話題のブランニュー SUV トヨタ CH-R が発売された。このクルマは全世界で販売する事を目的としたグローバルモデルということで、早速内容を調べてみた。先ずは諸元から‥‥
C-HR はそのスタイルから日産 ジュークのパクリとも言われているが、下表のサイズをみると明らかにジュークよりもワンサイズ大きいし、価格的にもガソリンモデルのボトムグレードが CH-R では約250万円とジュークの約170万円より 80万円も高い。しかもジュークは今現在では他車のようなハイブリッドがラインナップされていない事もあり下の一覧表では 1.6ターボというホットなモデルを参考に比較してみるが、 そのために C-HR やそのライバルと同じ価格帯になっているから、こういう毛色の違う小型 SUV という選択肢もあって良いだろう。なおジューク 16GT Four については
⇒ Nissan Juke 16GT Four 簡易試乗記 にて。
そういう面では何れもハイブリッド車をラインナップしアウターサイズも価格も近いのはホンダ ヴェゼルとスバル インプレッサXV だが、この2車種はそれぞれ 2013年および 2012年の発売だから決して新しいモデルではない。
それでは CH-R の内外写真を見ることにするが、その前にヴェゼルとインプレッサ XV は下記のようなクルマなので念のため。
C-HR は最新作だから当然ながら上記の2車よりも先進的というか結構ケバいスタイルが目に付く。
特にリアなんて ”く” の字型のリアコンビネーションランプやらブリスターフェンダーに繋がるラインなど、これはちょっと好き嫌いが出そうだ。
以上2016年12月27日掲載分
フロントフェイスは最近のトヨタでお馴染みの台形のアンダーグリルを持っているが、だからと言ってこれがトヨタのアイデンティティーという程でも無い。
リアから見ると大きく張り出したリアフェンダーが認識できる。という事は全幅1,795㎜ とはいえ実質のキャビンは5ナンバーサイズに近いかもしれない。
サイドビューも実にマッチョであり、サイドウィンドウは後方に行くと可成り小さく (狭く) なる。
リアのラゲージスペースはハイブリッド (写真下) でも充分なスペースがある。それではガソリンはどうかと思ったら何とハイブリッドと全く変わらなかった。
そして床下スペースはハイブリッドには殆ど無いかと思ったが、これもガソリン車と変わらない。なおこの床面を持ち上げた時にはストッパーで支えるために手を放しても閉まる事は無い。大した機構ではなくコストも殆ど掛かっていないだろうから、これはアイディア賞ものだ。
最近のトヨタの傾向でハイブリッドでもこれ見よがしのオレンジ色の高圧ケーブルが見えるという事が無くなった。
こちらはガソリン 1.2L ターボで、左に見えるのがインタークーラーだろうか。とすれば随分と小型化されている。
ヘッドランプは標準がプロジェクター式ハロゲン (写真右下) で、G グレードにはオプションでオートレベリング機能付きの Bi-Beam LED 方式 (写真左下) が設定されている。
以上2016年12月28日掲載分
ホイールの撮影をする時には必ず低グレード車の鉄っちんホイールの写真も撮るようにしているのだが、今回のCH-R は展示車のどれを見ても全てアルミホイールを装着していた。実はCH-Rにはスチールホイールの設定は無く、写真下のように上級のG (左) は225/50R18、ベースのSでは 215/60R17 タイヤ (右) にそれぞれ全く異なるデザインのホイールを装着している。
ブレーキユニットはフロントがベンチレーテッドディスク、リアがソリッドディスクで勿論キャリパーは鋳物の片押しタイプだ。
次にインテリアを見るためにドアを開けるが、リアについては一見するとドアノブが無い!? しかしよく見ればCピラーに近い上部に付いていた。CH-R のリアドアはグラスエリアが少ないためにこのような手法が可能となったが、世界戦略車としては随分と思い切ったデザインに踏み切ったものだ。
ブッ飛んだエクステリアの割にはインテリアは普通だが、リアウィンドウはグラスエリアが面積として半分くらだ。
シート調整は全て手動式となる。しかし何やらスイッチが見えるのはランバーサポートが電動となっているためだ。
