BMW X1 xDrive20i (2015/11) 中編

  

ドアを開けて目に入るインテリアは何時も述べているようにシートの形状と表皮の材質に影響される面が大きいが、その点では F48 と F45 は結構似ている。それと比べると E84 は3シリーズ的で特にフロントシートの座面形状などが従来からのBMW 路線を踏襲している。具体的に言えば F48 と F45 のシートは座面が平で、しかもサイドのレザー部分が先端まで回り込んでU字型になっていることが原因のようだ。なお、E84 は内装が見るからに高級そうに見えるが、これは手持ち写真の関係で High Line パッケージであることからレザーシートやウッドトリムが使用されていて、これが大いに高級感を醸し出している原因だ。

ところでBMW の乗用車シリーズでは Standerd モデル以外に Designline と呼ばれる Luxury とか Sport という設定があるが、F48 の場合は xLine と M Sport の設定はあるが Luxury というものは無く、パッケージオプションで High Line Package (19.8 万円) を選択する形になる。

シート表皮は xLine では写真12のクロス・トラック・クロス/レザーのコンビネーションが標準だが、試乗車では写真13のダコタレザーシートがオプション装備されていた。なお Standard はグリッド・クロスだが写真が無いために同一と思われる Active Tourer のモノを写真14に掲げておく。そのシートの調整は xDrive20i では全て手動式が標準だが、オプションでメモリー付きの電動シートも装着できる。ところで xLine のコンビシートでサイドに使われているレザーだが、これって本皮、それとも人工皮革というのを知りたくてカタログ中を一生懸命に探したが、単にレザーというだけの表現だった。まあ、見た目ではPorscheでも使っているドイツ車でお馴染みの人口皮革のようにも思えるが。

写真9
一見したところ何となく従来のBMWと違う雰囲気があるのはシート座面が平で、しかもサイド部分が先端まで回りこんだU 字型という形状が原因だ。


写真10
F45 のシート形状は F43 と同一のために室内の第一印象は極めて似ている。
対称的にE84 は3シリーズ的で特にフロントシートの座面形状などが従来からのBMW 路線を踏襲している。


写真11
シートの調整は xDrive20i では全て手動式が標準となる。


写真12
xLine はクロス・トラック・クロス/レザーのコンビネーションが標準となる。


写真13
試乗車は xLine だがダコタレザーシートがオプション装備されていた。


写真14
Standard はグリッド・クロスだが写真が無いために同一と思われる F45 のモノを掲げておく。

ドアのインナートリムについてはシート表皮がコンビの xLine でも肘の当たる部分のパッドにはステッチの入ったレザーが使われているなど結構質感が高い。ただし、写真の一部を拡大してみると、アームレストはパッドにはなっているがレザーやステッチなどは弾性樹脂のフェイクのようだ。また F45 との共通点の多い F48 ではあるが、ドアの内張りについては違うものが使われているのは ハイトワゴンとSUV の違いでドア自体の形が違うからだ。って、そりゃあ当たり前だろう、という声が聞こえる。またE84のドアインナートリムはやはりベースとなる少し前の3シリーズ的なのは当然だろう。

写真15
インナートリムは結構質感が高いがアームレストのステッチなどは弾性樹脂のフェイクのようだ。


写真16
F45 との共通点の多い F48 ではあるが、ドアの内張りについては違うものが使われている。
E84はやはりベースとなる少し前の3シリーズ的だ。

ダッシュボートは一見すると F45 と同じにも見えるが良く良く見れば少し違うから、樹脂成形の金型などは全く別物だろう。そしてF45 も F48 も従来からのBMW とは少し基本的なデザインが違うが、シート座面の形状と同じで、これが最新のBMW 小型FWD車のトレンドであり、これに対して E84 の場合は少し前のBMWサルーンと共通の雰囲気を持っている。

F48 のセンタークラスターも一見すると F45 と同じようにも見えるが、これまたエアコンのコントロールパネルの位置が異なっている。なおエアコンもオーディオも操作ユニットについては同じものが使用されていて、これは1シリーズも含めて同じものであるが3シリーズ以上とは異なる。いや実は3シリーズも欧州で販売されている廉価グレードでは1&2シリーズと同じものを使用しているモデルもあるようだが‥‥。

ところで写真19 〜 21 の F45 は手持ちの関係でレザーとウッドパネルという高価なオプションを装備しているモデルであり、これを見ると如何にもBMWらしい華やかさと高級感を醸し出している。とはいえこの手のモデルを注文すると結構なオプション料金と長い納期が必要となるので、これを注文するユーザーは少ない (というか殆どいない) だろう。しかしこういうのが欲しい場合はチョットした裏技があって、この手のモデルはディーラーの展示車として発注された (輸入元に押し付けられた) ものが結構あり、展示を終わった後に販売する場合に実際にオプション価格を上乗せすると随分と高価で誰も買い手が付かなかったりする。そこで、展示車ということもあり特別価格で叩き売る、ということが考えられる。したがって、親しいディーラーマンがいてこの手のクルマを購入する意志がある事を伝えておくと、場合によっては結構な買い得価格で手に入る可能性もある。

ということで比較する F45は F43 xLine の相手としては高級過ぎるがそれを別にすると、フロントのセンターコンソール後端にあるリア用エアアウトレットやその上にあるフロント用アームレスト等、両モデルはほぼ共通であることが判るし、ダッシュボード右端の回転式ライトスイッチも共通となっているのが判る。

写真17
一見すると F45 と同じにも見えるが良く良く見れば少し違うダッシュボード。


写真18
F45 のダッシュボートは一見すると F48 と同じにも見えるが良く良く見れば少し違う。
E84 では少し前のBMWサルーンと共通の雰囲気を持っている。


写真19
センタークラスターも一見すると共通に見えるがエアコンコントロールパネルの位置が異なっている。
なお F45 は手持ちの関係でレザーとウッドパネルという高価なオプションを装備しているために、如何にもBMWらしい華やかさと高級感を醸し出している。


写真20
フロントのセンターコンソール後端にあるリア用エアアウトレットやその上にあるフロント用アームレスト等も両モデルはほぼ共通であることが判る。


写真21
ドイツ車でお馴染みのダッシュボード右端の回転式ライトスイッチも共通のユニットとなっている。

ところがセンターコンソールの形状については F45 と F48 では全く異なっている。しかし各コンポーネントを見ると AT セレクターやパーキングブレーキスイッチ、iDriveのコマンドダイヤルは共通のユニットなのが判るだろう。しかし走行モードの切り替えスイッチについては F45 が従来のBMWとは全く異なるセンタークラスター下端に配置しているのに対して、F48 ではセンターコンソール上の AT セレクターの右隣りというBMWらしい位置に改められているから、BMW車のオーナーならば全く違和感がない。


写真22
センターコンソールの形状についてはF45 と F48 では全く異なっているが、各コンポーネントは共通であるのが判る。

X1 とそのベースになった2シリーズアクティブツアラーを比較してみたが、インテリアについては雰囲気は似ているが随所に違う部分が見られた。まあクルマとしては SUV とハイトワゴンという具合に別の分野のクルマに仕上げているから、敢えて相違を付けたのかもしれない。

新旧 X1 の比較では旧 X1 がベースとなった旧3シリーズを少し安っぽくしたものだったに対して、新型では新しい FWD の BMWとしての基本的なデザインが見受けられるが、悪く言えばBMW とはいえ "FF" の安物シリーズだとも言えるし、贔屓目に言えば充分にBMW の雰囲気持ってるじゃん、という事になる。

そして一番の興味である走行については後編にて。

⇒後編へ