昨年末の日本カー・オブ・ザ・イヤー (JCOTY) で第1位に輝いたのはボルボ XC60 だった。それって輸入車部門?と思うだろうが、第2位 BMW5シリーズ、第3位 トヨタ カムリという事は XC60 は総合で1位という事だ。
しっかし、何でボルボなの? COTY って選考基準が怪しいし現ナマや接待も激しいし当てにならねぇんじゃねぇ? 何ていう声が聴こえてくるが、まあそれはそれで今回はその XC60 を取り上げみる。
XC60 はカテゴリーで言えばDセグメント SUV だから BMW X3 、メルセデス・ベンツ GLC 、そしてポルシェ マカン等等、ライバル目白押しの激戦区であり、この比較はちょっと面白いかもしれない。
と言う事でこれらライバルを一覧表にしてみた。サイズ的にはどれも似たようなもので、Dセグメントとはいえ SUV という事からかサルーンに比べて全幅が広く、何れも 1,900㎜ 前後もある。これは同じDセグメントでもサルーンの場合は 1,800㎜ 前後が多い事を考えると概ね 100㎜ も広い事になる。そして比較に選んだグレードは何れもガソリン 2.0L ターボで、その性能は XC60 とマカンが今回選んだベースグレードでも二百数十ps の高出力版が搭載されている。対する X3 と GLC は184ps と大人しい特性だが、勿論高性能版も用意されている。
価格的には 6百万円代が主流だが、GLC200 は唯一 RWD の為に少し安いのは当然で、マカンはポルシェブランドということか、他車よりも割高となっている。そして主役の XC60 はといえば一番割安の価格を付けているのは、まあブランド価値としてベンツ・ビーエムよりも少し落ちるという謙虚さなのか?
なお今回の写真に使用した車種は上級グレードとなる XC60 Inscription で価格は 679万円となる。
エクステリアの第一印象は誰が見てもボルボと判るモノで、その意味ではボルボのアイデンティティは確立されている。
以上2018年2月11日掲載分
フロントビューではグリル中央の ”VOLVO" エンブレムとそれを貫通する斜めのラインというお馴染みのグリルが目立っている。しかしこのグリルデザインはボルボ 142 (1966年) 辺りから使われているようで、戦前から続くメルセデスのスリーポインテッドスターや BMW のキドニーグリル程の伝統という訳でも無い。
リアはボルボワゴンでお馴染みのDピラー上をルーフ近くまで伸びるリアコンビネーションランプを踏襲している。あっ、誰だ!スプリンターカリブみたいだ、何て言っている奴は。
サイトビューは如何にも SUV らしい武骨なラインで、特に前後ドアの下1/3 辺りにあるキャラクターラインが特徴的だ。そしてリアエンドもサイドから見ると "く” の字型になっている。
このクラスの SUV らしくリアラゲージスペースは結構広い。
テールゲートは電動式で開閉出来る。その動作は完全に閉まる前に一端停止して、そこからユックリとロックされる。
フロントヘッドライトの中央を貫通するのはポジションライトで、これも中々ユニークだ。またリアコンビネーションランプも凝ったラインとなっている。
エンジンは直4 2.0L ガソリン ターボで 254ps/5,500rpm 350N-m/1,500 - 4,800rpm と2.0L ターボとしてもハイチューンタイプで、BMW なら "28” と呼ばれる性能だ。そのエンジンは車両の右側にオフセットされていて左側にはミッションを置く横置きとなっているのがライバルとの大いなる違いだ。
ストラットタワーは一体成型?すなわちアルミの精密鋳造にも見えるものだが、これに他部品がスポット溶接されている。アルミのスポット溶接は極めて難しいのだが、最近のボルボってそこまで進化したのだろうか? それともストラットタワーは実はスチールの深絞り??
まあ何れにしても一時期ボロボロだったボルボの技術は見事に復活したようだ。
以上2018年2月12日掲載分
写真は上位グレードの Inscription のために 235/55R19 + 7.5Jx19 ホイールの組み合わせだが、ベースグレードの Momentum では 235/60R18 + 7.5Jx18 ホイールとなる。
ブレーキキャリパーは前後共に極普通の片押しシングルピストンを使用している。
ドアを開けてインテリアが目に入った瞬間に「おっ、こっ、これは」と叫びたくなるくらいに明るく独特のモダンな雰囲気で、これはドイツ車とは全く違う世界だ。
Inscription のシートはパードレーテッド・ファインナッパレザーという柔らかくなめした本革でセンターは通気孔が開いている。なお Momentum では T-Tec / テキスタイル・コンビネーションとなる。
シート調整は当然ながらフルパワーで、BMW では手動となるセンター前端の前後も伝統となっている。スカッフプレートは "V O L V O" というロゴが入っているがプレートに浅く刻んであるので認識し辛い。
ドアのインナートリムもシート同様にモダンで高品質、そして独特の雰囲気となっている 。
拡大して見るとアームレストは当然ステッチの入ったレザーパッドだし、スピーカーのカバーのネットとその奥にアイボリーのスポーカーコーンが見えるのも実に良い雰囲気を出している 。
このインテリアは実に良い。ドイツ車の内装が嫌いなユーザーは一考の価値がある。
以上2018年2月13日掲載分
前回ドアを開けた瞬間に「おっ、これは‥‥」 と独特の雰囲気に驚いた事を書いたが、ではインパネ周りはといえばこれが何とドアを開けた時以上の驚きで、インテリアの色使いのセンスにディスプレイのデザインが加わって益々モダンで明るい雰囲気を助長していた。
ディスプレイが縦長なのも雰囲気が違う原因だし、その表示される内容のカラーのセンスも他車とは一線を画している。まあこれは今回の試乗車が上級モデルであり、しかも明るい内装色であった事も原因で、内装色がもっとダーク系のカラーだと違うかもしれない。
フロアコンソールは AT セレクターとスタートスイッチ、ドライブモード切り替え、そしてパーキングブレーキスイッチなどが縦一列に並ぶという、これまた独特のデザインとなっている。オーバーヘッドコンソールも独特の雰囲気に変わりは無く、特に先端部に赤い文字のディスプレイが目立っている。
エアアウトレットの周辺にはアイボリー仕上げのウッドパネルが使用されている。なおダッシュボードの水平トリムも同様の材質を使っている。
メータークラスターはフルディスプレイタイプで、メカ式のメーターは無く全てが CG を使用しているから、モードによってはメーターサイズが変わったりもする。
コンソール後端のエアアウトレットの上部にはディスプレイが装備されていて、実車ではこの存在感が意外に大きい。またBピラーにもエアアウトレットが仕込まれているなど、中々手を掛けている。
ペダルは極普通のウレタンパッドのもので配置も極普通だが、左側のフートレストは大きくてスペールも広い。
特に内装については、往年のボルボを髣髴させるような北欧センス充分 (しかもモダーン) で、これはオーナーの満足感も大きそうだ。
となると興味は走りだが、果たして日本カー・オブ・ザ・イヤー (JCOTY) 第1位は伊達では無いのか、それとも JCOTY の審査員が現ナマと接待攻撃に屈した結果なのか?
以上2018年2月15日掲載分