BMW 523i High Line Package (2.0L Turbo) (2011/12) 前編


最近の欧州車のトレンドは、燃費とCO排出量の減少を目的とした小排気量ターボ化となっているが、これはBMWも同様で、先にフルモデルチェンジされた1シリーズは120iが自然吸気の2Lから1.6Lターボに変更され 116i同一エンジンのデチューン版となった。そして、次期3シリーズも6気筒の自然吸気エンジンは4気筒ターボに変更されると言われているが、それに先駆けて5シリーズも523i(直6、2.5L)と528i(直6、3.0L)は何れも直4、2.0Lターボに変更となってしまった。 今回は、その直4ターボ化された523iに試乗してみた。

そこで先ずは、新旧の523iと今回2Lターボ化された528i、そしてライバルとなるメルセデス E250(1.8Lターボ)の主要緒元を比較してみる。



523iについては、6気筒に対してパワーは204→184psと20ps、約10%ダウンしているが、最大トルクは逆に25.5→27.5kg・mとアップしている。そして、528iについては基本的に523iと同一のエンジンの過給圧を上げるなどしてパワーが184→245ps、トルクは27.5→35.7kg・mと大幅にアップしている。BMWの4気筒は、同一エンジンでチューニングの違いによりグレード差を付けるという方法が全ての車種で採用されることになるが、これには異論もあるだろう。

ライバルであるE250 BlueEFFICIENCY については、排気量が1.8Lとさらに小さいがトルクは31.6kg・mと523iの25.5kg・mどころか528iの27.5kg・m さえ上回っている。それにしても1.8Lから過給により3.2L並みのトルクを搾り出すという最近の欧州のターボ技術には驚いたものだ。

今回の主題は6気筒から4気筒となったBMW5シリーズは、どこがどう変わったのかということをハッキリさせることで、先ずはエクステリアから比較してみよう。写真1〜2のように、両車は前も後ろも全く違いが判らないし、ホイールまで同一だ。 更には、排気管も左側に2本出しという構成で全く同じ(写真3)なのは、排気量やシリンダー数が全く異なるし、4気筒の場合は1本出しの場合が多いという従来のセオリーも通用しないようだ。
 


写真1
ホイールまで含めてもエクテリアの相違点は見つからない。


写真2
リアも同様に全く同じ。
 


写真3
排気量、シリンダー数が異なるにも拘らず排気管は片側2本出しと変わらない。
 

エクステリア同様にインテリアも全く相違点が見つからない。BMWとしてはエンジンの排気量やシリンダー数が変わっても、性能的にも車格的にも全く同一だということを強調しているのではないか、と思ってしまう。同じもの同士を比べて確認する方法もあるが、今回はちょっと別のアプローチをしてみた。すなわち、読者が523iの購入を考える時に、ベースモデルの523i(610万円)かハイラインパッケージ付き(649万円)かは悩むところだろう。そこで、今回はファブリックのベース グレードとレザーのハイラインパッケージを写真で比較してみる。なお、ベースグレードは試乗車は勿論のこと、展示車を探すのも一苦労という状況のために、写真は6気筒モデルを使用している。5シリーズを買うユーザーというのは、39万円を追加してもレザーシートやインテリアを好むのだろうか。なお、528i(715万円)ではレザーシート&インテリアが標準装備となるため、523iハイラインとの価格差は66万円というのも微妙なものがある。

ところで、6気筒の時は夫々2.5Lと3.0Lとエンジンの排気量自体が異なるのだから、当然価格も違うだろうが、4気筒化では523iと528iは同一エンジンで制御(主に過給圧か)が違うだけであ る。まあトルクが大きければ強度も必要だから、もしかしたら528i用のエンジンはクランクシャフトやコンロッドの形状や材質を変えて強度アップをしているかもしれない。それで も66万円も差があるということもないだろう。そこで、最初に両車の装備の差を比べてみよう。

と、思って装備品を調べだしたのだが、523iにハイラインパッケージを付けると528iとの装備の差は殆どなくなってしまう。強いて言えば、同じ8J×17ホイールでもデザインが異なるのだが、タイヤサイズは同じ (写真4)。ということは、もしかして・・・・・。
 


写真4-1
523iに標準のVスポーク・スタイリング236アロイ・ホイール(8J×17)と225/55R17タイヤ。

 


写真4-2
528iに標準のホイールはスタースポーク・スタイリング327アロイ・ホイール(8J×17)とサイズは523iと同じだが、デザインが異なる 。ただし、タイヤは同じ225/55R17となる。
 

 

まあ、ちょっとした発見もあった訳だが、それではベースグレードとハイラインの違いを見てみよう。先ず、ドアを開けて目に入るのはシートの材質が違うことだが、ファブリックがレザーに比べてチャチだとか、安っぽいとかいう感じは決して無い。ただし、これは個人の感覚の問題でもあるから、何が何でもレザー以外は欧州車じゃあない、なんていうユーザーは何も考えずにハイラインパッケージを選ぶのが良いだろう。なお、シートは表皮の違いの他に ベースグレードはフロントがバックレストの角度と座面の上下のみが電動で、前後と前端の高さは手動となる4ウェイ電動シートであるのに対して、ハイラインでは全てが電動で運転席にはメモリーも装備される8ウェイ電動式となる(写真 6)。
 

