B_Otaku のクルマ写真館
 Toyota Camry


本年上半期の米国乗用車売り上げトップのカムリが FMC 版の発表を行ったのは 7月23日の日記 で取り上げたが、この中でも触れたように日本向けは一足早い 7月10日に発売されている。そこでこの国内向けカムリを以下写真で紹介する。

先ずは先代モデルと比較するとサイズ的には元々大柄なクルマだったが今回は更に少し大きくなっている (それでも米国でのカテゴリーは中型 FF 車なのだが) 。プラットフォームは完全に新設計であり、トレッドを見るとフロントは25mm、リアでは40mm も拡幅されているし、ホイールベースも60mm の延長と走行安定性向上には有利とな変更となっている。

カムリの国内向けはハイブリッドのみで北米向けに用意されているガソリンエンジン車は販売されない。そのハイブリッドシステムは先代と比べると寧ろモーター出力、トルク共に抑えているのは最近のトヨタ車の傾向だ。エンジンは自然吸気だが完全な新設計となっている。ライバルのアコードも国内向けに HV を販売しているが既に次期モデルが発表されているから、両車の熾烈な対決は今後も続く事になる。

この次期アコードは
 ⇒ 2017年7月21日の日記 Honda Accord (2018)
を参照願いたい。

なお輸入 HV ということで BMW 330e のスペックも比較用に並べてみたが、カテゴリーも駆動方式も価格もマルで別世界という事で、あくまで参考だ。

先ずはイントロとして前後各1枚の写真から。

実写を見ると中々スタイリッシュで、先代に比べてより広く、低くというコンセプトが効いている。しかしこういう手法を用いると必ず素直では無い輩が、なんだぁ・かんだぁと言うものである。しかし素直にカッコは良いと感じるが‥‥。

以上2017年7月27日掲載分


問題のフロントはトヨタのサイトで見た時には「こんなに下品なアンダーグリル付けて如何するんだぁ?」という気持ちだったが、こうして見るとそれ程には変では無いし実車は更に違和感が少ない。まああくまで ”少ない” のであって「これは良い」と思うかといえば、それはチョイと無理がある。

リアから見ると幅が広くて全高が低いスタイルが良く判る。特に特徴の無いリアだが、フロントに比べればオーソドックスというかマトモというか‥‥。

サイドビューも全長に対して全高が低い事と意外にもボンネットが長い事から、これまたスタイルは中々良い。これで室内の頭上空間は大丈夫なんだろうか、という疑問は今後の室内編をお楽しみに。

HV となると気になるのがバッテリースペースによるトランクの狭さやリアシートを畳んでのトランクスルーが出来ないなどの懸念だが、新型カムリのトランクスペースはまずまずの面積がある。

トランクスペースの奥行きも決して長くは無いが実用上は問題無いだろう。そして開口部上端にある "PULL" という表示のあるレバーを引くとリアシートのバックレストを前に倒す事が出来る。

なお後部側面には AC100V 1500W と書かれたカバーがあり、その下に家庭用 AC コンセントがある (筈だ)。これは燃料 (ガソリン) さえ入っていれば災害時など停電した時には非常用発電機として使える訳で、何と東日本大震災で HV の意外な利点が実証されたのも皮肉なものだ。

前述の PULL レバーを引いてリアシートバックレストを前倒した状態は、何となくトランクの床位置が高いようにも感じるが、まあ HV としては立派なものだ。この辺は流石に HV 技術のトップを走るトヨタだけの事はある。

トランク内の床板を持ち上げると、これまた HV には珍しく工具類を収納するスペースがある。それではバッテリーはどこにあるかと言えばリアシートの下辺りに配置されていて、思ったよりも小さいのは技術の進歩だ。ただしこれはトヨタの技術というよりもバッテリー屋の頑張りだが。

以上2017年7月28日掲載分


ボンネットフードを恐る恐る開けて手を離すと‥‥おお~、落ちてくる事無く位置が保持されている。いやねぇ、このクラスはうっかり油断するとダンパーが付いてなくて手でロッドを差し込む何て場合があって、それを知らずに手を離したら‥‥スドンっと落ちてきた‥‥とか。

