B_Otaku のクルマ写真館
 Toyota Tank


一見すると軽自動車のようなタンクだが、実は立派な普通車だ。タンクのエンジンは3気筒1.0L だが、自然吸気 (NA) 69ps とターボ 98ps の2本立てとなっている。基本的に同じエンジンで NA とターボがあるという発想は正に軽自動車だ。そこでスペック比較ではダイハツの軽自動車で軽部門売上第2位 (第1位はホンダ N-BOX) のタントから NA とターボの代表グレードを並べてみた。タンクは開発の主体と生産はダイハツであり言ってみれば OEM 車なのだが、タントなどの軽自動車はダイハツ独自の開発だが、タンクは開発時にトヨタの意向も大きく反映されているだろう。これはちょうど 86 と同じ情況で、86 は言ってみればスバル BRZ の OEM 車なのだが、スバル車を単にトヨタブランドにしたという訳では無い。なお、日産が三菱と共同開発したという軽自動車も、実はタンクと同じような方法のようだ。

表の内容を比較すると全長はタンクがタント (紛らわしい名前だ!)よりも 305㎜ 長く、ホイールベースも当然タンクの方が長いが、その差は 35㎜ と全長の差よりもなるかに少ない。 全幅については軽自動車の宿命でタントは今時のクルマとしては狭すぎる 1,476㎜ であり、タンクとの差は 195㎜ にも及ぶ。しかもその狭さを補うためだろうか全高はタントの方が15㎜ 高く、従ってタントはどう見ても安定性の悪そうなひょろ長いスタイルをしている。全幅が狭いということはトレッドも狭い訳で、コーナーリング特性という面ではスペックだけ見ても圧倒的にタンクが優位だろう。

次にエンジンだが、どちらも3気筒で排気量は 1.0L と 0.66L だから、タンクはほぼ50%増しであり、その割には車両重量は13%しか違わないから、パワーウェイトレシオではタンクは NA でもタントのターボに近い値を示しているし、タンクのターボの 11.2kg/ps という値は実用車としては十分な数値で、因みにマツダアクセラ 15C の 11.4kg/ps とほぼ等しい。

燃費については JC08 モードで比較する限りでは流石に軽自動車のタントが勝ってはいるが、それ程大した差では無い。そして一番の興味である価格だが、タンクの NA ならばその価格差は10~20万円くらいだから、余裕の性能を考えれば個人的には絶対にタンクを選びたい。ただし、タンクはターボモデルになると急に割高の設定になっているのがチョイと気に食わないが‥‥。

なおタンクはトヨペット店とネッツ店の販売で、兄弟車としてはトヨタ ルーミーという名称でトヨタ店とカローラ店の販売用として用意されている。さらにスバル店ではジャスティとして、またオリジナルのダイハツではトールという名称で販売されるから、もうトヨタグループ総出で売りまくろうという魂胆のようだ。

以上2016年11月27日掲載分


今回からはタンクの内外装を見ることにする。

実際に現物を見てみると明らかに軽自動車とは違う事が判るのは、車幅がマルで違うからだろうか。

とはいえ車幅が解らないサイドビューはかなり ”軽自動車” しているが。

下の写真は上級モデルのカスタムG で価格は 177.1万円。

写真左下はカスタムではない ”普通の” タンクでフロントのメッキラインが異なる事と標準装備のフォグランプが無いなどの違いがあるが意外のその差は少ない。写真右下は販売チャンネルの違いでルーミーという車名であり、これまたフロントのメッキラインが少し違う。

以上2016年11月28日掲載分


次にボンネットフードを開けてエンジンルーム内を見る事にする。室内のレバーを引いて前に回ってフードの隙間に手を突っ込んでロックを解除しようとして、そのフードの下端は‥‥んっ、どこだ? よくよく見れば写真下のようにヘッドライト下端のライン上にあり、フードはグリルと一緒に開くという一時代前のメルセデス!とか BMW のような構造になっている。

