BMW X5 xDrive 35d (2015/7) 前編 (2/2)

  

リアに回ってリアゲートを開けてみると‥‥なんだか開口部がやけに高い位置にある? あれっ、そこでよく見たらば実は上下2段開きだった。このタイプはその昔の米車のフルサイズステーションワゴンなどでは定番だったし何やら高級感を感じる方式で、これに比べて当時の日本車で採用している上に跳ね上げるゲートが何とも安っぽく感じたものだった。尤も ´70年代頃の国産車ではステーションワゴンなんていうものは殆ど無くて商用のライトバンと呼ばれるものだったし、5ナンバーのワゴンでもバンのバリエーションとして乗用車登録しただけで、シャーシーやサスペンションの基本は商用車そのものだった。そんな状況だから、実用的な跳ね上げ式のテールゲートが当たり前で米車のような上下に開くものは覚えが無いが、もしかしたらクラウンのバンは上下だったような気もする。

ラゲージスペースについては流石にでかい図体のボディは伊達ではなく、幅は勿論奥行きも結構深い。さらにこの床を持ち上げるとその下には多少のスペースが現れるが、ここで驚くのは持ち上げた床板はダンパーで保持されることだ。Cayenne は床板を上げるとロッドが付いていて、これを手動で立てれば保持されることに関心したが、こちらは更に上手だった。まあ、一千万円なりの事はやっているぞ、という感じだ。


写真10
リアゲートを開けると、あれっ、下1/3 程が残っている?


写真11
実は昔の米車のステーションワゴンのように上下開きだった。

写真12
リアラッゲージルームの床を持ち上げるとそこには多少のスペースが有る。そしてその床板はダンパーで保持される。

 

ドアを開けてみると SUV らしく高い着座位置のシートと、それにも関わらずコレでもかという頭上の広さが目に付くが、内装自体 BMW の上級モデルでお馴染みのレザーを多用したインテリアが見える。このレザーシートというのは日本人の金持ちが大好きなアイテムのようだが、初期の自動車、すなわち馬なし馬車といわれるような時代には吹きっ晒しの運転席には雨風にも丈夫なレザーシートを使っていたが、完全に囲われた客室は本物のウールモケットが使われていたという。だから本当の高級車はモケットシートだったという話を聞いたことがあるが、それでは今はどうなのかと調べてみた。高級車ということだからやっぱりロールスロイスだろうという事で2000年代のモデルの公式写真を見たら、全てレザーシートだった。ということは今の世の中、高級車の内装 (特にシート) といえばレザーだという事のようだ。

そして、BMW ではどうかと言えば下位グレードがファブリックで上級になるとレザーというのが当たり前のようであり、X5の場合では唯一最廉価グレードの SE のみがトゥイル・クロスと呼ばれるファブリックシートを使用している。ここで現行の X5 のグレード構成を説明しておくと、Standard がベースとなりその上に他のモデルでは Luxuary に相当する xLine があり、もう一つはお馴染みスポーツテイストの M Sport となっている。ただし、既述の SE という最廉価グレードが xDrive35d のみに用意されているから、X5 でファブリックシート装着車というのは xDrive35d SE のみとなる。因みに Standard と SE の価格差は23万円だから、これがシート表皮の価格差ということだろう。

という訳で、試乗車のシートは当然ながら分厚くてシボのハッキリしたダコタレザーと呼ばれるものだが、BMW のレザーシートには他にエクスクルーシブ・ナッパレザーという薄くなめしたモノもあり、これは xDrive50i にのみ標準装備されている。とはいえ、BMW といえばダコダレザーでしょう。ただし、チョット前までの BMW のダコタレザーシートは中央部分にシワ (ギャザー) が入っていて、これがまた如何にも BMW らしかったのだが、最近はピッチリと張ったモノを多く見かけるようになってしまった。

シートの調整については当然ながら電動式であり、座面のドア側側面に付いたメモリーと一体になったスイッチは1シリーズを含めたBMW 全シリーズに共通なタイプとなっている。と、書くと突っ込まれそうなので補足すると、ごく一部の車種では違うスイッチを使用しているから厳密には全シリーズ共通という訳でな無い。ところで、このシート位置メモリーは2つのボジションを記憶できるが、言い換えれば2つしか記憶できなから夫婦で其々使用していると偶に愛人友人に運転させる時にはいちいち合わせ直す必要があり、間違ってそれを記憶させたりすると次に奥さんが乗る時に全く合わずに家庭争議問題になることも考えられる。

