BMW X-3 3.0 (2004/07/04)
 

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試乗車一覧






X−3は2.5と3.0があるが、今回の試乗車は3.0で、価格は本体573万円(消費税込み)に加えてオプションとして、スポーツパッケージ(26.2万)とナビゲーションパッケージ(31.5万)、レザーシート等(31.5万)、キセノンヘッドライト(8万)、メタリックペイント(7.3万)等・等、を装着しており、総額680万円ほど、乗り出し価格は700万をはるかに超えるという恐ろしい価格となる。  

ドライバーズシートに座った感覚は、そのまんま3シリーズで、ステアリングホイールやウインカーレバーなどは、普段使い慣れた3シリーズそのもの(全く同じ部品)。本体700万に近い割には、シートの調整は手動式で、そのレバーも、これまた3シリーズそのものだった。内装は趣味の問題もあるだろうが、何故かチャチい感じがする。ダッシュボードに張り詰められた弾性樹脂の表面処理(シボ)は細かく凹凸の大きい(深いデコボコ)もので、なんと言うか鮫肌のような、個人的には好きになれない雰囲気がある。

取り合えず走りだすと、視点が高い事以外は3シリーズそのもので、サルーン比べて重量があるので330iのような過激な加速感は無いが、530i程度には速いから、普段街中で乗るには十分過ぎる動力性能がある。エンジン音は330iほどの迫力はないが、530iほど静かにはチューニングされていないので、ちょうど320iと同じくらいで、この点からも違和感がない。

試乗車はスポーツパッケージが装着されていたためタイヤはFr:235/50R18、Fr:255/45R18で装着されていたタイヤはBS製でPOTENZAでもREGNOでもなく、初めて見るブランドだった(メモするのを忘れてしまった)。トレッドパターンからするとREGNO ER55のようにコンフォータイヤの中では、スポーツ指向のようだった。試乗車のオドメータは85kmを指しているという、マッサラの新車のため、当然ダンパーの当たりは付いている訳が無いが、乗り心地は結構硬く、新車のMスポーツ程度には硬い。荒れた路面では、サスだけでは吸収しきれずに、車体が上下に揺れるような挙動を感じた。今後、距離が伸びて当たりが付けば収まるのか、それともサルーンとは違って、こんなモノなのかは不明だが、以前、前を走っていた318tiのMスポーツが同ような挙動を示していたから、BMWと言えどもショートボディの場合は、ボディはフラットでサスが絶妙に動いている感じが伝わるような特性は無理なのか?

このクルマの駆動方式はxDriveと名付けられたフルタイム4WDで前輪と後輪の駆動力配分を0〜100%まで可変制御するそうだ。今回の試乗はいつもとコースを変えて、多少ワインディングのある旧道を走って見た。コンフォートタイヤを装着している割にはBMWらしく中心付近のレスポンスの良いステアリングは、背の高いSUVであることを考慮すれば驚異的ですらあるが、サルーンと比べれば多少ダルイ。コーナーでの挙動も安定そのもので、ワインディング路を結構なペースで飛ばせる。が、しかし、どうも、それ程Fan to driveではない。舗装路のコーナーで、xDriveによる駆動配分がどうなっているのか判らないが、気のせいか本来BMWのオンザレールな、ニュートラルステアでは無い。それに、ステアリングギア比もトロイのか、自分の思ったラインより多少ズレるし、交差点の右左折では、慌てて切増しが必要な場面があった。5シリーズに乗ると、切り過ぎて、オッと、言いながら戻すのと逆と言えば理解してもらえるだろうか?

ブレーキのフィーリングは、これも其のまま3シリーズで、この点でもSUVとしては抜群のフィーリングと安定性と言える。ホイールの隙間から見た限りでは、キャリパーも3シリーズと同じテーベスのFN(鋳鉄製)のようだ。5シリーズのFNR(アルミボディ)は意外にボディ剛性が低いが、実際のフィーリングも5シリーズは3シリーズに比較してストロークが長く、ダイレクト感では多少劣っている。

3と5と言う点では、今回のX−3はX−5に比べて取り回しがよく、普段の実用を考えればメリットはありそうだ。ところが、それではX−3でなければ成らない理由はと言うと、チョッと思い浮かばない。このクルマは北米をターゲットにしたものであろう。同じようなコンセプトのハリアーが、国内では大して売れてないことを考えれば、それよりかなり高価なX−3が、そんなに売れるとは思えない。小金持ちには高価すぎ、それでいてX−5の4.4のように、大金持ちが偶のレジャーに使うのに小僧の国産GTカーにナメられたくないという理由で、金に糸目を付けずに問答無用の無駄な高性能SUVでもなく。いづれにしても売れなさそうだ。