日本を代表するスポーツカーのブランドと言えばフェアレディZ であり、初代 S30 系が発売されたのが 1969年だから今から 48年も前になる。実は Z になる前のフェアレデー (レディーの間違いでは無い!) は 1959年の発売だから更に 10年遡る事になる。
そのフェアレディーZ の現行モデルは 2008年発売の6代目 Z34 で、これも既に9年が経過したロングセラーだ。とはいえ今でも其れなりの需要はあるようで、特に米国では初代からの伝統であるプアーマンズポルシェとして、今では廉価版ボクスター / ケイマンの位置づけともなっている。
そのフェアレディZ に NISMO バージョンがあるが、まあ NOTE よりは NISMO が似合うという気はする。そこで既に末期モデルとは言え近日中の FMC の噂も無く、NISMO バージョンで乗り切ろうという、言ってみればクルマ界のイチローみたいなこのクルマにスポットを当ててみる。フェアレディZなんてダッせ―、と言っている輸入車オーナ-が目に浮かぶが、今回の NISMO バージョンの価格は MT でも 630万円だから、ご自慢の 318i M Sport (489万円) よりも 140万円も高い事になる訳で、逆になーんだ、BMW なんてったって安もんじゃんか、と言われるのが落ちだったりする。
先ずはスタンダードのZと比較するとスペック上でもエンジンがパワーアップされている。とはいっても自然吸気エンジンだからターボのように劇的な違いを出す事は無理であり、パワーでは 6% 、トルクでは 2%に留まっている。対するポルシェ ケイマンはパワーでは上位モデルのケイマンSが同等だが、トルクと言う面では "素のケイマン" でも勝っていて、しかも価格は MT なら 25万円しか差が無い。まあ実際にはポルシェの場合、オプションに数十万円は必要なので同等と言いきるのは問題もあるが、それでもフェアレディZ NISMO を買う予算があれば十分に視野に入る。
それでは他にライバルはと言えば、このクラスの2シータースポーツは世界を見回しても例が無く、本来同一クラスである筈の BMW Z4 は既に生産が中止されていた。残るはメルセデスベンツ SLC だが 2.0L ターボの SLC200 (685万円) でも 184ps ということで、これはチョイとカテゴリーが違いそうだ。
エクステリアはお馴染みのフェアレディZだが、フロントには赤く塗装されたアンダースポイラーと LED ハイパーデイライトが NISMO 専用パーツとなる。
サイドにはこれまた専用サイドシルプロテクター、リアは専用リアバンパーとスポイラーなど、まあ単なる見てくれだけのパーツではあるが、雰囲気を盛り上げている。
以上2017年12月25日掲載分
フロントビューは NISMO パーツの為に標準よりもアグレッシブに見え、特にアンダースポイラーのレッド塗装が効いている。しかし NISMO マークは小さくて良く見ないと見落としそうだ。
こうして見るとフェアレディーZ は全幅に対してキャビンが大きく絞られていて、如何にもスポーツカーというデザインである事が判る。この手のクルマは現在少なくなりつつあるから貴重な存在だ。太いマフラーと共に後ろに付いたクルマはその迫力に煽るのを止める‥‥か、どうかは判らないが。いくらなんでもフェアレディーZ なら後ろから見ても直ぐに判るだろう、と言いたい御仁もおられるだろうが DQN って意外にもクルマの知識に乏しい場合が多いようだ。
全幅は標準モデルよりも 25㎜ 広い 1,870㎜ で、その広い理由は若しかしたらフェンダーの形状が違うのか?
と期待したが、実はリアフェンダーのホイールアーチに沿って樹脂部品の突起を付けただけだった。何故にこうするかと言えば、本来は245幅タイヤを納める部分に285幅タイヤ付けた為にボディーからはみ出して車検に通らないために、この ”出っ張り” で全幅を変えるという、まあ輸入車でもやっているショボい対応策だった。
これが BMW の Mモデルだとフェンダー自体を別の部品として強烈なブリスターでブリブリ言わせるのだが、まあ標準モデルよりもホンの百数十万円高いだけの NISMO ではそこまでは無理、とうことか。因みに BMW の場合は M3 (1,068万円) は 340i M Sport (832万円) よりも 236万円高い。
サイドビューは結構ウエストラインが高く、これによりそれと繋がっているボンネットも高いと言う事だ。これはフロントエンジンにする限りは仕方ない事だ。と、言っては見たが、シボレー コルヴェットってフロントエンジンだったような。あれってボンネット低いよね。
まあぶっちゃけ、現行フェアレディーZ は スカイラインクーペの2シーターバージョンであり、その割には如何にもスポーツカー風のボディを乗っけてる事で安い価格で供給するというものだから、これは我慢するしか無い。という程には、この NISMO バージョンは安くは無いが。
前述のように前後ともバンパーは専用品で下端にはレッドに輝くスポイラーが付いている。
リアラゲージルームは面積はソコソコあるが高さは殆どないから薄いものしか入らない。まあこの手のクルマとしては場所があるだけマシということろか。
エンジンは標準とは違いチューンナップ版の NISMO 専用品だから見た目も赤いトップカバーで如何にも NISMO しているが、何となくイタリアのアルファロメオやアバルトっぽい。
なお、これでもかのゴッついストラットタワ-バーは NISMO 専用品で、他にも専用サスペンションには YAMAHA 製のパフォーマンスダンパーも装着されていて、このクルマが格好だけでなく走りにも手を入れている事が判る。
タイヤは標準のフロント 225/50R18, リア 245/45R18 に対して NISMO 版ではフロント 245/40R19, リア 285/35R19 というタイヤ交換時には恐ろしい請求が来そうなサイズとなる。そしてホイールは勿論細~いスポークの如何にも軽量そうなレイズ製のアルミ鍛造品が標準となる。
ブレーキキャリパーは標準モデルの上級グレードでも採用しているフロント4ピストン、リア2ピストンのアルミ対向ピストンタイプで、違いと言えば赤い塗装くらいだ。この上位高性能モデルのキャリパーを赤く塗るのはポルシェが始めたものだが最近ではどこでも定番のようで、鋳物の片押しでも赤く塗るのが結構あって、あの VW GOLF GTI もその一つだ。この鋳物キャリパーを赤く塗るというのを最初に見たのはヒュンダイクーペだったが、その韓国人のセコい発想を天下の VW までがパクったのは情けないもので、やっぱり最近の VW はどうかしている?