エンジンは A25A-FXS という如何にも新開発っぽい型式の 4気筒 2.5L 自然吸気エンジンで、178ps 221N-m を発生する。最近のトヨタ製 HV のエンジンルーム内は、以前のようないかにもハイブリッドっぽいオレンジ色の高圧ケーブルが見えなくなっていて、一見しただけではハイブリッドであることが判らないくらいだ。

エンジンルーム内を見たついでにストラットタワーに目を移すと、高さは低いがリブ状の補強がプレスで加工されている。新型カムリのプラットフォームは新開発の TNGA (Toyota New Global Architecture) に基くもので、今後の主力となるものだ (そうだ) 。なおこのコンセプトの第一弾は現行プリウスで採用されている。

ヘッドライトは全グレードで Bi-Beam LED ランプが標準装着されている。リアコンビネーションランプはエントリーグレードである "X" ではバルブタイプ (写真右下) 、上位モデルの "G” では LED タイプとなるが、実は Xでもストップおよびサイドマーカーランプは LED を採用している。

ホイール&タイヤは ″X" では 16 x 6 1/2J スチールホイールに 205/65R16 タイヤ (写真左下) 、これが ″G" となると 17 x 7 1/2J アルミホイールに 215/55R17 タイヤ (写真右下) となる。なお "G" レザーパッケージという最上位グレードでは 18 x 8J アルミホイールに 235/45R18 タイヤという具合にグレードが上がると1インチずつサイズがアップしている。

エントリーグレードモデルとは言え、今時鉄っちんホイールを使うところが実にトヨタの "オヤジ車" らしい。

ブレーキキャリパーはごく普通の鋳鉄製片押しシングルキャリパーで、ディスクローターはフロントのみベンチレーテッドタイプでリアはソリッドディスクだが、まあフロント負荷が大きい (リア負荷が軽い) FWD 車だから、リアはこれでも充分という事だろう。

以上2017年7月30日掲載分


室内を見ると、これは一般的な最近のクルマという感じだ、って、今時そんな奇妙なインテリアは無いが‥‥。そういえば 30年くらい前のトヨタ車なんて田舎のキャバレー (ヒェー、古~い言葉) みたいなシートを付けてるのを見てぶっ飛んだのを思い出した。なお北米がターゲットだけあって後部の足元スペースは充分に広い。そして初回に書いた低い天井による頭上空間の心配は写真で見る限りでは心配無い‥‥とは言えないのが辛いが、米国でベストセラーなのだから問題無いのだろう。そして更に詳しく見ると、フロントシートに比べて座面位置を低く設定しているのが判る。成る程それで解決しているのか?

シート表皮は X および G ではファブリックシートでシート調整は写真下のように手動式だが、Gでは運転席は 8ウェイパワーシートとなっている。

G "レザーパッケージ" ではシート表皮がその名の通りに本革でセンターにはパーフォレーションが付いている。しかし写真下を見るとその本革表皮はヨレヨレになっている。展示車は発表から精々2週間の展示だが、その間に大勢がドッタン・バッタンとこき使ったのだろうが、幾ら何てもこれはダメでしょう。まあもしかすると量産仕様のシートが間に合わなくて、試作対応品が付いていたのかもしれないが、それにしてもこの展示車は早急に交換する必要があるだろう。これではマルで、トヨタのこの程度の本革は直ぐにヨレまっせい、って言っているようなものだ。

なおポジション調整は勿論8ウェイパワーシートで、しかも助手席も4ウェイパワーシートとなっている。えっ、ということは只の G では助手席のシートは? あっ、いや、まあ、そのう‥‥手動です。

スカッフプレートには憧れの "CAMRY" のロゴが! いや、冗談スよぉ。でも米国では本当に CAMRY は憧れかもしれない。何たって米国で販売している乗用車で最も売れている訳だから。

ドアのインナートリムはチョいとプラスチッキーな質感だが、ここまでは予算が回らなかったかな?

X や普通の G ではアームレスト付近のパッドも弾性樹脂で誤魔化している。いや柔らかいだけマシか。

しかしG "レザーパッケージ" ともなるとステッチの入ったレザー (風) パッドとなる。

ここまでのインテリアは、まあ "中級車” らしく適度に豪華というところか。しかし "レザーパッケージ" ってグレードは如何にも安モノにレザー付けました‥‥みたいで、もう少し何とかならないのだろうか? これで、おおっ、やっぱり本革はええのう、とか悦に入っているユーザーっているのだろうか??