ドアのインナートリムもレザーを多用してステッチも入っているなど、伊達に限りなく1千万円の乗り出し価格を付けているわけでは無い。とはいえ今回の内装色であるブラックの場合、写真を見ればマルでモノクロームと見紛うばかりの地味さだが、これはBMWらしく多くの内装色が用意されていて茶色系2種類 (モカ、テラ)、 アイボリー系が2種類 (アイボリーホワイト、キャンベラ・ベージュ) が設定されているから、アイボリー系を選べばもっと明るくて華やかになるが、汚れなどを考えればこれを選ぶことを躊躇してしまい、結局多くのユーザーが無難なブラックを選ぶというのが日本の現状だ。そんな状況だから、ベージュの内装に乗っていると「あっ、あいつ展示車を安く買ったな」何ていう陰口をたたかれたりする。

写真13
ドアを開けると SUV らしく高い着座位置のシートと、それにも関わらずコレでもかという頭上の広さが目に付く。


写真14
シート表皮は分厚くてシボのハッキリした BMW ではお馴染みのダコタレザーで最廉価グレードの SE を除けばX5は全てレザーシートが標準となる。


写真15
シート調整は電動式で座面のドア側側面に付いたメモリーと一体になったスイッチは1シリーズを含めたBMW 全シリーズに共通なタイプとなっている。


写真16
ドアのインナートリムも高級素材を使用しているが、ブラックのインテリアカラーだとマルでモノクロームのようで華が無い。


写真17
ドアスイッチ付近を拡大してみると、レザーにステッチという高級感に溢れているから、オーナーは充分な満足感を得られる。

インパネも基本的にはBMW 各車と共通のイメージではあるが、何しろ高さ方向に余裕が有ることから、左右端のエアアウトレットは2段になっていて、上下でインテリアトリムも異なっている (写真18)。すなわち上段がウッドで下段はピアノブラックを使用している (写真20) 。ただし、試乗車のウッドリムは何となく暗くて華やかさに欠けるものだった。センターのエアアウトレットは左右端の上下2段と異なり一段となっていて上段は左端からのウッドトリムがメータークラスターまで伸びている (写真21) 。 この2段式の水平トリムは、まあ好き好きの問題だろうが個人的にはチョイとイマイチだし、下側がブラックということで尚更室内が暗く見える。

センタークラスターのオーディオとエアコンのパネル類は5シリーズセダンと同じユニットを使用しているが、何故か配置はそれぞれ上下が逆になっている (写真19) 。また最上段に載っかっているように取り付けられている横長のディスプレイは5シリーズなどでお馴染みのモノだが、横長ナビを表示した際に全体図が小さく表示されるために世の中の評判はあまり良くないが、右半分に詳細を拡大表示するなどパソコで言うマルチフレーム的に使えば実に使いやすいのだが、まあ慣れの問題でもあるだろう。いや、横長に文句を言っているのはチョイ乗り試乗しかしてない国産車ユーザーとかのような気もするが‥‥ (と、偶に燃料を投下してセコくアクセスアップを狙ったりして)

写真18
インパネも基本的にはBMW 各車と共通のイメージではあるが、高さ方向に余裕が有ることから、左右端のエアアウトレットは2段になっていて、上下でインテリアトリムも異なっている。

写真19
オーディオとエアコンのパネル類は5シリーズセダンと同じユニットを使用しているが、何故か配置はそれぞれ上下が逆になっている。


写真20
2段のエアアウトレットとそれに繋がる水平トリムは上がウッド、したがピアノブラックと2つの材質を組み合わせている。


写真21
センターのエアアウトレットは1段で左右に幅広くスペースを使用している。


写真22
オーバーヘッドコンソールは室内灯のスイッチと共に電話のシンボルにSOSと書かれた緊急連絡用のボタンが付いている。


写真23
右端の回転式ライトスイッチは BMW は勿論多くのドイツ車が採用しているものだ。

ということで、何時ものように走行編については後編にて。

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