Nissan Skyline 200GT-t (2014/6) 前編 |
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新型スカイライン(V37)については既に一足先に発売となった350GT Hybrid (以下ハイブリッド)の試乗記および特別編を発表済だが、ハイブリッドの価格はベーグレードでも460万円という高価格であり、ハッキリ言ってスカイラインに500万円近い金額を払うのはちょっとねぇ、何て考えている読者も多いだろう。そこで今回は一足遅れで発売された4気筒2Lターボエンジンを搭載した200GT-tに試乗した。このクルマの最大の話題はそのエンジンであり、国産メーカーが欧州メーカーに対して完全に遅れをとってしまったダウンサイジングエンジンを搭載していることだ。しかも、そのエンジンたるや何とメルセデスと共有しており、驚く無かれあの新型メルセデスCクラスと同じエンジンだという。新型Cクラスは未だ日本発売に至っていないが、一足先にエンジンだけはスカイラインに積んでしまったことにになる。 そこで先ずは200GT‐tと同等の旧型であるV36 250GTとの比較と共に、同一カテゴリー(要するにライバル)の中から国産車としてレクサス IS250、そして輸入車はこのクラスの定番でもあるBMW 320iのスペックを表にしてみた。 新旧スカイラインのエンジンを比べると、先ず新型の型式が274930という如何にもメルセデスっぽいものとなっていて、本来のニッサンのエンジンである○●20DETとかいうものとは全く異なっている。このエンジンは出力こそVQ25HRの225psよりも多少少ない211psだが、最大トルクは25.3 ⇒ 35.7kgf・mと大幅に向上している。しかも、同じ2L ターボエンジンのBMW 320iと比べてもパワーもトルクも優っている。BMW3シリーズの場合、同じ2Lターボエンジンでもハイチューンの328iがラインナップされているが、最高出力は245psとスカイラインの211psより勝るが最大トルクについては全く同じとなっていて、しかも発生回転数はスカイラインの方が僅かに低い。ということはスカイラインの2L ターボエンジンの性能は320iというよりも寧ろ328iに近いことになる。 レクサス IS250については、ライバルに比べると完全にひと時代前のエンジンとなってしまい、これは何とかしないと海外での販売に影響するだろうが、欧米向けといっても実際には北米が主体で、欧州では全く商売にはならないから、まあ良いのかもしれない。国内のライバルであるニッサンがメルセデスからのエンジン供給でダウンサイジング化を達成するという、何となく禁じ手的な方法で解決したのに対して、世界のトヨタはどうするのだろうか。流石に持駒がハイブリッドのみでは辛いものがある。 以上を踏まえて試乗する前に何時ものように200GT‐tの内外装を見ることにするが、新型スカイラインは200GT‐tとハイブリッドはグレードが同じもの同士ならない外装も殆ど同じという状況で、そうなるとハイブリッド の試乗記で既に紹介済みであるということになる。そこで今回は視点を変えてハイブリッドの試乗車のグレードであったType SPと今回の2Lターボ試乗車のType P との比較をしてみる。なお、場合によってはガソリン2.0Lとハイブリッドの比較もやってみる。実は200GT‐tの場合、一番価格の安いベースグレードならば車両価格は380万円強という買い得価格(といっても400万円近いが)であり、これなら何とか買えそうだというユーザーも多いだろう。そこで本来はこのベースグレードを徹底的に紹介したかったのだが、残念ながら試乗車はどこを探しても上級モデルのType Pか、さらにスポーティー装備まで追加したType SPしか無く、更には展示車にも無い状況であり結局断念した。 それでは先ずはフロントから比べてみると、Type PとType SPではバンパー下端のエアインテイクの形状が異なっている。この手法はBMWを始めとして多くのメーカーが行っているが、スカイラインの場合はよ〜く見ないと判らない程度であり、折角別の金型を起こすのならばType SPはもっとアグレッシブにしても良さそうな気がするが‥‥。 次にリアビューを比較すると、これは殆ど差がない。Type PとType SPも、そしてハイブリッドとガソリンの違いも無く、普通はよくやる排気管でも差別化も無い。3.5Lなら排気管4本出しくらいを標準にしてもバチは当たらないのに、ねぇ。結局ハイブリッドとガソリンの識別はトランクリッドの後端にあるエンブレムくらいだった。 |
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HYBRID車は大型のバッテリーを搭載しているためにどうしてもトランクルームが狭くなる傾向にあるが、最近はBMWのActiveHybrid 3やレクサスIS300hのように、ガソリン車と全く変わらないトランクスペースを持ち、更にはトランクスルーまで可能なモデルもあるが、スカイラインの場合はハイブリッドのトランクは”真っ当なハイブリッド”らしく奥行きが短く、これに対して200GT-tは標準的な奥行きを持っている。 |