シート表皮は上級のGでは本皮/ファブリックのコンビとなる。このクラスではフェイクレザーが多いが、C-HRの場合はカタログに ”本皮” の表記がある。なお全てに本皮を使ったシートも75,600円でオプション設定されている。本皮といえば30万円くらいの感覚だが、これは妙に安い。いや本当はこれが適正価格なのかもしれない。
ベースグレードのSではファブリックとなるが、その質感は決して悪くない。トヨタもキャバレーシートからこのような真っ当なファブリックシートとなるまでには随分と長い時間を必要とした。
ドアのインナートリムも決して安っぽい事もなく、表皮の付いたパッドも広い面積に使われている。
グレード差はそれ程大きくなくて、Gではパワーウィンドウスイッチベースがピアノブラックとか、ガーニッシュに半艶シルバーの加飾が付く程度だ。
CH-R は下位グレードのSであってもアルミホイールが標準装備だったり、内装もGとそれ程には違わなかったりと如何にも安物っぽいグレードが無いのが特徴で、その為にSでも 250万円と結構高価な価格設定となっている。
以上2016年12月29日掲載分
CH-R のダッシュボードはベースグレードのSも上級のGも大きな違いはない。ステアリングホイールも全グレード (←ここが大事!) に本皮巻きが標準で、更にエアコンパネを含むインテリアトリムもピアノブラックとなっている。ここも普通はベースグレードならば安っぽいトリムとウレタンステアリングなのだが、CH-R では両グレード共同じ装備となっている。ここでよく考えてみたらばトヨタの他モデルのグレード構成ではCH-R のGとS以外にXというのが存在して、これがベースグレードとしてウレタンステアリングや鉄チンホイールが定番となっている。ということは、CH-R では中級グレード以上が全てで本当のベースグレードは存在しない事になる。
SUV のために高さの高いダッシュボードに組み込まれているセンタークラスターは特に独立していない。そしてトップボードよりも高い位置にディスプレイスペースを置くのは最近のトレンドだが、それはシステム化された専用システムの場合で、CH-R のようにオーディオレスの2DIN スペースをここに置くのは珍しい。
ダッシュボード天板は人工皮革 (というよりもビニールっぽいが) を貼ったソフトパッドが一見すると結構高級そうに見える。最初はGグレードのみだろうと思って、Sグレードなら硬質樹脂に革風のシボを付けたものを想像していたが何とGと同じだった。
フロアコンソールには AT セレクターとパーキングブレーキスイッチ、そして多少のスイッチ類がある。またルーフ先端のオーバーヘッドコンソールは最近の傾向で必要最小限となっている。
AT セレクターのパターンはハイブリッドでは直線式でDの手前に降坂用のBレンジを持つ。これがガソリン車だとDの右にマニュアルモードを持つティプトロタイプとなる。スタートボタンは同じモノだがハイブリッドではブルーの本体にPOWER と書かれていて、これがガソリンでは黒字に ENGINE START STOP と表記されているのも世間の常識どおりだ。
パーキングブレーキは電動式でしかもAT セレクターと連動しているために手動で操作する必要はない。その下にあるスイッチはハイブリッドでは EV モードスイッチが追加されている。
フロントのセンターコンソール後端には最近の定番であるリア用エアアウトレットが無い。後端の下部にあるのはハイブリッドにオプション設定されている AC100V コンセントで、災害時などにはAC電源供給装置として使用できるのは、いざという時のためには有り難い機能だ。
例によってちょっとケバいがハイコントラストで視認性は良い自光式メーターは全グレードに標準装備される。なお写真下はガソリンエンジンだが、ハイブリッド車では例によってパワーモニターが装備される。
さてこの CH-R だが 250~300万円という価格帯を考えれば、ターゲットは最近では減少の一途である中流階級向けだろうが、その割にはブッ飛んだエクステリアなど、プリウスを買うような階層がこれを買うかという疑問はある。
以上2016年12月30日掲載分
⇒ Toyota C-HR S-T 試乗記 (2017/9)