセンター部分がアルカンターラになるが、アルカンターラの方が安物かといえばそうでもなく、下手な本皮よりも高価だと言われている。その証拠に GT3 のようなレーシングモデルではシートのみならず、その他の内装でもアルカンターラが多用されている。

シートのポジション調整は全て電動式だが、ポジションメモリーは一部のオプションシートのみとなっている。この辺の組み合わせも詳細は上記の 991 Ph1 Carrera S 試乗記にて解説しているので詳しくはそちらにて。

写真17
ドアを開けて視界に入るインテリアは Ph1 と比べて大きな違いは無い。

 


写真18
写真のシート表皮は標準の本皮/人工皮革のパーシャルレザーで全て本皮はスポーツシート・プラスのオプション選択が必要だ。


写真19
ポジションの調整は電動式だが、メモリーは標準シートには付いていない。

ドアインナートリムも Ph1 と変わるところはないが、相変わらず「伊達に一千万円を軽く超える正札は付けていないぞ」と納得するに十分で、質感は極めて良い (写真20) 。なお写真の車両はレザーを多用していてアームレストやそれに続くドアグリップ、さらには肘のあたる部分にもステッチが入ったレザーパッドとなっていた (写真21) から増々高級感に拍車を掛けていた。

以前の 911 (特に996) といえば価格の割に内装に高級感が無く、カローラ並みと比喩されていたくらいで、勿論カローラ並の訳がないが結構これを本気にしていた輩もいたりした。それがこのような高級感を醸し出すようになったのはパナメーラが発売された以降で、911ではこの 991 からだった。

なおドアトリムに取り付けられたスピーカー (ウーファー) には ”BOSE" のエンブレムがあるが、現在 カレラSにはボーズシステムが標準装備されているようだ。まあ、こういうものが値段を押し上げているのだろうが、カーオーディオなんてどうでもいいが、性能的にカレラではなくてカレラSが欲しいというマニアからすれば余計なモノは要らない、という気持ちだろう。正直言ってカーオーディオなんてどう転んでも良い音がする訳もなく、折角のポルシェのエクゾーストノートがオーディで帳消しになるじゃあないか。えっ、逆でしょう? オーディオの音がエンジンに邪魔されるのでは? という、あなた。本来911を選ぶべきではありありませんなぁ。強烈か加速が欲しければ PORSCHE ではなく AMG の方が向いているのでは。


写真20
ドアインナートリムも Ph1 と変わるところはないが、相変わらず質感は極めて良い。

写真21
写真のクルマはレザーを多用していてアームレストやそれに続くドアグリップ、さらには肘のあたる部分にもステッチが入ったレザーパッドとなっている。

なおカレラSのオーディオは BOSE システムが標準となっている。

 

ダッシュボードの基本は当然ながら Ph1 と同じで、ポルシェといえどもモデルの中間でダッシュボードの形状 (樹脂フレームの金型等) を変更することはしないだろう (写真22) 。なお同写真で Ph1 のフロントウィンドウ越しに見える光景は異常な程にポルシェばっかりだが、ポルシェディーラーだから当たり前だった。尤もその昔は私立医学部としても最も偏差値の低いといわれていた○○医科大学の学生用駐車場もこんな情景を見られたが、流石に今ではそんな事も無いだろう。

このようにダッシュボード自体は Ph1 と変わらないように見えたが、センタークラスターを良〜く見ると明らかに異なっている。ポルシェといえば数の少ない日本向けのオーディオ&ナビは市販品、ぶっちゃけクラリオンのオーディオ一体ナビを純正品として付けていたから、一千万円以上も出してナビのディスプレイをウィーンと持ち上げて、そこに出てくるパネルでCD 装着などを行うという「これじゃワゴンRと変わらねぇじゃねえか!」状態だった。

しかし何と Ph2 ではエアコンユニットは Ph1 と同じだが、そのすぐ上にはオーディーのユニットが見えていて、要するに本国仕様と同様にオーディオ&ナビを統合したシステムになっていた。これは今までに飽きるほど指摘してきたが、今回は目出度くも欧州仕様のようにエアコンの上部にオーディオ操作パネルがあり、その上のディスプレイと連携したシステム化がなされている方式となった (写真23) 。そこで写真24にこの部分の拡大写真を載せておく。ただし、場合によっては電源を入れた際にシュツットガルトの地図が出現する‥‥何て事は無いのでご安心を。

写真22
ダッシュボード自体は Ph1 と変わらないように見えるが‥‥。


写真23
センタークラスターを見ると、PH2 からは懸案の市販オーディオ一体ナビの流用は止めて欧州と同じ専用のユニットとなった。

写真24
エアコンユニットは Ph1 と同じだが、そのすぐ上にはオーディーのユニットが装着されていて、要するに本国仕様と同様にオーディオ&ナビを統合したシステムになっていた。

ということで、一番の興味である走行については後編にて。

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