以上2017年12月26日掲載分
幅の広いドアを変形ドアノブ (写真右下) で開けると、あたかもリアにシートがありそうな雰囲気だが実は2シーターだ。往年のZは米国人の趣向から+2が売れ筋だったが、先代からはその分野は兄弟車のスカイラインクーペに譲って、こちらは2シーターのみとなっている。そして現れたシートは NISMO 専用の如何にもなレカロ製スポ-ツシートで、このシートは先日試乗したノート NISMO にもオプション設定されていたが、こちらは標準装備となっている。
シートのバックレストの後部と隔壁との隙間は殆ど無く荷物は置けないが、その後ろのリアラゲージルームとは一応空間的に繋がってはいる。ただしフロントから手を伸ばして物を置くのは結構しんどい。
シート表皮は特に明記されていないがサイドがレザーでセンターがアルカンターラのように見える。そのサイドのレザーは本革というよりも人工皮革のような気がするが定かでは無い。何故に材質を明記し無いのか不思議だが、NOTE でも同様だった。なおサイドのサポートの張り出しは NOTE ではもっと過激でまるでレーシングシートだったが、こちらはもう少し大人しい。
シート調整は全て手動で座面高さは前端と後端が其々別に調整できる為に二つのダイヤルが見える。 サイドシルプレートに NISMO のロゴは無く単に ″Z″ のみというシンプルさだ。ここは BMW の M のように専用のロゴを入れたいところだ。
ドアトリムも NISMO 専用と謳っているようにアームレスト付近が違うようだ。
これも実は材質を特に明記されていないがアルカンターラのように見える。またレッドステッチが雰囲気を盛り上げている。普通は手を抜かれやすいドアトリムだが、流石に150万円アップとなるとこういうところまで金を兼ねている。
以上2017年12月28日掲載分
ダッシュボードは何しろ10年前の発売だから、ハッキリ言ってデザインは古い!
今回のクルマは3ペダルのMT という、これまた最近では珍しいものだが、それがこの古臭いインテリアに妙にマッチする。
センタートップの3連メーターは初代Zからの伝統であり、アイデンティティでもある。ディスプレイ下端から手前に出ているダイヤルを中心とした入力デバイスは、これまた旧スカイラインと共通点も多いのは、10年前の日産のスタンダードだからだ。
6MT のシフトレバーやシフトノブも実にオーソドックスなデザインとなっている。パーキングブレーキは電気式の訳も無く勿論レバー方式。
初代Z からの伝統である3連メーターは左からデジタル時計、電圧計そして油温計であるが、時計はアナログ表示が欲しかった。また電圧や油圧なんて今時これを見て如何するのかと言いたいが、まあこれは伝統ということで雰囲気を楽しもむ為のものと割り切ろう。
10年前のセンスである入力パネルは全て日本語表示というのが珍しい。Zは愛国者向け‥‥とか?
オーディオおよびエアコンの操作パネルも何となく古臭い、もとい、レトロ調だ。
本格的スポーツカーらしくセンターは回転計となり、速度計は右に追いやられている。ただし速度計の外径は回転計と変わらず、その点では数値の視認性はマアマアだ。
ペダル配置はクラッチを目一杯左に寄せ、ブレーキは中心より右寄りの為に身体をよじる事も無く、右ハンドル MT 車のペダル配置としては中々良い。これは右のタイヤハウスが出ていない事が大きく効いていて、フロントアクスルが遥か前方にあるという旧式なロングノーズボディ-のお陰でもある。
以上2017年12月29日掲載分
⇒ Nissan Fairlady Z NISMO (2017/12)