Alfaromeo 159 2.2 JTS Selespeed (2010/8) 前編


アルファロメオのDセグメントセダンである159は2006年に国内でも発売されたが、初期のモデルは何とLHDのMTのみ、というスペックで、これでは余程のマニア以外は買わないだろうという状況だった。なお、初期モデルについては アルファロメオ 159 2.2JTS 試乗記を参照願いたい。
上記の試乗記では159のみならず、アルファロメオの簡単な歴史についても言及しているので、今回は行き成り本題に入る事にしよう。

今回試乗したクルマは前回と同じ159 2.2 JTS ではあるが、ミッションがセミオートのセレスピードを搭載しているのと、RHDであることが異なる。これで、2ペダルと右ハンドルという、日本で使うファミリーカーとしては最小限の条件はクリアしたことになる。2.2 JTS セレスピードの価格はベースグレードのトゥーリズモIIの443万円から、上級グレードのエレガントの500万円まで、幾つかのバリエーションがある。試乗したクルマはフラウ製のシートを装着していてり、他にもオプションが装着されていたので、500万円コースとなる。

159のインテリアは基本的にブレラと共通で、如何にもイタリア的なセンスは、ドイツ車は元よりフランス車とも違う独特の雰囲気がある。ブレラの場合は可也派手な内装色があり、これを選べば独特の華やかさがあるが、15 9の場合は流石に地味目のカラーのみで、そのなかでは今回のアイボリーはフラウ製レザーのみの色で、鮮やかさとサルーンらしい落ち着きを共有していた。 そして、座り心地はといえば、これも見た目と同じで実に良い。基本的には硬めの座面だがレカロの硬さともまた違う。勿論、硬いといっても体全体を支えてくれるので長時間の運転でも全く疲れない。このシートはDセグメントサルーンでは最良の一つかもしれない。やっぱり椅子は欧米に 敵わないのは、まあしょうがないか・・・・・。
 


写真1
フロントに比べればアルファのアイデンティティはそれ程でもないリア。

 


写真2
トランクルームは世の中のDセグメント車の標準からは狭いが、アルファのイメージにしては充分な広さか。

 


写真3
後席のスペースはDセグメント車としても決して広くは無い。

 


写真4
フロントシートのタップリした座面長が判る。

 


写真5
オプションのフラウ製レザーシートの表皮はしなやかさも硬さも出来も文句の付けようが無いくらいに良い。

 


写真6
当然ながらメモリー式のパワーシートとなっている。

 

ダッシュボードを初めとした内装は当然ながらソフトパッドで、そのシボも自然で充分高級感がある。センタークラスターのパネルは半艶消しシルバーに見えるが、よく見ると細かいエンボスが入っている (写真10〜11)。そして上からエアコンのアウトレット、3連メーターと何れも3つの円形が並ぶデザインとなっている(写真8)。この3連メーターは左から油温、水温、燃料計で、結構精密そうに見える。エアコンは当然フルオートで、当日は夏の真っ盛りにも拘らず効きは良かった (写真9)。ただし、36℃を超えるような気が狂った猛暑ではなかったので、このような場合でも十分に効くかは判らなかった。


写真 7
ダッシュボードやセンタークラスターは最近のアルファの標準的なもので、ブレラと共通のデザインとなっている。
写真はオプションのフラウレザーシートのために、内装色はアイボリーとなっていて、これがまた実に良い雰囲気を出している。
 


写真8
センタークラスターの3連メーターは、左から油音、水温、燃料。

 


写真9
左右独立調整のできるフルオートエアコンを装備している。

 


写真10
ダッシュボードのパッドはシボの質感も良好だ。

 

-写真11
シルバーのパネルは良く見ると細かいエンボスラインが入っている。

 

試乗する前知識として、ライバル車との比較により159の市場でのポジションを確認してみよう。
比較対照は同じDセグメントのドイツ御三家としてみた。アルファロメオというブランドがドイツ御三家に匹敵するプレミアム性があるのかは多少の疑問はあるが、少なくとも大衆ブランドではないし、一昔前は充分に高級ブランド であり、大昔は今のフェラーリに匹敵するスーパースポーツだったから、まあ同列での比較をしても良いだろう。
 
    Alfa romeo BMW Mercedes Benz Audi
      159 2.2JTS
Selespeed
320i C200 CGI A4 1.8TFSI
 

車両型式

  ABA-93922 LPA-PG20 DBA-204048 ABA-8KCDH

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.690 4.540 4.585 4.705

全幅(m)

1.830 1.800 1.770 1.825

全高(m)

1.430 1.425 1.445 1.440

ホイールベース(m)

2.705 2.760 2.760 2.810

駆動方式

FF FR FF
 

最小回転半径(m)

  N/A 5.3 5.1 5.5

車両重量(kg)

  1,570 1,500 1,500 1,510

乗車定員(

  5

エンジン・トランスミッション

エンジン型式

  989A5 N43B20A 271 CDH

エンジン種類

  I4 DOHC I4 DOHC Turbo

総排気量(cm3)

2,198 1,995 1,798 1,798
 

最高出力(ps/rpm)

185/6,500 170/6,700 184/5,250 160/6,200

最大トルク(kg・m/rpm)

23.4/4,500 21.4/4,250 27.5/4,600 25.5/4,500

トランスミッション

  6AT(SemiAuto) 6AT 5AT CVT
 

燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行)

  N/A 15.2 11.6 13.4
 

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

8.5 8.8 7.7 9.3

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ダブルウィシュボーン ストラット 3リンク 5リンク

マルチリンク 5リンク マルチリンク トラペゾイダル

タイヤ寸法

  225/50R17 205/505R16 225/55R16

価 格

車両価格

443.0万円 445.0万円 440.0万円 435.0万円

備 考

  335i Msport
Package 719万円
C300 Advantgarde
630万円
3.2FSI Quattro
S-Line 690万円

159は寸法的には3シリーズやCクラスよりも大きくA4と同等だが、ホイールベースはA4よりも短い。159のエンジンはフロントオーバーハングに横置きしてぶら下げているが、A4は縦置きという違いが原因だろう。これら4車は判で押したように何れも440万円前後という価格をつけているのは決して偶然では無さそうだ。ただし、こうして見れば夫々に個性があって、どれを選ぶかはユーザーの趣向によるだろうから、案外比較検討することは無いかもしれない。実際に3シリーズのユーザーが購入時にCクラスと比較検討したという例は、あまり聞いた事がない。勿論、159を選ぶのは少数派には間違いない。何しろ月間平均販売台数で言えば3シリーズが約1,200台、Cクラスは約500台、A4が約550台に対して159は約30台と一桁少ないのだから。

というところで、試乗は後編にて。

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