真面目に X4 のライバルを探すとすれば、BMW という事ならやっぱベンツでしょう、というノリだと GLC となるが、ガソリン 2.0L エンジンには RWD のみで 4WD がラインナップされていない事もあり価格帯が違ったりと、どうもガチンコライバルになりそうも無い。
そこで閃いたのがポルシェの SUV であるマカンで、これには 2.0L ターボの4WD があったはずだ。という事で先ずは一覧表で比べてみる。マカンと X4 は確かにエンジンの仕様は殆ど同じだし、サイズも全長は等しく全幅はマカンが45㎜ 広いが全高は同じでホイールベースも 5㎜ の違いだから事実上は等しいし、更には車両重量もX4 が40kg 重いとは言え同一クラスに変わりは無く、これはもう最高のライバルかも知れない。そして一番重要な価格はといえば、これが何とマカンの方が割安だったりするが、700万円前後という意味でも同一価格帯と言える。
ところで、マカンは同じフォルクスワーゲングループのアウディ Q5と部品の多くを共用しているというが、表を見るとエンジンのスペックはほぼ共通で、何よりエンジン型式が全く同じだ。価格は Q5 の方がベースグレード同士では 60万円程安く、それもあって Q5 のリアブレーキはこのクラスには珍しくソリッドローターを使用しているし、サスペンション形式もマカンとは全く異なっている。
マカンについては2年程前にトップグレードのマカン ターボに試乗しているが、今回はもっと買いやすい価格帯の ”素のマカン” に注目してみる。なおマカンターボについ
は
⇒ PORSCHE MACAN TURBO (2015/5) 試乗記
を参照願いたい。
フロントフェイスは勿論誰が見てもポルシェ (というほどポルシェは有名でもないが) で、エントリーグードとはいえ BMW でいうところの Mスポーツくらいの外装部品が使用されいている。
以上2017年5月17日掲載分
次に三面の写真から先ずはフロントで、これはカイエンと同様にポルシェらしいカエル顔だが、現物を見るとカイエン程には馬鹿デカく無いこともあり威圧感はイマイチだが、いやその方が良いというユーザーも多いかもしれない。なおマカン同士で見ると、ターボやSと比べてひと目でベースグレードと判るかといえば‥‥チョイと見ただけでは判らない。
フロントフェイスはカイエンとの共通点が多かったマカンだが、リアビューはカイエンに比べてテールライトが小さい事もあり随分とライトデューティーな雰囲気がある。
サイドビューもカイエンよりもグラスエリアが狭く (低く) Cピラー以降のルーフラインはクーペに近い傾斜があり、この面でもカイエンのゴッツい SUV らしさとは違っている。
リアハッチを開けると現れたラゲージスペースは床面では十分だが、クーペライクなルーフにより高さ方向のスペースは少ないからショルダーラインを超えるような嵩のある荷物は載らない。尤もその時にはリアシートのバックレストを前倒させれば良いだけの事だ。
エンジンを見ようとボッネットカバーを開けるとサイドまでガバッと開いて、ポルシェと言えば 911 のようにエンジン後端しか見えないとか、ボクスターのように全く見えないイメージからすると大いに異なっている。なおカイエンもこんなに大きく開くことは無い。
4気筒 2.0L ターボエンジンは 237ps / 5,000-6,800rpm 350N-m / 1,500 - 4,500rpm を発生する。実はこのエンジン、型式も性能もアウディQ5 と殆ど同じだ。この事実が世間ではポルシェの価値が無い、何て言われる原因となっている。それにしても V6 3.6L ターボも収まるスペースに直4 2.0L ターボだから、エンジンルームの真ん中にチョコンと載っているだけのエンジンはチョイと情けないが、女子高生の娘でもいれば「きゃー、かっわいい」と言うなどうかは判らないが、少なくとも見た目の迫力は無い。
タイヤサイズはフロント:235/60R18 、リア:255/55R18 と前後でサイズが異るのは BMW 的だ。因みに兄弟車の アウディ Q5 は前後とも 235/60R18 であり、マカンはポルシェでっせい。アウディとはちゃいまんがなぁ、と言いたげだ。
ブレーキはフロントにはポルシェらしくアルミオポーズドキャリパーが見えるが、リアには鋳物の片押しというポルシェとしては例外的な (ショボい) 仕様となっている。なおリアにも ”PORSCHE" のロゴが見えるがこの部分は薄いカバーが付いているだけで、これを外せば武骨な鋳物の "爪” と呼ぶシリンダーハウジングが出て来る。
まあカイエンに比べればよりライトデューティーではあるが、ポルシェブランドとしてもエントリ-モデルだからこれで十分であり、それでも "スポーツ度” では BMW の Mスポーツ程度はある。
以上2017年5月18日掲載分
ドアを開けて最初に目に入るのはポルシェの名前からは信じられないくらい高い着座位置のシートで、911 やボクスターより床からの座面位置が 200mm くらい高い。