写真5-1
ファブリックのベースグレードだって、決して悪くないし、むしろ革は嫌いだというユーザーだっているだろう。
 

写真5-2
ハイラインパッケージを付けることで主としてシートがファブリックから本皮になるという違いがある。


写真6
ベースグレードはバックレストの角度と座面の上下のみが電動で、前後と前端の高さは手動となる4ウェイ電動シートに対して
ハイラインでは全てが電動で運転席にはメモリーも装備される8ウェイ電動式となる。
 

ドアのインナートリムもハイラインパッケージがあってもなくても基本的には同じではあるけれど、一番の違いはアームレストより上のドアトリムの材質が、ノーマルはシートの中央部と同じファブリックであるのに対して、ハイライン にはレザーが使われている。なお、ウィンドウ下端のウエストライン下に水平に伸びているウッドトリムはMスポーツを除いて全ての5シリーズでアッシュ・ウッド・トリムが標準と なっている(写真7)。

アームレストはどちらも同じで、ノーマルでも人工皮革のような表皮とステッチが見え、違いといえばアームレストより上方のドアノブを中心とする部分で、ここはシートの 座面と同じ材質が使われていて、ノーマルではファブリック、ハイラインでは本皮(人口皮革だとしたら随分出来が良い)となる(写真8)。なお、ハイラインの場合はアームレスト上のパワーウィンドウスイッチには、電動式ローラーブラインドのスイッチがある(写真9)ことと、ドアトリム上に電動シートのメモリーボタンがあるのが数少ない相違点となっている。
 

写真7
ウエストライン下のウッドトリムは5シリーズ全グレートで写真のアッシュ・ウッド・トリムが標準となっている。なお、Mスポーツのみはアルミニウム・ヘキサゴン・トリムを標準としている。
 


写真8
アームレストより上のトリムがシートの座面と同じ材質を使っている以外は、合成皮革?にステッチのあるアームレストなど同一部品が使われている。
 


写真9
ドアアームレスト上のパワーウィンドウスイッチ類。写真はハイラインのために電動ブラインドのスイッチがある。

 


写真10
これもハイラインで、←部分が電動シートのメモリースイッチ。
 

 

フロントのインパネは5シリーズ全グレードで共通なのは、まあ当然としてもセンタークラスターのオーディオやエアコンのコントロール類も、これまた同じ。 オーディオの細かい調整はiDriveを使うが、選曲(局)や音量など常用する操作は直接オーディオパネルで出来る し、エアコンは2ゾーンのオートエアコンを標準としているが、これらはBMWに共通だから3シリーズや1シリーズのオーナーにも違和感は無いだろう (写真11)。ただし、流石に5シリーズともなると、1や3より”金がかかっている”という実感がある。例えば3シリーズと比べればオーディオは音域も広く、同じCDを聞いたとしても3シリーズでは聞こえなかった音が聞こえたりする。また、3シリーズのエアコンは滅多に無い、40℃に近いような夏の酷暑では能力不足で全開でも暑いが、5シリーズは余裕で適温になる等、伊達に高い訳ではない。

ダッシュボートの下端にはウッドトリム(パネル)が貼ってあるが前述のようにMスポーツを除いて5シリーズ全てがアッシュ・ウッド・トリムを標準としているが、F10はウッドの下側にシルバーメッキの縁取りがあり、これが結構良い雰囲気を出している。このウッドトリム上には運転席からみて右端にライトスイッチがあり(写真13)左側にはスタート/ストップスイッチがある。ただし、4気筒版になってからは円形スイッチの下に別の押しボタンスイッチと小さな表示灯があり、これは今回から採用されたアイドリングストップ機能の解除スイッチとなっている(写真12)。
 

写真10
フロントのインパネからセンタークラスター、そしてコンソールも含めて写真で見る範囲では、4気筒と6気筒、更にはノーマルグレードとハイラインの間でも相違点は殆どない。
 

写真11
センタークラスターは全グレード共通で、勿論6気筒版からの変更も無い。
 


写真12
スタート/ストップボタンと、その下はアイドリングストップの解除スイッチ。
 

 

写真13
ライトスイッチは御馴染みの回転式。

 

それではブレーキペダルを踏んで、例の丸いスタートスイッチを押してみると難なくエンジンは始動して、4気筒とはいえマアマア静かで振動のないアイドリングを続ける。少なくとも所詮は4気筒だからEセグメントの高級車に似つかわしくない安っぽいアイドリング・・・・ということない。

次は最も興味のある走りだが、果たしてターボ過給とは言え4気筒2.0Lで、この5シリーズの大きなボディをマトモに走らせる事は出来るのだろうか?シルキーシックスと呼ばれてきたBMW6気筒のフィーリングに対して4気筒で何処までスムースに回るのか、等等・・・・・・この続きは後編にて。  


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