LEXUS GS350 F Sport (2013/1) 前編 | |
|
|
レクサスのEセグメントセダン、GSについては昨年初めにFMCされた直後にGS250試乗記を発表済であり、6月にはハイブリッド版のGS450hの試乗記も取り上げて、残るは3.5Lとなっていたが、今回約1年遅れでGS350、それも最もスポーティーなグレードであるF Sportに試乗してみた。 歴代GS(アリスト)と今回の新型GSの詳細についてはGS250試乗記を参照願うとして、内外装について本試乗記ではGS250、GS450hとの違いについて補足する程度とする。まず、最初は新型GSバリエーションの一覧と、GS350とエンジンを共有しているなど共通点の多いクラウン3.5アスリートも加えてある。 ![]() F Sportというからにはサスペンションも異るだろうから、他社のスポーツモデルのように車高が少し下がるのだろう。例えばBMW5シリーズの場合はM SPORT PACKAGEの装着車両は5mm車高が低くなる。わずか5mmとはいえ、見た目には結構低くなったように感じるものだ。ところが上の表を見ればGSの場合はF Sportも車高は同じだから、見た目にもベースグレードとの違いが判らないという状況で、折角F Sportなんてグレード名にするのなら、BMW5シリーズの5mmなんてケチな事を言わずに10mmくらいはダウンすれば、見た目も随分とスポーティーになるのだが。因みにM5の場合は最低地上高が5シリーズM SPORTよりも更に20mmも低いから、あの独特の低いフォルムが達成できた訳だ。 それではエクステリア上でのF Sportの特徴はといえば、先ずはベースモデルのホイールが17インチであるのに対して2インチアップの19インチとなることだ。まあ、ホイールなんていうのは、簡単に取り替えられるから、どうということは無いが。そして、正面から見るとフロントバンパーのエアインテイクやフォグランプの形状や位置が異なっているが、このバンパーを別部品にする手法はどこのメーカーでも実施している定番だ(写真3)。要するに樹脂部品のバンパー(カバー)はボディの構造材である板金部分の変更に比べれば低いイニシャルコストで異なったイメージとすることが出来るからだ。 サイドビューをみるとF Sportは下端にエアロパーツが付いていて、これでスポーティーなイメージをもたせているが、これも樹脂部品の後付けだから比較的容易に出来る点ではフロントバンパーと同様だ。最後にリアを比較するが、これも大して変わらず、良く見ればトランクリッド後端に小さなスポイラーが、これも後付されていることと、ロアー部分の塗装と形状が異る専用バンパーが装着されていることだ(写真4)。そして、リアビューでのこの手のモデルの定番であるスポーティーな大径(に見える)排気管だが、実は今回の試乗車はTRD(Toyota Racing Development)のマフラーがオプション装備されていたので、太い2本出しが左右から出て合計4本出しという、マルでBMW M5のような出で立ちだが、折角の迫力のマフラーもノーマルと同じ高い車高が台無しにしている(写真6)。 このようにエクステリアを見回してみたが、F Sportの文字は唯一フロントフェンダーサイド後端にあるエンブレムのみだった(写真5)。 |
|
|
|
| |
|
|
|
|
ドアを開けると、試乗車の内装色は赤みの掛かったブラウンのガーネットと呼ばれる内装色で、これは結構派手に見えるし国産車としては珍しい色であり、何となくアルピナを彷彿させるが、アルピナの独特の上品さに比べると何故かGSは成金っぽく感じるのは偏見だろうか? (写真7) それで色はともかく、シートとドアトリムなどはレザーが標準となっているが、このレザーはレクサス得意のセミアニリン本皮ではなく、表面もテカテカして少し滑りやすいのが気になる(写真8)。他社のスポーティーグレードの場合は、アルカンターラなどを使うのが定番だが、GS F Sportは全てこの本皮インテリアが標準となっていて、アルカンターラもファブリックも、そしてセミアニリン本皮もオプション設定が無い。なお、内装色は写真のガーネットがF Sportの専用色で、他にはコンフォートモデルと共通のトパーズブラウン、アイボリー、ブラックがあり、合計で4種類が用意されているのは国産車としては上出来だ。 そしてシート形状はといえば、これまたF Sportというグレード名の割りにはサイドサポートも緩そうで、形状的にもコンフォートモデルと大きく変わらないように見える。このシートの調整は当然ながらメモリー付きのフルパワーで、運転席は何と16Wayだそうだが、一体何をそんなに調整するのか判らない(写真9)。その割りにはBMWのM Sportのシートのように、座面自体の長さを調整することが出来ない。 ドアのインナートリムも形状は他のグレードと変わらす、シートと同色のレザー仕上げとF Sport専用のアルミパネルで雰囲気を出している(写真10)が、試乗車は内装がF Sport専用色のガーネットだからちょっと違う雰囲気があるが、他の内装色を選ぶとコンフォートグレードと同じとなり、大きな特徴も無くなってしまうだろう。 |
|
|
|
|
|
|
|
インパネも他のグレードと変わることはなく、運転席周りではアルミのスポーツペダルが一番目立つくらいだ。センタークラスターのエアコンやオーディオの操作パネルも特に変わりはないし、コンソール上にあるリモートタッチと呼ばれるパソコンのマウスのような入力方式も、他のグレード共通のものだが、コンソールやインパネ、ドアトリムの一部に使用されているパネルは、他のグレードがウッドを主体としてるの対して、F Sportの場合は本アルミパネルと呼ばれるアルミにヘアラインを入れたものが付いている(写真16)。 ディスプレイはGSに共通のものでBMWのような横長だが、大きさはBMWよりも大きい12.3インチを使用するという、トヨタ得意の後出しジャンケンで優位に立っている。BMWの横長ディスプレイを使いにくいというユーザーも結構いるようだが、画面を左右に分割して左に広域地図を表示させ、右には拡大した詳細図や各種情報を切り替え表示することで実に使い易くなると思うのだが‥‥まあ、これは個人の好みというところか。 |
|
|
|
|
|
|
|
リアについては、F Sportはオーナードライバー向けのグレードだから、リアパッセンジャー向けの至れり尽せりの装備は付いていない(写真18)。リアシートのセンターアームレストも天部の蓋を開けても只の小物入れであり、ぎっしり並んだスイッチ群が出てくる他の豪華コンフォートグレードとは違う。それでも、フロントセンターコンソールの後端部を利用したリア用のエアーアウトレット(写真17)は付いているから、リアパッセンジャーにとっては、特に冷遇されているとは感じないだろう。 |
|
|
|
F Sportはその名の通りのスポーツグレードであり、言ってみればBMWのM SportやメルセデスのAMG Sportのレクサス版というところだから、これら欧州のライバルのように如何にもスポーティーを装った内装を期待すると裏切られる事になる。ただし、内装の質感自体は国産車としては良い方で、伊達にレクサスの看板を背負っていないと感心してみるものの、ショールムで隣にあったLSを見ると、ありゃ~、こりゃあ材質からしてマルで違う、ということになるのだが、ここは価格の差と割り切るしかなさそうだ。今まで見てきたようにF Sportとはいえ、どちらかと言えばシートだってコンフォート系であるし、少しスポーティーなモノを求めている国産高級車オーナーの趣向に合わせた、あくまでもトヨタ車ユーザーの買い替え用であることを認識したのだった。 そうは言っても、クルマは最終的には走ってナンボだから、結論は実際に試乗してみないと判らない。 いうことで、この続きは後編にて。 |