そして直ぐに左折して決して広くはない地方道を走って行くと、当然2.5Lのロイヤルよりもパワフルではあるが、この手の道では40~50q/hで、出しても60q/hという状況では2.5Lだって充分とも感じる。そして、暫く地方道を走った後に片側2車線の国道バイパスに出る。ここでは当然流れが速いから、前車との距離が開いてしまい流れに追いつくような時にはアクセルペダルを強く踏んでキックダウンを誘うと、多少の遅れの後にシフトダウンされて、そこからは3.5Lらしい加速に移るが、GS350の6ATと異なりアスリートは8ATだからシフトアップまでのタイミングが速くなる。要するに悪く言えば伸びが無いということになるが、その分は加速が良いはずだが、どうもそれ程とは感じられない。
速い流れに乗って走っているので、ここからは走行モードを切り替えて試して見ることにする。既にロイヤルの試乗記で触れたように、新型クラウンの走行モードはエアコンの操作ディスプレイの下端にある切り替えスイッチで車両設定を選択すると、タッチパネルの画面が走行モードの切り替え表示になるので、これを指でタッチしてデフォルトNORMAL以外にPOWERとECOに切り替えられる(写真37)。なお、この表示は10秒ほどで自動的にエアコンの操作モードに戻ってしまう。道路の流れに乗って僅かにスロットルペダルを踏んだ状態で60q/h、1,200rpmからPOWERに切り替えるてみるが、回転計の針が動くことが無いのはロイヤルと同じだ。では何が違うかといえば次に加速たときのレスポンス向上とシフトアップが高回転側になること、そして操舵力が幾分増してフィーリングもシャキッとすることだ。このPOWERモードは、一部の欧州車のように過激ではないから、そのまま走っているとNORMALモードに戻すのを忘れて、そのまま違和感なく走っていたりすることがあった。
クラウンアスリート3.5Lについては2年ほど前に先代モデルに試乗しているが、先代のスポーツモード(POWERモードという呼び名は新型から)はもっと過激だったような覚えがある。まあ、言われてみれば呼び方がスポーツではなくパワーなのだから、スポーティーを求めたものではない、なんていう屁理屈が通じそうな状況だ。さて、今度はいつもながら気が乗らないECOモードを試してみる。最近のECOモードは以前のようなトロすぎで実用にならない特性というのは減ってきたし、特に今回のように排気量の大きいエンジンを積んだ上級クラスの場合は、結構使い物になる場合が多くなってきたが、このアスリート3.5Lも正しくそれで、確かに急に加速したい状況では苛々する場面もあるが、大人しいドライバーならば使えないこともない。
ところで、既に何回もの信号待ちに遭遇しているが、考えてみたらば一度もアイドリングストップが作動した覚えが無い?もしや、スイッチがオフとなっているのかとも思ってアイドリングストップオフのスイッチを探したのだが‥‥‥見つからない。実はガソリンエンジンのクラウンには、アイドリングストップ機能は付いていないのだった。お見事!あんなものは必要ないとキッパリ切り捨てたのはトヨタにしては上出来だ。 |