以上2017年7月31日掲載分


ダッシュボードはY字型のフレームで囲まれたセンタークラスターがユニークだ。助手席側のウッド (風) の水平トリムはエントリーグレードのXでも標準装着している。

そのY字型フレームのセンタークラスターには上半分はブランクパネルとなっているのは写真のクルマのグレードが Xのためで、G "レザーパッケージ" には T-Connect SD ナビシステムが標準だが、それ以外はオーディオレスとなっている。そして (只の) Gではラインオプションで"レザーパッケージ" と同じナビシステムが設定されているが価格は 33.5万円也で G が 349.9万円だからオプションと共に383.4万円となり、こりゃあ結構な価格となってしまう。

Y字部分の下部にはフルオートエアコンが全てのグレードに標準装備されている。まあ今時マニュアルエアコンなんて返って高く付くかも知れないが‥‥。

センターコンソール上には AT セレクターとその手前にモード切り替えスイッチと電動パーキングブレーキスイッチなどがある。なお写真左下のシンプルなパネルはXで、Gでは "タイガーアイ調木目調 (?) パネル" となる。

ところでカムリの AT セレクターのパターン表示は何故か上から見るとレバー根元のブーツに隠れている。

 

AT セレクター手前のスイッチ類 (写真左下) 。AT のパターンは一般的な直線式ティプトロタイプでDから右でS、押してアップ/引いてダウンとなっている。

以上2017年8月1日掲載分


センターコンソールの後端にはリア用エアアウトレットがあるのはお約束。ダッシュボード右側のパワースイッチのそのまた右側のパッド部分は全グレードにステッチ付きのレザーパッドが奢られているのは、一番目に付く場所に予算をつぎ込むという上手いやり方だ (写真はX) 。

 

ステアリンホイールは全グレードで革巻き&スイッチ組み込みとなっていて、エントリーグレードはウレタンステアリング何て事は無いのは立派だが、まあ鉄っちんホイールと違って運転中常に手に触れている部分だから手抜きは禁物ということだ。

メーターは左側に如何にもハイブリッドっぽいパワーメーターが配置されているし、センターの液晶表示部分も結構大きい。ところでこれって今流行りのフル液晶タイプかと思ったが、写真右下のように電源OFF 時に薄っすらと指針や文字が見えることで単なる自光式だと判断できる。

未だ市場で充分な実績のないフルディスプレイメーターを行き成りベストセラーカーで実施するのは危険すぎるからこれは判る。

ペダル配置はセンターに幅の広いブレーキペダルがあるが、これは米国流の左足ブレーキを考慮しているのだろう。アクセルがオルガンペダルなのは吊り下げ式でフロアマットに引っ掛かって暴走した事故対策であろう。まあハンドル位置は違うとはいえべダルを共通化していれば当然ながら米国向けを反映している事になる。

最後にオマケとしてカムリ用の TRD 製エアロパーツについて軽く紹介しておく。下の写真がこれらを装着した例で、フロントのバンパー下端には下品な顎が突き出すなど純正品としてはギリギリの処を狙って、イカレたアンちゃんに受けようとしているのだろうが、写真下のクルマの価格は四百数十万円だから、アンちゃんには荷が重い価格でもある。

各パーツはフロントスポイラー (10.9万円) 、サイドスカート (7.5万円) 、フロントバンパーガーニッシュ (3.5万円) 。

リアについてはリアバンパーガーニッシュ (1.8万円) 、リアサイドスポイラー (3.2万円) 、リアトランクスポイラー (3.9万円) という事で、まあ前部付けても 25万円くらいだが、車両本体が 419.6万円 (G "レザーパッケージ") だから合計では約445万円と、結構なお値段となる。

ところで 445万円といえば、BMW 318i M SPORT の 489万円まであと 44万円まで迫っている。まあ動力性能は劣るとはいえ、見た目は TRD なんて屁でもないというくらいの BMW M3 ルック! な~る程ねぇ。巷に3シリーズが溢れている訳だなぁ。

さてこの新型カムリ、クルマというモノは走って何ぼだから、先ずは兎に角運転してみよう、という事で例のアムラックスのコースで試乗してみたら、いやこれが一言でいえば予想外に良い車だった。ということで‥‥

以上2017年8月2日掲載分

⇒ BMW 118i 試乗記 (2017/9)