VW GOLF GTI (2009/11) 後編 ⇒前編

  
 

ステアリングは適度の重さがあり、セルフセンタリング性も結構強いから、言い換えれば多少FF的でもある。以前試乗した先代GTIはもう少し自然だったような気がするが、気のせいだろうか。後述するようにFFとはいってもコーナリング特性は抜群だが、唯一BMW120iに負けるのはステアリングの自然な復元力で、これが気にるユーザーはFRに拘るしかない。と言っても、試乗という事から評価の為に神経を集中して重箱の隅を突付くようにフィーリングをチェックした場合に判る事で、普通に乗っている分には全く問題の無いレベルでもある。
今回はある程度ワイディングといえるコーナーを走る事ができた。GTIの凄いところは一般道で非常識ではない程度に速めの速度(何やら判りにくい表現だが、”犯罪”ではなく”反則”程度)でコーナーに突入する程度ならば 荷重移動などの小細工をしないでも難なくクリアしてしまう。その時の特性は多少のアンダーはあるが、その分だけ多めに切ってやれば問題なくクリアできるから、クルマ好きとはいってもコーナー入り口までブレーキを残して 荷重をフロントに移動してから・・・云々というマニアックなテクニックは知らない(使えない)、趣味の良いエリートでも結構なハイペースで走れるのがGTIの良さだし、 この特性は実際のオーナー層とも一致している。

ゴルフGTIのブレーキは伝統的に普通の鋳物製片押しキャリパーを赤く塗装したブレーキを装備している。まあ、対向ピストンにすれば良いというモノでもないが・・・。さて、そのブレーキのフィーリングはBMWに代表されるような軽くて喰い付き のいい、悪く言えばカックン気味の特性とは違い、多少重めで踏んだ分だけ効いてくるタイプだ。しかも踏めば踏むほどにストロークするが、フィーリングとしては真綿を締め付けるような、良く言えばポルシェのブレーキのような(まあ、あれ程 良くはないが)タイプだ。従って、個人的にはGTIのブレーキ特性は好ましいが人によっては効きが悪いと感じるかもしれない。

VWというと一時期はやたら硬い乗り心地が欠点だったが、試乗したGTIの乗り心地は基本的には硬めだが、かなり良い部類に入る。何よりもしなやかさがあり、このフィーリングはランフラットタイヤ(RFT)を採用する前のBMWのようだ。それにしてもBMWは頑なにRFTを標準装備し続けているが、本当にメリットがあるのだろうか。RFTは進化しているとはいっても、未だRFT採用前のBMWのフィーリングに達していないから、そんな事をしているうちにライバルはドンドンと進歩してしまうのだが。
 

写真9
直4、2.0ℓターボのエンジンは211ps/6,200rpmの最高出力と
28.6kg・m/5,200rpmの最大トルクを発生する。
 


写真10
フロント&リア共にGTI専用デザインのホイールと225/45R17タイヤを標準装着する。

 


写真11
今やGTI伝統?となった鋳物の片押しシングルピストンを赤く塗装したキャリパー。

 