1KR-FE 3気筒 1.0L 自然吸気エンジンは 69ps , 92N-m だから軽よりはマシというところだ。

1KR-VET は同じく 3気筒 1.0L にターボチャージャーを追加して 98ps , 140N-m を発生する。エンジン頭上にインタークーラーを載せるスバルのような方法だが、ボンネットカバー中央に吸気口を付けてはいない。

エンジンルーム内に剥き出しのボディーの作りを見ると‥‥チャチい!
それでも薄板の繋ぎ目にはシール材で防水処理をしているなど、やることはやっている。

ヘッドライトはカスタムのみがLEDヘッドランプ(オートレベリング機能付)で他のグレード (X、G) ではハロゲンランプとなる。更にカスタムはLED フォグ+イルミネーションランプ、フロントスポイラー、塗装+メッキフロントグリルなどが追加される。

標準モデルは 165/65R14 タイヤ&14x5J スチールホイールに樹脂キャップ (写真左下)。
カスタム G-T のみは 175/55R15 タイヤ&15x5J アルミホイール (写真右下)となる。しかし立派なアルミホイールの隙間から覗くリアブレーキは驚くほど小径のブレーキドラムが見えるだけで、ホイール内はスカスカになっている。
なお G-T を除くカスタムでは標準の14インチサイズだがホイールはアルミとなる。

フロントは片押しキャリパーだが軽自動車で主流のフレームを簡略化したタイプのようだ。標準グレードの場合でもブレーキユニットが同じかどうかは解らない。ナンタって鉄っちんホイールじゃあ中は全く見えないからだが、ショボいブレーキは見えないほうが健康のためになる?

以上2016年11月29日掲載分


いつものとおりでドアを開けるのだが、このクルマのリアドアは左右ともスライドドアで、要するにミニバンと同じだ。全高1,735㎜ もあるから頭上空間は十分過ぎるくらいだし、驚くのはリアシートの足もとのスペースが広いことだ。最近の軽のハイトワゴンは驚くほど足元に余裕があるが、タンクは同じような設計で更に全長が長いから、まあ広くて当然かも知れない。

シートのポジション調整は当然ながら手動式だが、それどころかボトムグレードのXではシートリフターすら無い。なお中間グレードのGにはリフターは付いているので、リフターなしはXのみだ。

シート表皮は当然ながらグレードで異なるが、先ずは下の表皮がカスタムの撥水機能付専用ファブリック (とカタログに書いてあった) で、カスタム全車に標準となる。なおレザー表皮はオプションで用意されている‥‥わけが無い!

そして下の写真がカスタム以外に共通のファブリックシートで、一見するとカスタムの表皮と大きく変わらないようにも見える。

スライドドアの下部レールは先日取り上げた小型ミニバンのシエンタと同じような構造になっている。そして床位置は結構低いから乗り降りは容易だ。

スライドドアの上部レールもシエンタと同じような構造だ (写真左下) 。
リアに乗り込みために立派なグリップもあるが、それ程床は高くはないので誰が使うんだろうか? 老人にはこのグリップは役に立つのだろうか (写真右下) 。

ドアのインナートリムは樹脂の一体成型で、この大きさの成形品を作るのは結構な技術のようにも思うが、まあそこはトヨタだから系列会社に優秀な樹脂メーカーを持っているのだろう。

カスタムでは肘の当たる部分にクロスを貼ったパッドを使用していたり、ドアハンドルはメッキされているし、パワーウィンドスイッチのパネルにはシルバーの加飾もあり伊達に高い訳ではない。

カスタム以外では見るからに地味というかプラスチックそのものとなるが、写真下の左上部分にはステッチが見える。ん? 樹脂の一体成型のハズが‥‥実は当然ながら金型で一体成型したフェイクなのだが、一見すると本当に糸で縫ってあるように見える。

エクステリアではアルミホイールとフォグランプくらいしか違いが無かったカスタムだが、インテリアでは大分差がついて豪華!というよりそれ以外のグレードがチャチなのだが。まあ軽自動車の兄貴分だから、こんなもんでしょう。