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内装についてもSPのシートが如何にもサポートの良さそうなスポーツシートを採用している‥‥何てことは無く、コンフォートモデルのPと同じものが付いている。 ところでBMW 3シリーズの場合、スカイラインのType P に相当するのはLuxury であり、SPはSport、そしてスカイラインには無いお洒落なModernというグレード(最近のBMWはデザインラインと呼ぶ)があり、更にマニアに人気のM Sport がある、何てえことはこのサイトの常連読者諸氏に対しては釈迦に説法だが、このM Sport に相当するグレードがスカイラインには無いのが痛い。これがレクサスIS の場合には F Sport というその名の通りBMWのM Sportに相当するグレードがある。 BMWのM SportにしてもレクサスのF Sportにしても、これらにはそのイメージの元になったフラッグシップモデルがあり、3シーズならばM3でISならIS‐Fという何れもバカでっかいエンジンを積んだ高性能モデルがある。ユーザーからすればこれらの本物は高価過ぎて手が出ないが、どうせ一般ユーザーにはそんな性能も必要ないわけで、それなら普通の性能のセダンの見かけだけをソレらしくしたナンチャッて高性能モデルでも充分に満足が考えられる訳で、最初にこれを考えたBMWのマーケッティングの上手さには恐れ入ってしまう。ということはISのF Sportというのはその名前からも判るとおりでBMWのビジネスモデルをそのままパックたものだ。そのIS-Fはといえば、既にISはフルモデルチェンジされているがIS-Fについては旧モデルが継続販売されている。まあBMWでもベースモデルのFMC後もMモデルだけは旧モデルを併売し1〜2年ほど遅れてMモデルも新型になるから、一概に旧IS‐Fの販売を否定はできないが、新型のIS-Fの噂というのは聞こえてこないのは何故だろうか。 BMW M3 のライバルを作ろうと張り切って開発したIS-Fだが、やっぱりM3の魅力に迫るものは作れず、しかも運悪くお披露目の晴れ舞台である東京モーターショーには、ニッサンGT- Rという恐るべき高性能車が発表されて、GT-Rをひと目見ようと押しかけた観衆が長蛇の列を作る大騒ぎにという状況を傍に見て、IS‐Fはといえば閑古鳥が鳴いている状態で、それにも関わらずトヨタの会場整理のアンちゃんはマニュアルどおりに「立ち止まらないで下さい」なんて言っているから、惨めさの上塗りになってしまっていた。 話をスカイラインに戻すと、シート表皮はType PとSPにはレザーシートが標準装備されている。これに対してベースグレードは人工皮革とファブリックのコンビということで、それにしても何とか現物を見たいと思いネットで検索したらばチョッと遠いがとあるディーラーにベースグレードの展示車があるようなので急いて行ってみた。そうしたら展示車といっても屋根付きの駐車スペースに置いてあったベースグレードはそのまま新車として販売するのが見え見えで、ドアを開けたらプロテクト用のビニールだらけでこんなミイラみたいな内装ではとても写真を取る気にはならず、それでもせめてシート表皮くらいは写真を取りたいということで、シート座面を覆っているビニールシートの裾をガバッと捲って撮ったのが写真7左で、女子高生に対してこんなことをやったら犯罪だが、ディーラー展示車ならば法に触れることもないし、ストレス解消にもなる‥‥ということは無いが、とにかくそのベーグレードの写真を見れば判るように一見して上級グレードに比べてチャチとか、ショボイという事はない。従って主にシート表皮とその他くだらない装備の違いでベースグレード(383.4万円)よりも約40万円も高い(421.2万円)Type Pなんて買うのは●●ですなぁ。 |
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写真6 |
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次にドアのインナートリムを比べてみると、大きな違いはドアノブ周りのパネルの材質が違うくらいで、そのパネルは試乗車の場合は立派なウッドパネルが付いていた。後で調べたらば本木目と書いてあったが、ただしこれはオプションでType Pの標準はベースグレードと同じガンメタリックだった。これがType SPとなると欧州車のスポーツグレードでお馴染みのボツボツ模様の付いたアルミパネルが標準となる。 なおベースグレードの写真が妙にハイアングルなのはここも分厚いビニールでガッチリとガードしてあったのを強引に引っ張って上から撮ったためで、一部のスケベオヤジの為に解りやすく解説すれば、ブラを強引に引っ張って胸の谷間を上から写真に撮ったためにハイアングルとなった、ということで判ってもらえるだろうか? 勿論シート捲り同様に犯罪とはならないので念のため。 |
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写真8 |
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もうここまで来れば想像できるだろうが、インパネについてもグレード別の違いはインテリアトリムの材質がアルミのボツボツ(Type SP)か本木目(オプション)かガンメタ(その他)かというくらいの違いしか無い。言い換えればベースグレードでも決して安っぽかったり惨めだったりすることはなく、インテリアトリムだってアルミのボツボツよりもガンメタの方が好みというユーザーも多いだろう。さらに加えればベースグレードでも高級車っぽくウレタン樹脂に革のシボ目や、繋ぎ目には白いステッチを使った人工皮革で覆ったパッドなどは上級グレードと変ることはなく、結局ベースグレードで充分満足できそうだ。 |
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写真10 |
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冒頭でも記したように新型スカイラインの内外装はハイブリッド車の試乗記で既に説明済みのために、今回は補足的なものになったこともあり、写真の数などは何時もよりも少なくなってしまった。それで、その分は極力有意義な情報を提供しようと思い文章の割合を多くしてみた。 えっ? くだらないエロ話でスペースを埋めただけじゃねぇか、って? なんですって? 女性読者だっているんだぞ!って? いやまあ、女だてらにクルマが好きなんていう場合、多くは子供の頃からいわゆるオテンバ娘で、大人になっても男勝りで、バカな男どものエロ話なんて何とも思わない強~い ということで、この続きは後編にて。 |