マカンの標準シート表皮はサイドが人工皮革でセンターがアルカンターラというボクスターやケイマンと同じ素材を使っている。ポルシェの人工皮革は可成り出来が良くて一見すると本皮に見える。
シートのボジション調整はベースモデルでもフル電動式となっているのがボクスターと違うところだ。スカッフプレートには一応 ”Macan" のロゴが入っているが黒い樹脂に鋳込みという質素なもので、まあそれでも付いているだけマシだし、クロームメッキが無くても勿論性能には全く関係ない。
ドアのインナートリムはポルシェとしては少し質素にも感じるが‥‥
拡大してみるとアームレストは "一応” レザー仕上げにステッチも見える。
リアドアーのトリムもフロントと同じ材質と共通のデザインでリアは手を抜いている、何て事は無い。
まあ、ポルシェとしてはエントリーモデルであるが、ポルシェといえば元々コストダウンのための手抜き等は不得意だろうからどうなる事かとも思ったが、まあまあのレベルには至っていた。尤も 911 だって値段相応の内装になったのは極最近であり、以前は「一千万円以上も出してコレは無いだろう」とか「二千万円級の 911 ターボでもカローラ並」とか、叩かれているくらいの代物だった。
以上2017年5月19日掲載分
ダッシュボードの基本デザインは当然ながら同じポルシェのカイエンとも共通しているし、ということは 911 やボクスターなどポルシェのスポーツカーとも共通点は多いが、流石に目いっぱい背の低い911 と、乗用車と比べれば圧倒的に背の高い SUV だから高さ方向のデザインが異なるのは当然だ。
センタークラスターにはつい最近までクラリオン製の一体型をポン付けしていたが、今回のクルマは専用にシステム化されたものが付いていた。ただし同じく後期型で専用化された 911 およびボクスターとはシステムが全く異なっている。
センターコンソールはこれまた最近のポルシェに共通の左右にスイッチがずらり並んだ方式をなっていて、一度でもポルシェを運転した経験があれば直ぐに理解できるだろう。
コンソールの先端部分にはエアコン関係のスイッチが並んでいる。
キーは流石に電子化されているが、そのキーの形状は実はポルシェ 911 をモチーフとしている。
その電子キーだが、世間の常識とは異なり、そのキーをダッシュボード上のスロットに差し込んで回すというコンベンショナルな方法を堅持しているのは流石だ。
そして頭上のヘッドアップコンソールもデザインはセンターコンソールと共通となっている。
ポルシェとして最もボトムに位置するモデルとは言えそこはポルシェブランドで、インテリアには 911 に繋がる多くのモノが目に入るから、これを買えばポルシェの雰囲気を結構味わえる。
以上2017年5月22日掲載分
ステアリングホールはポルシェらしく如何にもスポーティーな形状のモノがこのベースグレードでも標準装備されているし、パドルスイッチも付いていて輸入元のサイトで調べたらばどうも標準のようだ。というのは、ポルシェといえば価格表にある仕様は全くのスッピンで、これでは最小限必要な装備すら付いていないために通常は少なくとも50万円くらいのオプション代金が上乗せとなるが、マカンの場合はスッピンというかどノーマルというか、要するにオプションを何も付けなくても結構いけそうだ。
正面の3連メーターはボクスター/ケイマンとほぼ共通のもので、これがカイエンになると 911 やパナメーラと同様に5連メーターとなる。とはいえ他社の SUV に比べれば充分にスポーティーだし、如何にもポルシェしているのは魅力だ。えっ、ポルシェなんてぜ~んぜん魅力ない、って?
国産車ユーザーが輸入車に乗って最初に戸惑うのはウィンカーレバーが左に有ることだ (写真左下) 。そしてワイパーの操作はステアリングコラム右側のレバーを使用する (写真右下) 。因みにウィンガーレバーが左にあるのは ISO (International Organization for Standardization 国際標準化機構) で決まっている事で、日本国内での右側ウィンカーが規格外‥‥という事だ。
センターコンソール後方のアームレストの上部を持ち上げるとそこには一応小さな小物入れがある。
センターコンソールの後端には世間の常識通りにリア用のエアアウトレットがあるが、何と温度調整スイッチらしきものまで付いている。その下には最近のクルマらしく USB 端子もある。
ペダル類は流石にベースグレードということでショボいウレタンパッドだが、まあ機能には関係ないが‥‥。しかしポルシェとしてはこれまた珍しくアクセルペダルが吊り下げ式で、911 やボクスターのようにオルガン式ではない。なおブレーキペダルは幅が広く、米国式の左足ブレーキに対応している。アクセルペダルが右側の側壁に近くしかもブレーキペダルは幅広だから、これなら最近度々報道される高齢ドライバーの踏み間違い事故の防止にもなりそうだ。
そうかぁ、高齢ドライバーは軽なんかに乗らないでマカンにすれば良いんだっ!
以上マカンのベースグレードについて見てきたが、ポルシェブランドと言うからにはその走りが気になることろだ。
以上2017年5月23日掲載分