ゴルフGTIのライバルはというと、実はドンピシャのクルマが見つからなかった。輸入車の場合はCセグメントのホットハッチということでプジョー308を考えたがGTiでも1.6ℓターボで175ps&24.5kgmと2ℓターボのゴルフGTIの敵ではない。アルファのCセグメントである147には既にホットモデルは存在しない。ということで、Cセグメントで価格的に近いBMW120iを選んでみた。性能的にはGTIに太刀打ちできないのは当然だし、ユーザー層も異なるだろう。
次に国産車でのライバルを考えるに当たって真っ先に脳裏に浮かぶのが和製GTIとも言うべきトヨタブレイドだが、スペックを表に埋めてみたらば、自然吸気のハンディを 2.4ℓという排気量でカバーしているのだろうが、167ps&22.8kgmという性能はスペック重視のトヨタとしては珍しく完敗となっている。それでは3.5ℓのマスターはといえばV6エンジンで280ps&35.1kgmとGTIを大きく上回るが実際に乗ってみた限りでは、GTIと良いとこ勝負の動力性能で、操舵性はマルで駄目、おまけに価格も323万円と GTIに近いというのでは、これまた勝負にはならない。
そこで、思い当ったのはマツダエクセラのホットモデルであるマツダスピードエクセラだ。このクルマは同じくターボとはいえ排気量が2.3ℓとGTIより大きく、スペック上ではスポーツ度が 異なる。更には3ペダルのMTのみの設定ということから、これまた同一線上では比較が出来ない。とはいえ、このハイパフォーマンスは魅力であり、しかも約268万円という価格は買い得感満点だ。とは言っても実際の試乗は未だ叶っていないので、余り知ったようなことを言うのは止めておこう。
更にもう一つはスパルインプレッサ2.0GTを取り上げた。良く見れば2ℓターボというスペックでもGTIに近いし、重量も殆ど同じ。車両寸法はホイールベースと全長が少し長めだが概ね同一だ。ただし、エンジン性能についてはインプレッサが一枚上手だし、駆動方式もGTIのFFに対してインプレッサは4WDと異なる。ところが、実際に乗ってみると体感的な加速感はGTIの方が上回るのも事実だ。それに今時ATが4速というのはねぇ。まあ、そんな事を言うとスバル命のスバリストとかスバルオタとか呼ばれる人たちから大ヒンシュクを買いそうなので止めておこう。
 
    VW GOLF BMW MAZDA SUBARU
      GTI 120i AXELA SPORT 2.3
MAZDA SPEED
IMPREZA 2.0GT
 

車両型式

  1KCZ UD20 BL3FW GH8

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.210 4.240 4.510 4.415

全幅(m)

1,790 1,750 1,770 1.740

全高(m)

1,460 1.430 1,465 1.475

ホイールベース(m)

2.575 2,660 2,640 2,620

駆動方式

FF FR FF 4WD
 

最小回転半径(m)

  5.0 5.1 5.6 5.3

車両重量(kg)

  1,400 1,390 1,490 1,410

乗車定員(

  5

エンジン・トランスミッション

エンジン型式

  CCZ N46B20B L3-VTD EJ20

エンジン種類

  I4 DOHC TURBO I4 DOHC I4 DOHC TURBO I4 DOHC TURBO

総排気量(cm3)

1,984 1,995 2,260 1,994
 

最高出力(ps/rpm)

211/6,200 156/6,400 264/5,500 250/6,000

最大トルク(kg・m/rpm)

28.6/5,200 20.4/3,600 38.7/3,000 34.0/2,400

トランスミッション

  6DSG 6AT 6MT 4AT
 

燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行)

13.0 11.6 11.0 13.0
 

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

6.6 8.9 5.6 5.6

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ストラット

4リンク 5リンク マルチリンク ダブルウィシュボーン

タイヤ寸法

  225/45R17 205/55R18 225/40R18 205/50R17

ブレーキ方式

前/後

Vディスク/Vディスク

価格

車両価格

366.0万円 360.0万円 267.8万円 264.6万円

備考

       

上記の如く調べてみた結果ではゴルフGTIのライバルは不在だった。しかも、クルマとして総合的に判断してもこれといった欠点が無いという、相変わらずの優等生ぶりだ。こうなったら、もう買うしかないかといえば、確かに輸入車ナンバーワンのゴルフの中でも最も売れ筋グレードだから これ以上の定番は無いのだが、優等生が嫌いな B_Otaku としては、何やら難癖を付けたいとうのが本音で、優等生も良いが少しは悪にもなって欲しい。
と思って、先代GTIの試乗記を見直してみたらば、やっぱり同じ事を書いていた。

と、いうところで、これから先は例によって毒舌と言いたい放題の特別編。
いつもの毒舌を読んで胸がスカッとする人以外は先に進むことはお勧めいたしません。


上記を了解して先に進みます