以上2016年11月30日掲載分


そして次はダッシュボード全景から。

現車のエクステリアを見たときには軽のハイトワゴンの兄貴分というよりも、小さなミニバンという感じもあったが、さてダッシュボードの眺めはと言えばこちらは軽自動車的で、それでも全幅の違いからグローブボックスの幅が広いなど普通車っぽさもあるが、それでも何となく軽臭い。そこで試しに軽のハイトワゴンと比べてみた。それも商売敵の日産の軽自動車デイズと比べると、ややっ、妙に似ているのはどうしたものか。それもセンタークラスターまでソックリなのには寧ろ驚くらいで、トヨタ車とは言え実質はダイハツが開発したタンクが日産と三菱が協業により開発した (と言っても限りなく三菱製の OEM 供給だが) デイズとソックリなのは、これ如何に?。

センタークラスター上部には左右のエアアウトレットに挟まれてナビには小さすぎるサイズのカラーディスプレイが配置されていて、これは要するにインフォメーションディスプレイとなる。タンクは標準がオーディオレスだが左下の写真はメーカーオプションのCD・AM/FMラジオ (12,960円) でこれを付けるとステアリングスイッチと連動出来る。ナビはディーラーオプションだが、要するにこれは市販品のポン付けとなるから車両との連携は無いが、カーショップで訳あり品でも買えば相当に安くなるだろう。

フロントシートの左右の隙間は軽自動車に比べて当然広いからインパネシフトのメリットである前席と後席のウォークスルーが楽に可能となる。

 

オーディオスペースの下にはインパネシフト車ではお馴染の左にエアコンパネル、右にATセレクターというレイアウトになる。なお下の写真はカスタムの場合でオートエアコンと共にパネルも高級感漂う (という程ではないが) ピアノブラック仕上げとなっている。なお中間グレードの G もオートエアコンが標準となる。

それではボトムグレードのXはといえばエアコンはマニュアルとなるのは当然としても、その操作部の安っぽいことといったら、もうコレでもかとカスタムとの差を付けている。パネル自体もプラスチック丸出しで、マルで100円ショップのグッズみたいな質感だ。X (146.3万円~) とG(162万円~) の差は約15万円だが、X は価格差以上にセコいからこれは ”140万円代より” をアピールするためのグレードで、一般ユーザーが買うことを想定していない‥‥かもしれない。

ダッシュボードにはこれまたステッチが見えるが、触ってみればやっぱり金型で作ったフェイクだし、それでもトップボードくらいは弾性樹脂のパッドになっているかと思って指の第一関節を曲げて叩いてみたらば、痛てっ!という訳で硬質樹脂だった。

右端にはスタートボタンと各種スイッチ類が配置されている。キーは全グレードでカード式電子キーとなっているから、Xでも金属キーということは無い。まあ今時は金属キーよりも電子カードの方が安上がりなのかもしれない。

 

ここでリアスライドドアーのインナートリムを見てみれば、まあこちらはフロント以上に徹底してプラスチッキーだが、それでもフェイクのステッチは入っている。ドアノブはスライドドアだから当然横に引くタイプだ。そしてパワーウィンドウスイッチがあるところを見ると、最近はスライドドアだって窓が開くのだった。またドアの後ろにはリア用のスピーカーも付いているが、これもカスタム専用だろう。

 

メーターはカスタムでは外周のリングがシルバーとなり目盛りのバックカラーも異なるが、基本的には変わりはない。なお下の写真でXはイグニッションがオフ状態なのでメーターのイルミネーションが消えているが、オンで自光色の盤面が輝く‥‥ことは無いようだし、回転計も無い。

 

ということでタンクの内外装は軽自動車のような、そうでも無いような、双方の良いとこ取りというか、どちらも中途半端というか、あとは走りがどうかというのが興味の中心となる。そこで、実は例の MEGAWEBでチョイ乗りをしてみた。

以上2016年12月2日掲載分

⇒ TOYOTA TANK G (自然吸気) 簡易試乗記 (2016/11)
⇒ TOYOTA TANK G-T (ターボ) 簡易試乗記 (2016/11)